失注の理由は分類して集計すれば次の受注につながるとされていますが、5つほどの一覧から1つを選ばせる運用では「価格」が半分を超え、そこで話が止まってしまいます。集計は正しく動いているのに、次の打ち手が出てきません。失注分析とは、負けた商談の理由を集めて次の提案へ活かす取り組みで、成否は分類の細かさより、いつ何を記録するかの設計で決まります。 なお、解決の手段として本記事で扱うAgentforceの機能と提供状況は更新が続くため、記述は2026年9月時点の情報にもとづいています。
そこで本記事では、失注分析が次につながらない理由から、記録されていない情報、分類を作る前に決める前提、記録をAIエージェントに残させる設計までを解説します。
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この記事を書いた人
合同会社クロスコムの代表|専門商社にて7年間のBtoB営業を経て、マーケティング業界に参入。現在はSalesforce公式コンサルティングパートナーとして、ソリューション営業の業務プロセスに特化したAgentforce導入・定着支援と、Agentic CRM設計支援を提供している。
失注分析が次の受注につながらない3つの理由
業務用冷凍機器の販売と保守を手がける企業では、従業員290名のうち営業が26名、営業企画が1名という体制で、Sales Cloudを5年運用してきました。この企業は説明のための架空の設定であり、実在の企業ではありません。失注の理由を5つの分類から選ぶ運用を3年続けており、直近1年の失注208件のうち137件が「価格」で登録されています。当初の目的は「負けた理由を次の提案に活かすこと」でした。そこでここでは、この会社を例に、失注分析が次の受注につながらない3つの理由を整理します。
分類の中身を疑う前に、確かめておくことがあります。失注分析が次につながらないのは、負けが決まった時点で理由を聞いているためです。
| 比較の観点 | 失注時に聞く場合 | 商談の途中で残す場合 |
|---|---|---|
| 記録する人の状態 | 結果が出たあと | 検討が動いている最中 |
| 選ばれる分類 | 角の立たないもの | その時点の事実 |
| 復元できる中身 | 分類名だけ | 相手の条件と時期 |
| 勝った商談との比較 | できない | 同じ項目で比べられる |
| 打ち手の出しやすさ | 集計止まり | 段階ごとに手が打てる |
理由①失注した時点で理由を聞いているから
1つ目は「失注した時点で理由を聞いているから」です。商談が終わったあとに理由を選ばせる運用では、選ぶ側はすでに結果を知っています。結果を説明できる分類が選ばれます。
ここで断っておくと、これは営業の意識の問題にはなりません。記録を求めるタイミングが結果のあとに置かれているために起きる、設計の問題です。誰が担当しても同じ選び方になります。
先ほどの業務用冷凍機器の会社では、営業企画の担当者が「価格」で登録された137件を1件ずつ読み直しました。商談の記録に価格や見積の話がまったく出ていない商談が、137件のうち41件あります。営業に確認すると「ほかに選べる分類がなかった」「詳しく書く欄がなかった」という答えが返りました。
分類の集計を見る前に、その分類が選ばれた商談の中身を数件読んでみましょう。読んだ内容と分類が合っていないなら、聞くタイミングを疑う段階にあります。
理由②選ばれた分類が実態を表していないから
2つ目に挙げるのは、選ばれた分類が実態を表していないからです。分類の一覧は、作った時点の想定でできています。市場や商材が変われば、一覧に当てはまらない失注が増えます。
当てはまらない失注も消えずに一覧のどこかへ入るため、最も広く読める分類が受け皿になり、その分類だけが増えていきます。増えた分類を見て「価格が課題だ」と読むと、実態と違う打ち手が始まります。
この会社の5つの分類は3年前に作られたもので、その後1度も見直されていませんでした。実際、営業企画の担当者が41件を読み直したときに多かったのは「導入の時期が合わなかった」「社内で別の投資が優先された」という状況で、どちらも既存の一覧には受け皿がありませんでした。
分類の一覧を作った日付を確かめましょう。1年以上見直していないなら、受け皿になっている分類があります。
理由③負けた商談だけを見ているから
3つ目は「負けた商談だけを見ているから」です。失注分析という名前のとおり、集めるのは負けた商談に限られます。
負けた側だけを集めると、その特徴が失注の原因かどうかを判別できません。「決裁者に会えていなかった」という記録が失注の8割にあったとしても、受注した商談の7割でも同じなら、それは原因といえないでしょう。比べる相手がなければ、原因と特徴の区別がつきません。
この業務用冷凍機器の会社でも、受注した商談には理由を記録する運用がありませんでした。営業企画の担当者が失注208件から傾向を出そうとしたものの、比べる相手がないため「そう見える」という以上の話にできなかったのです。
負けた商談の記録を集める前に、勝った商談を同じ形で記録しているかを確かめてください。
