Agentforce in Slackとは?できることや導入手順、Box for Agentforceの関係

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Slackを全社で使っているものの、そこにAgentforceのAIエージェントを置くと何ができるのか、どう始めればいいのかが分からないという方は多いのではないでしょうか。Agentforce in Slackとは、SlackにAgentforceのエージェントを配置し、チャンネルやDMからチームメイトのように使える仕組みです。応答は、Slackの会話データとSalesforceのCRMデータの両方をもとに組み立てられます。なお、機能や料金は変わりやすいため、本記事は2026年8月時点の情報にもとづいています。

そこで本記事では、SlackでAgentforceにできること、使えるエージェントのテンプレート、導入の5ステップ、混同しやすい「Box for Agentforce」の正体、料金とセキュリティまでを順に整理します。今回は、Slackを全社利用している中堅BtoB企業のカスタマーサクセス兼情報システム担当を例に考えていきます。

目次
  1. SlackでAgentforceにできる主要なこと4選
    1. できること①チャンネルやDMで質問しアクションを実行
    2. できること②カンバスやチャンネルの作成を依頼
    3. できること③顧客ブリーフや専門家の検索を依頼
    4. できること④過去スレッドを参照した回答
  2. Slackで使えるAgentforceのエージェントテンプレート3種
    1. テンプレ①顧客情報を要約するCustomer Insights Agent
    2. テンプレ②社内の質問に答えるEmployee Help Agent
    3. テンプレ③オンボーディングを支援するOnboarding Agent
  3. SlackにAgentforceを導入する5ステップ
    1. ステップ①SalesforceとSlackを接続する
    2. ステップ②利用するメンバーをマッピングする
    3. ステップ③Salesforce側でエージェント接続を作る
    4. ステップ④Slack側でエージェントをインストールする
    5. ステップ⑤権限に応じたアクセス範囲を確認する
  4. 「Box for Agentforce」とSalesforce純正機能の違い3点
    1. 違い①Box for AgentforceはBox社の連携拡張である点
    2. 違い②利用にBox for Salesforceが前提になる点
    3. 違い③AgentExchangeから追加する仕組みである点
  5. SlackでAgentforceを使うのに必要な料金とライセンス
    1. 条件①有料のSlackプラン
    2. 条件②別途必要なAgentforceライセンス
    3. 条件③従業員エージェントの課金の考え方
  6. SlackでAgentforceを使うときのセキュリティの前提3つ
    1. 前提①会話データをLLM学習に使わない仕組み
    2. 前提②ユーザーの権限を引き継ぐアクセス制御
    3. 前提③管理者が追加できるエージェントを制御できる点
  7. 【一問一答】SlackのAgentforceに関するよくある質問
    1. 質問①SlackのAgentforceでは何のエージェントを作れるのか
    2. 質問②Box for AgentforceはSalesforceの標準機能なのか
    3. 質問③SlackのAgentforceに必要なライセンスは何か
    4. 質問④SlackのAgentforceは会話データを学習に使うのか
    5. 質問⑤SlackのAgentforceはどのSlackプランで使えるのか
  8. SlackにAgentforceを置くと会話の場から直接AIに業務を任せられる
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本田正憲

合同会社クロスコムの代表|専門商社にて7年間のBtoB営業を経て、マーケティング業界に参入。現在はSalesforce公式コンサルティングパートナーとして、ソリューション営業の業務プロセスに特化したAgentforce導入・定着支援を提供している。

SlackでAgentforceにできる主要なこと4選

SlackでAgentforceにできる主要なこと4選

まずは、SlackでAgentforceに何ができるかを整理します。Slackに置いたエージェントは、質問に答えるだけでなく、Slack上での作業やSalesforceのデータ参照までを担います。今回の中堅企業では、日々の連絡がSlackに集まっており、そこからAIに仕事を頼めることの意味が大きいと考えていました。ここでは、代表的な4つのことを解説します。

できること①チャンネルやDMで質問しアクションを実行

1つ目は、チャンネルやDMで質問し、そのままアクションを実行できることです。

なぜなら、Slackは普段の会話の場であり、そこからエージェントを呼べれば、別の画面に移らずに用が足りるからです。Agents(Agentforce)タブからエージェントを選んで会話を始めるか、チャンネルで@メンションして質問やアクションを頼めます。

たとえば、先ほどのCS担当が、対応中の顧客について「この会社の直近のやり取りを教えて」とチャンネルで尋ねると、エージェントが該当する情報を返します。過去のスレッドを参照した回答もできるため、経緯を追いかける手間が減ります。会話の流れを止めずに必要な情報が得られる点が便利でした。

SlackのAgentforceは、会話の場から質問とアクションをそのまま行える点が特徴です。

できること②カンバスやチャンネルの作成を依頼

2つ目は、カンバスやチャンネルの作成を依頼できることです。

Slack上での定型的な作業は、人が手を動かす代わりにエージェントに任せられるからです。事前に用意されたSlack Actionsを使い、カンバスの作成やチャンネルの作成・更新、DMの送信、検索の実行などを頼めます。

たとえば、新しい案件が動き出したときに、関係者を集めたチャンネルを作り、要点をまとめたカンバスを用意する、といった作業をエージェントに依頼できます。定型の準備作業をエージェントが引き受けることで、担当者は本来の対応に集中できます。手作業で毎回そろえていた準備が省ける点が効いてきます。

SlackのAgentforceは、カンバスやチャンネルの作成といったSlack上の作業も担えます。

できること③顧客ブリーフや専門家の検索を依頼

3つ目は、顧客ブリーフの生成や、社内