失注の理由として記録されない3つの情報
ここまで挙げた3つの理由に共通しているのは、記録の中身が足りないという構造です。では、実際には何が残っていないのでしょうか。それは、分類名だけでは打ち手に届かず、あとから状況を復元できる情報が要るからです。復元できるかどうかは、記録を読み返す人が「いつ・誰が・何と比べて」を再現できるかで決まります。そこでここでは、失注の理由として記録されない3つの情報を整理します。
足りないのは営業の書く分量にはなりません。残っていないのは、検討から外れた時期と、そのとき相手が比べていた条件の2つです。
情報①検討から外れた時期
1つ目は「検討から外れた時期」です。失注の記録には結果しか残らないため、どの段階で外れたのかが分かりません。
時期が分からないと、打ち手を置く場所を決められません。初回の提案で外れているなら提案の内容を、最終の比較で外れているなら条件の出し方を見直すことになります。同じ「価格」でも、時期によって打つ手はまったく違います。
先ほどの会社では、失注の登録日しか残っていませんでした。営業企画の担当者が41件の活動履歴をたどったところ、初回訪問から2週間以内に実質的な検討から外れていた商談が14件あります。この14件では、価格の提示すら行われていませんでした。
失注の記録に、外れた時期を書く欄があるかを確かめましょう。登録日は失注を処理した日で、外れた日とは違います。
情報②比べられていた相手の条件
2つ目に挙げるのは、比べられていた相手の条件です。相手の社名だけが残っていても、何がどう比べられたかは分かりません。
条件が分からなければ、自社の何を変えればよいかも決められません。納期で負けたのか、保守の範囲で負けたのか、支払いの条件で負けたのかによって、動かす部署が変わります。社名だけの記録は、次の商談では使えません。
この業務用冷凍機器の会社の記録には、競合の欄がありました。ところが埋まっていたのは208件中62件で、そのうち条件まで書かれていたのは9件です。営業企画の担当者にとって、次の提案に使える記録はこの9件だけでした。
過去の記録を引き出して比較の材料にする場面の設計は、営業の照会場面での任せ方の記事で整理しています。競合の欄は、社名が入っているだけでは埋まったことになりません。条件まで書かれた件数を、別に数えてください。
情報③決裁の場で誰が反対したか
3つ目は「決裁の場で誰が反対したか」です。提案が社内で検討される場に営業はいません。誰がどの理由で反対したかは、聞き出さなければ残りません。
この情報が要るのは、次に同じ会社へ提案するときに効くためです。反対した立場の人が気にしていた点を先に解消しておけば、同じところで止まりません。反対の理由は、その場にいた窓口の担当者に聞けば話してくれる場合があります。
この会社では、決裁の経緯を記録する欄がありませんでした。営業企画の担当者が営業26名に聞き取ったところ、窓口の担当者から反対の理由を聞いていた営業は9名います。聞いた内容は個人の記憶に残るだけで、記録には入っていませんでした。
聞き出せている情報が記録に入っていないなら、欄がないだけの可能性があります。聞き取りから始めてください。
失注分析の分類を作る前に決める4つの前提
前章までで、失注の記録に残っていない3つの情報は見えました。ところがここで分類を細かくしても、選ぶ人の状態が変わらなければ結果は同じです。分類の一覧は、記録する時点・記録する人・数え方が決まって初めて機能するものであり、順番を逆にすると、作り直した一覧がまた同じ受け皿になってしまいます。そこでここでは、失注分析の分類を作る前に決める4つの前提を整理します。
先に決めるのは分類の中身にはなりません。分類を作る前に決めるのは、どの段階で誰が記録するかという2点です。
前提①どの段階で記録するか
最初に決めるのは、記録するタイミングです。失注が確定した時点には置きません。商談が動いている途中に置きます。
途中に置く理由は、そのときの事実がまだ残っているためです。相手が何を気にしているか、どこと比べているか、決裁がいつかは、検討が進んでいる最中なら分かります。終わってから思い出すと、結果に合う説明へ寄ります。
先ほどの業務用冷凍機器の会社は、記録するタイミングを面談の直後に変えました。商談のフェーズが進んだ時点でも、追加の項目を埋める形にしています。失注が確定したときに新しく書くのは、外れた時期と最終的な決め手の2つだけです。
記録を求める時点を、結果が出る前へ移しましょう。移せているかどうかは、失注が確定した日に新しく書かれる文章量が減っているかで確かめられます。
前提②誰が記録するか
次に決めるのは、記録する人です。担当の営業に書かせるのか、上長が確認して書くのか、仕組みが埋めるのかで、集まる情報の質が変わります。
営業に書かせる場合は、負担と正直さの両方が問題になります。書く量が多ければ埋まらず、評価に結びつけば角の立たない内容が選ばれてしまうからです。前者は項目を減らして解け、後者は運用の決め方で解きます。
この会社では、失注の記録を営業の評価に使わないことを最初に社内へ示しました。営業企画の担当者が営業26名へ説明する場を設け、記録は打ち手を決めるためだけに使うと伝えています。この説明の前後で、根拠を書く営業の数が変わりました。
記録する人を決めたら、その記録が何に使われるかも同時に伝えましょう。使い道を伝えないまま集めた記録は、あとから読み直しても打ち手の材料になりません。
前提③分類の数をいくつにするか
3つ目は「分類の数をいくつにするか」です。数が少なすぎれば受け皿の分類ができ、多すぎれば選ぶのに時間がかかります。
決め方は、実際の失注を50件ほど読んでから決めるのが確実です。読まずに一覧を作ると、想定の分類が並びます。読んだうえで、同じ状況が3件以上あるものだけを分類にすると、数は自然に収まります。
この業務用冷凍機器の会社は、41件を読み直したうえで分類を5つから6つへ変えました。増えたのは「導入の時期が合わなかった」で、「その他」を含む2つは中身を入れ替えています。3年間で1度も見直していなかった一覧が、この作業で実態に合う形になりました。
分類の数は、失注を読み終えてから決めましょう。読む作業と一覧を作る作業を同じ日に詰め込むと、最後に読んだ数件が一覧に強く反映されます。
前提④受注した商談も同じ形で記録するか
4つ目は「受注した商談も同じ形で記録するか」です。理由③で挙げた比較のために、勝った商談にも同じ項目を用意します。
同じ形にする意味は、差が見えるようにすることです。失注だけを集めた記録は、どれだけ丁寧でも比べる相手がありません。受注した商談で同じ項目が埋まっていれば、割合の差として原因の候補が出ます。
この会社は、受注した商談にも競合の条件と決裁の経緯を書く欄を追加しました。設計から6か月後の時点で、受注した商談の84%で同じ項目が埋まっています。失注との比較ができるようになったのは、この項目が入ってからです。
勝った商談の記録は、失注分析の材料になります。同じ形で残す判断を、最初にしてください。
失注の記録をAIエージェントに残させる3つの設計
ここまで示した4つの前提のうち、最も難しいのは「商談の途中で記録する」の実行です。営業に催促して埋めさせる運用は、繁忙期の2週間で止まってしまいます。ここから先は、依頼を受けて動く仕組みへ記録の作業を移す話です。Agentforceのようなエージェントに任せられるのは人が催促していた部分で、何を残すかを決めるのは人の側に残ります。そこでここでは、失注の記録をAIエージェントに残させる3つの設計を整理します。
任せる対象は文章の作成にはなりません。エージェントに任せるのは、面談の直後に不足している項目を尋ねて埋めさせる部分です。
設計①面談の直後に不足を尋ねる
1つ目は「面談の直後に不足を尋ねる」設計です。商談の記録が更新された時点で、決めた項目のうち空欄になっているものを担当者へ尋ねます。
直後にする理由は、思い出す負担が最も小さいためです。移動中の数分で答えられる形にすれば、記録は残ります。翌週にまとめて催促する運用では、答える側が内容を思い出せません。
先ほどの業務用冷凍機器の会社では、面談の記録が保存された直後に、空欄の項目を1つずつ尋ねる形にしました。尋ねるのは多くて3項目で、すべて埋まっていれば何も尋ねません。営業26名のうち、運用の開始から2週間で18名が回答するようになりました。
営業向けの機能でどこまで扱えるかは、Agentforce for Salesの記事で整理しています。尋ねる項目は、前提③で決めた分類に必要なものだけに絞ってください。
設計②選んだ分類の根拠を1文で残させる
2つ目に挙げるのは、選んだ分類の根拠を1文で残させる設計です。分類を選ばせるだけでは、理由①で挙げた「結果に合う分類」が並びます。
根拠を1文求めると、選び方が変わります。「価格」を選ぶなら、いつ誰がどの金額について何と言ったかを書くことになるからです。書けない場合は、その分類が実態と違う可能性が高くなります。
この会社では、分類を選んだ直後に「そう判断した場面を1文で書いてください」と尋ねる形にしました。設計の前は根拠が書かれていた失注が12%でしたが、6か月後には79%まで上がっています。同じ期間に「価格」で登録された割合は、66%から32%へ下がりました。
最初のエージェントを作るところからの流れは、Agentforceの使い方で整理しています。
設計③受注した商談にも同じ項目を埋めさせる
3つ目は「受注した商談にも同じ項目を埋めさせる」設計です。前提④で決めた比較のために、勝った商談でも同じ項目を尋ねます。
受注した商談は記録が後回しになりがちです。結果が出ている以上、書く動機が働きません。尋ねる仕組みの側から声をかければ、この差は縮まります。
この業務用冷凍機器の会社では、受注した商談についても競合の条件と決裁の経緯を尋ねる形にしました。6か月後の埋まり方は84%で、失注側の79%とほぼ同じ水準です。比較できる状態が、この時点で初めて成立しました。
記録の書き換えをどこまで任せてよいかの線引きは、Einstein Trust Layerの記事で整理しています。尋ねて埋めさせる範囲と、人が確認する範囲を分けてください。
失注分析から打ち手を出す4つの見方
ここまで示した3つの設計で記録が集まり始めると、次は読み方の問題になります。分類ごとの件数を棒グラフにしても、そこから動く先は決まりません。件数の多い分類が、そのまま手を打つべき場所とは限らないためです。集めた記録は、取引先の型・落ちた段階・競合が出た時期という角度から見て初めて打ち手になります。そこでここでは、失注分析から打ち手を出す4つの見方を整理します。
見るのは分類ごとの合計にはなりません。打ち手が出るのは、段階ごとにどこで落ちているかを並べたときです。
見方①同じ分類が続いている取引先の型
1つ目は「同じ分類が続いている取引先の型」です。同じ理由で複数回落ちている取引先の共通点を探します。
型が見つかると、次に同じ型の取引先へ提案するときの手が決まります。業種、規模、既存の設備、決裁の階層のいずれかで括れる場合が多くなります。
先ほどの会社では、読み直した41件のうち「導入の時期が合わなかった」に当たる商談を並べたところ、13件のうち9件が学校法人と自治体でした。どちらも予算の年度が決まっており、提案の時期が半年ずれていたことが分かっています。営業企画の担当者は、この2つの型について提案の開始時期を前倒しする運用へ変えました。
同じ分類が2回以上出ている取引先を抜き出しましょう。数が少なくても、共通点は見えます。
見方②段階ごとに落ちている割合
2つ目に挙げるのは、段階ごとに落ちている割合です。商談のどのフェーズで失注したかを数え、段階ごとの割合を出します。
割合で見る理由は、件数だけでは母数の違いが分からないためです。初回訪問が100件で20件落ちるのと、最終比較が20件で10件落ちるのでは、後者のほうが深刻です。件数では前者が多く見えます。
この業務用冷凍機器の会社の208件を段階で分けたところ、初回訪問から2週間以内が14件、提案後の検討中が96件、最終比較が98件でした。母数と合わせて割合を出すと、最終比較での落ち方が突出しています。営業企画の担当者は、条件の出し方に絞って手を打つ判断をしました。
稼働している仕組みの精度を継続して測る考え方は、Agentforce Observabilityの記事で整理しています。段階ごとの割合は、四半期ごとに同じ形で出してください。
見方③競合の条件が出てきた時期
3つ目は「競合の条件が出てきた時期」です。相手の条件が商談のどの時点で話に出たかを見ます。
時期が早いほど、こちらが最初から比較の対象に入っていたことになります。遅い時期に初めて出てくるなら、相手が後から入ってきたか、こちらが聞き出せていなかったかのどちらかです。前者なら提案の速さ、後者なら聞き方を変えることになり、打つ手が分かれます。
この会社の記録では、競合の条件が書かれた9件のうち7件が最終比較の段階で初めて出ていました。営業企画の担当者は、提案の段階で比較の状況を尋ねる項目を追加しています。追加後の3か月で、提案の段階で競合が記録された商談は11件になりました。
条件が出てきた時期を記録に残しましょう。社名だけでは、この見方は使えません。
見方④決裁の直前で止まった商談の共通点
4つ目は「決裁の直前で止まった商談の共通点」です。最終比較まで進んで落ちた商談だけを抜き出し、共通点を探します。
この段階の失注は投じた工数が最も大きく、減らせれば効果も大きくなり、原因も絞りやすくなります。提案の内容はほぼ同じで、差が出たのは条件か関係のどちらかに限られるためです。
先ほどの会社の98件を読み直したところ、決裁の場に自社の資料が使われた形跡がある商談は31件でした。残る67件では、窓口の担当者が自分で作り直した資料が使われています。営業企画の担当者は、決裁の場で使える形の資料を提案時に渡す運用を追加しました。
最終比較で落ちた商談だけを、別に集めて読んでください。件数が少なくても、内容の密度が違います。
失注分析を1製品から始める4つのステップ
前章で挙げた4つの見方まで決まれば、あとは着手の順番です。全製品・全営業を対象に一度に始めると、記録の項目を決める段階で意見がまとまりません。対象が広いほど、誰の商談を基準に項目を決めるかで議論が長引くためです。この業務用冷凍機器の会社が7週間で形にできたのも、対象を絞ったからにあたります。そこでここでは、失注分析を1製品から始める4つのステップを整理します。
最初に手をつけるのは分類の一覧にはなりません。始めるときに最初に行うのは、対象の製品を1つに絞ることです。
ステップ①対象の製品を1つ選ぶ
最初の作業は、対象を1つの製品に絞ることです。失注の件数が多く、提案の型が決まっている製品を選びます。
絞る理由は、記録の項目が製品によって変わるためです。競合も決裁の階層も違えば、必要な項目も違います。1つに絞れば、項目の議論は短く終わります。
先ほどの業務用冷凍機器の会社は、店舗向けの冷凍ショーケースを対象にしました。失注208件のうち121件がこの製品で、提案の流れも定型です。営業企画の担当者は、残りの製品を対象から外しています。
小さく始めたい場合は、この1製品からのスモールスタートが、項目を決める議論を短くしたまま効果を確かめる進め方になります。どの業務から着手するかの決め方は、Agentforceのユースケースの選び方でも整理しています。
ステップ②直近1年の失注を読み直す
対象が決まったら、次はその製品の失注を読み直します。集計は使わず、1件ずつ本文を読みます。
読む理由は、前提③で挙げたとおり、分類を実態から作るためです。50件ほど読めば、同じ状況が繰り返し出てきます。読まずに分類を作ると、想定の一覧ができます。
この会社では、営業企画の1名が121件のうち直近の60件を読みました。所要は約12時間です。読み終えた時点で、既存の5つの分類のうち2つが使われていないことと、一覧にない状況が2種類あることが分かっています。読む作業は営業課長には頼まず、営業企画の担当者が1人で通して読み、途中で判断の基準を変えないようにしました。
読む件数は50件を目安にしましょう。全件を読む必要はありません。
ステップ③記録する項目を先に決める
読み終えたら、記録する項目を決めます。分類の一覧と、根拠を書く欄と、競合の条件と、決裁の経緯の4つが基本になります。
項目を先に決める理由は、尋ねる仕組みを作る前に決めておかなければ、あとから項目を足すことになるためです。運用の途中で項目が増えると、前後のデータが比べられなくなります。
この業務用冷凍機器の会社が決めたのは、次の5項目です。
記録する5つの項目 ①分類・・・6つの一覧から1つを選びます ②根拠・・・そう判断した場面を1文で書きます ③競合・・・比べられた相手の条件を書きます ④決裁・・・誰がどの理由で反対したかを書きます ⑤時期・・・検討から外れた時期を書きます
受注した商談にも同じ5項目を用意しました。項目を決める作業に要したのは、営業課長2名との打ち合わせを含めて8時間でした。
項目は5つ以内に収めましょう。増やすほど、埋まる率は下がります。
ステップ④3か月ぶんを同じ形で集める
項目が決まったら、同じ形で3か月ぶんを集めます。途中で項目を変えず、集まった記録を四半期の終わりに読みます。
3か月にする理由は、分類の妥当性を判断できる件数が集まるためです。1か月では件数が足りず、半年では見直しが遅れます。四半期ごとに見直す形にすると、一覧が実態から離れません。
この会社は、運用の開始から3か月で対象製品の失注が34件集まりました。営業企画の担当者が読み直したところ、新しく作った6つの分類のうち1つが1件も使われていません。この分類は次の四半期で入れ替えました。
確かめた記録を残す仕組みは、テストセンターの記事で整理しています。以上が、失注分析を1製品から始める4つのステップでした。
失注分析でつまずく3つの落とし穴
ここまで示した4つのステップを踏んでも、運用の設計を誤ると記録は集まりません。項目を用意したこと自体が成果に見えてしまい、埋まっているかどうかの確認が後回しになるからです。つまずき方には型があり、多くは分類の作り方と記録の使い道の2つに集まります。この業務用冷凍機器の会社も、最初の案では1つ目に当たるところでした。そこでここでは、失注分析でつまずく3つの落とし穴を整理します。
失敗の多くは、分類を増やす方向へ進んだことから生まれます。分類を細かく作りすぎた時点で、選ぶ時間が増えて記録の件数が減ります。
落とし穴①分類を細かく作りすぎる
1つ目は「分類を細かく作りすぎる」という落とし穴です。実態に合わせようとするほど、分類は増えます。20を超える一覧を作った例もあります。
増やすと逆に精度が下がるのは、選ぶ側の負担が上がるためです。20の一覧から1つを選ぶ作業は、5の一覧より時間がかかり、時間がかかれば上から順に近いものが選ばれます。結果として、一覧の前半にある分類だけが増えてしまうのです。
先ほどの会社の最初の案は、41件の読み直しから12の分類を作るものでした。営業企画の担当者が営業課長2名に見せたところ、「これは選ぶのに1分かかる」という指摘が出ています。最終的に6つへ絞り、細かい状況は根拠の1文で残す形へ変えました。
分類は6つ前後に収め、細かさは根拠の記述で担保しましょう。選ぶ時間が10秒を超えるなら、多すぎます。
落とし穴②失注の報告を評価に結びつける
2つ目に挙げるのは、失注の報告を評価に結びつける落とし穴です。記録を集める目的が改善であっても、集めた記録が人事の評価に使われれば、書かれる内容は変わります。
変わり方は一定です。自分の判断が原因に見える分類は避けられ、外部の要因で説明できる分類が選ばれます。「価格」「時期」「競合」に集中するのは、外部の要因を選ぶ判断が重なった結果でもあります。
この業務用冷凍機器の会社では、運用を始める前に営業26名へ説明の場を設けました。記録は打ち手を決めるためだけに使い、個人の評価には使わないと明示しています。説明の前後で、根拠を書く営業の数が変わりました。
記録の使い道を、集め始める前に伝えてください。伝えなければ、書く側は最も安全な内容を選びます。
落とし穴③集めた分類を見直さない
3つ目は「集めた分類を見直さない」落とし穴です。一度作った一覧をそのまま使い続けると、理由②で挙げた受け皿の分類が増え続けます。
見直さない理由は、見直す時期を決めていないためです。誰かが問題に気づくまで放置され、気づいたときには数年分のデータが実態と違う形で溜まっています。
この会社の5つの分類は、3年間で1度も見直されていませんでした。設計のあとは四半期ごとに見直す運用へ変え、最初の3か月で1つの分類を入れ替えています。使われなかった分類を残しておく理由はありません。
導入した仕組みが使われなくなる状態からの立て直しは、Agentforceの定着で整理しています。見直しの時期は、運用を始めるときに決めてください。
失注分析が機能しているかを測る4つの指標
前章で挙げた3つの落とし穴を避けて運用を続けられるようになったあと、次に必要になるのは効果の確認です。受注率だけを見ても、失注分析が効いたのか市況が変わったのかは判別できません。受注率は商談の周期より遅れて動くため、記録の質が上がった月と数字が動く月もずれます。見るのは、記録の質・見直しの運用・打ち手の結果という3つの層です。そこでここでは、失注分析が機能しているかを測る4つの指標を整理します。
測る対象は受注率にはなりません。失注分析が機能しているかは、根拠が書かれた失注の割合で測ります。
指標①根拠が書かれた失注の割合
1つ目は「根拠が書かれた失注の割合」です。分類を選んだ理由が1文で書かれている失注が、全体のどれだけかを数えます。
この指標が最初に来るのは、記録の質が集計の前提だからです。根拠が書かれていない記録をいくら集めても、読み直したときに状況を復元できません。割合が上がらないうちは、分析の話に進めません。
当初の目的は「負けた理由を次の提案に活かすこと」でしたが、この業務用冷凍機器の会社では設計前の割合が12%でした。運用の6か月後には79%まで上がっています。同じ期間に「価格」で登録された割合は66%から32%へ下がりました。
まず現在の割合を出しましょう。数え方は、根拠の欄が空欄でない件数を割るだけです。
指標②分類の見直しで動いた件数
2つ目に挙げるのは、分類の見直しで動いた件数です。四半期の見直しで、追加・削除・入れ替えを行った分類の数を数えます。
この指標を見る理由は、見直しの運用が動いているかを示すためです。0が続くなら、見直しの場が形だけになっています。逆に毎回3つ以上動くなら、分類の作り方に問題があります。読んだ失注から作った一覧であれば、そこまで大きくは動かないからです。
この会社の最初の四半期では、使われなかった1つを入れ替えました。2回目は0件で、3回目に1つを追加しました。営業企画の担当者は、四半期あたり0から2件で推移していれば健全と判断しており、動かさなかった四半期についても、確認した日付と読んだ件数を議事録に残しています。
見直しの記録を残しましょう。動いた件数だけを追うと、見直しの場を開かなかった四半期が0件として紛れ込みます。
指標③同じ理由での失注が減った割合
3つ目は「同じ理由での失注が減った割合」です。見方①で特定した型について、同じ理由での失注が前の四半期より減ったかを見ます。
この指標が成果に最も近く、打ち手を打った型で失注が減っていれば、その打ち手が効いた可能性が高くなります。減っていなければ、打ち手か型のどちらかが違います。
先ほどの会社では、「導入の時期が合わなかった」で落ちていた学校法人と自治体について、提案の開始時期を前倒しする運用へ変えました。この型での失注は、四半期で22件から9件へ減っています。同じ期間に別の型で失注が増えていないかも、営業企画の担当者があわせて確認しました。
投資対効果をどう示すかは、Agentforce ROIの記事で整理しています。型ごとに前後を比べると、説明できる形になります。
指標④受注した商談との比較ができた件数
4つ目は「受注した商談との比較ができた件数」です。同じ項目が埋まっている受注商談が、どれだけ集まったかを数えます。
この指標が要るのは、理由③で挙げたとおり、比べる相手がなければ原因と特徴を区別できないためです。受注側の記録が集まるほど、失注の分析は確からしくなります。逆に受注側の記録が少ない段階で差を読むと、偶然の偏りを原因として扱ってしまいます。
この業務用冷凍機器の会社では、受注した商談で同じ項目が埋まっている割合が6か月後に84%になりました。失注側の79%とほぼ同じ水準で、両方を並べて割合の差を見られる状態です。埋まり方をそろえたことで、差を製品ごとや取引先の型ごとに分けて読めるようになっています。
受注側の埋まり方も、失注側と同じ形で数えてください。片側だけでは、比較は成立しません。
失注分析を外部支援に頼むときの4つの判断軸
ここまで示した工程を社内だけで進められるかは、体制によって変わります。この会社は営業企画1名で52時間を確保できましたが、専任を置けない企業のほうが多いのではないでしょうか。では、外部の支援を検討するとき、何を見て選べばよいのでしょうか。それは、支援会社によって入る工程が違い、その工程の外にあるものは提案に出てこないからです。そこでここでは、失注分析を外部支援に頼むときの4つの判断軸を整理します。
支援会社の実績数だけでは、自社に合うかどうかは判断できません。分析の手法より、記録を設計するところから入れるかどうかを見ます。
判断軸①記録の設計から入れるかどうか
1つ目は「記録の設計から入れるかどうか」という判断軸です。集計や可視化を請け負う支援と、何をいつ残すかから設計する支援では、出せる結論が変わります。
見分け方は、提案の工程がどこから始まっているかを確認することです。ダッシュボードの構築だけが書かれている見積では、記録の中身は変わりません。項目の追加とレポートの作成だけで終われば、集計する対象は今までと同じままです。
この会社が3年間「価格」を集計し続けても打ち手が出なかったのは、集計の側に問題がなかったためです。集計は正しく動いており、入っている記録が実態と違っていました。
ツール設定ではなく業務設計から入ってほしい場合は、失注の記録を読み直す工程が提案に含まれているかが判断材料になります。
判断軸②既存の商談データを読めるかどうか
2つ目に挙げるのは、既存の商談データを読めるかどうかです。分類を実態から作るには、過去の失注を1件ずつ読む作業が要ります。
この作業を外部に任せる場合、自社のデータを読める状態にする準備も必要になります。商談の本文が営業ごとの書き方で残っている状態では、外部の担当者は状況を判別できません。読める形にするところまでを工程に含めているかを確認します。
先ほどの会社では、営業企画の1名が60件を読むのに約12時間かかりました。外部に任せる場合も、同じ規模の時間が見積に入っているかを見れば判断できます。読む工数が計上されていない見積は、既存の集計を組み替えるだけの提案にあたります。
定着まで伴走してほしい場合は、四半期ごとの見直しまで契約の範囲に入っているかが判断材料になります。
判断軸③営業の進め方を理解しているかどうか
3つ目は「営業の進め方を理解しているかどうか」という判断軸です。失注の記録を読んで分類を作るには、その業界の商談の進み方を知っている必要があります。
知らなければ、記録に書かれた状況がどの段階のものかを判別できません。「見積を出した」という記録が最終段階なのか初回の概算なのかは、業界によって違います。
この業務用冷凍機器の会社でも、分類を決める場に営業課長2名が同席しました。営業企画の1名だけでは、記録に出てくる状況の重みを判断できなかったためです。同席した2名が、どの記録が最終段階のものかをその場で仕分けています。
ソリューション営業に特化した支援がほしい場合は、記録を読む担当が営業の経験を持っているかを確認してください。
判断軸④設計の確認だけを頼めるかどうか
4つ目は「設計の確認だけを頼めるかどうか」という判断軸です。分類と項目の案を自社で作れるなら、外部に必要なのは案の確認だけの場合があります。
構築や集計まで一括で請け負う形しか用意していない支援会社では、この頼み方ができません。工程を切り出して依頼できるかどうかは、着手前に確認しておく項目にあたります。
この会社も、記録の読み直しと項目の設計は営業企画の1名で進められる見通しでした。判断に迷ったのは、12の分類を6つへ絞る案が実態を落としていないかという1点だけです。
自社で構築するので設計レビュー・アドバイザリーだけ頼みたい場合は、工程を切り出した依頼を受けているかを確認しましょう。支援会社の選び方の全体像は、Agentforce導入支援会社の7つの見極め方として整理しています。
失注分析に向いている企業の3つの条件
ここまでの工程は、どの企業でも同じ効果が出るわけではありません。商談の形によっては、記録を設計しても差が見えない場合があります。その場合、項目を増やす作業だけが残り、読み返す材料は増えません。投資の判断を早くするために、着手の前に3つの条件を確かめてください。そこでここでは、失注分析に向いている企業の3つの条件を整理します。
件数が多ければ効くという話にはなりません。失注分析が効くのは、商談に一定の期間があり、同じ製品を繰り返し提案している企業です。
条件①商談の期間が1か月を超える
1つ目は「商談の期間が1か月を超える」条件です。検討の期間があることで、途中に記録を残す機会が生まれます。
期間が短い取引では、この設計は成立しません。その場で決まる商談には、途中の段階が存在しないためです。記録できるのは結果だけになり、失注した時点で理由を選ばせる運用と同じ形へ戻ってしまいます。
先ほどの業務用冷凍機器の会社の商談は、平均で3か月ほどでした。初回訪問から提案、最終比較までに複数回の接点があり、それぞれの時点で記録を残せます。1か月で終わる商談では、この接点が1回か2回しかなく、途中の変化を残す場が足りません。
自社の商談の平均期間を、受注と失注に分けて確かめましょう。1か月を下回るなら、途中で残す設計より、面談ごとの短い記録を積む形が向きます。
条件②同じ製品を繰り返し提案している
2つ目に挙げるのは、同じ製品を繰り返し提案している条件です。提案の型が定まっていれば、失注の理由を比べられます。
案件ごとに提案の内容がまったく違う受託開発のような商材では、比較の意味が薄くなります。個別の事情が大きく、型として括れる件数が集まりません。同じ分類に入った2件を並べても、共通しているのは分類名だけです。
この会社の対象は店舗向けの冷凍ショーケースで、提案の流れが定型でした。121件が同じ型の商談だったため、比べる材料がそろっています。同じ製品で複数の失注が並んだ時点で、価格・納期・保守の範囲のどれで差がついたかを絞り込めました。
Agentforceでどこまで扱えるかの全体像は、Agentforceの活用事例の記事でも整理しています。自社の提案が型として括れるかは、直近の提案書を並べて、変わっているのが価格と数量だけかどうかで確かめられます。
条件③失注の件数が月に10件以上ある
3つ目は「失注の件数が月に10件以上ある」条件です。分類の妥当性を判断するには、一定の件数が要ります。
月に2件や3件では、四半期でも10件に届きません。この件数で分類を作っても、偶然の偏りと傾向を区別できません。件数が少ない場合は、分類を作らず1件ずつ読むほうが確実です。
この業務用冷凍機器の会社は、対象製品だけで月におよそ10件の失注がありました。3か月で34件が集まり、分類の見直しに使える件数になっています。1件も使われない分類が出たのもこの34件を読んだ時点で、件数がそろって初めて一覧の過不足が見えました。
自社の失注件数を月単位で数えましょう。10件に届かないなら、記録の設計より1件ずつの振り返りが向きます。
【一問一答】失注分析に関するよくある質問
ここまで、次につながらない理由から向いている企業の条件までを整理してきました。実際に着手する段階で手が止まるのは、記録のタイミングと分類の数、そして営業が正直に書くかどうかの3点です。どれも運用を始めてからでは変えにくく、決め方を先に押さえておくほど後戻りが少なくなるでしょう。効果がいつ見えるかも、社内で最初に聞かれる項目にあたります。そこで最後に、失注分析についてよく寄せられる質問を5つ取り上げます。
質問①失注分析はいつ記録するのがよいですか?
商談が動いている途中です。面談の直後に、決めた項目のうち空欄になっているものを埋め、失注が確定した時点で新しく書くのは、外れた時期と最終的な決め手だけにします。この記事の例に挙げた業務用冷凍機器の会社でも、競合の条件が書かれた9件のうち7件は最終比較の段階で初めて出ていました。結果が出たあとに理由を尋ねると、結果を説明できる分類が選ばれてしまいます。
質問②失注の分類はいくつ作ればよいですか?
6つ前後が目安です。細かい状況は、分類を選んだ根拠を1文で書く欄に残します。20を超える一覧を作ると、選ぶ時間が増えて上から順に近いものが選ばれます。数を決める前に、過去の失注を50件ほど読んでください。
質問③失注分析に受注した商談も要りますか?
受注した商談の記録も要ります。負けた商談だけを集めると、その特徴が原因かどうかを判別できないためです。この会社では、受注した商談で同じ項目が埋まっている割合が6か月後に84%になりました。受注した商談でも同じ項目を埋めておけば、割合の差として原因の候補が出ます。受注側は記録が後回しになりやすいため、尋ねる仕組みの側から声をかける形にします。
質問④失注の理由を営業が正直に書きますか?
記録の使い道によって変わります。人事の評価に使われるなら、自分の判断が原因に見える分類は避けられます。この会社は運用を始める前に営業26名へ説明の場を設け、記録は打ち手を決めるためだけに使うと伝えています。集め始める前に、記録は打ち手を決めるためだけに使うと社内へ伝えてください。伝えた前後で、根拠を書く人数は変わります。
質問⑤失注分析の効果はいつ見えますか?
記録の質は1か月で動きます。根拠が書かれた割合は、尋ねる仕組みを入れた翌月から上がるためです。受注率のような成果の数字は、商談の周期を1回まわす必要があるため、3か月から6か月かかります。早い時期に成果だけを見ると、効果がないという結論になってしまうでしょう。
失注分析は、負けたあとに聞くのをやめて商談の途中で残すと動き出す
失注分析を機能させるために最初に取り組むのは、分類の一覧を作り直すことではありません。ここまで見てきたとおり、記録を求める時点を結果が出る前へ移す作業です。本記事では、次につながらない3つの理由から、記録されない情報、分類を作る前の4つの前提、AIエージェントに残させる設計、打ち手を出す4つの見方、製品1つから始める4つのステップ、つまずく落とし穴、機能しているかを測る4つの指標、外部支援の判断軸、向いている企業の条件までを、一連の流れとして整理してきました。
例に挙げた業務用冷凍機器の会社は、失注208件のうち137件が「価格」で登録されていた状態から、根拠が書かれた割合を12%から79%へ、「価格」で登録される割合を66%から32%へ変えています。かけたのは7週間と、営業企画1名の52時間でした。集計は正しく動いているのに打ち手が出てこない状態が、まだ残っている企業も多いのではないでしょうか。
合同会社クロスコムでは、ソリューション営業の業務プロセスに特化したAgentforceの導入・定着支援を行っています。1ユースケース×3ヶ月のスモールスタートプランから対応しており、無料相談も受け付けていますので、Agentforce導入・定着支援までお気軽にご相談ください。本記事で紹介した内容を、ぜひ自社の記録の設計に合わせて活用し、少しでもお役に立てれば幸いです。
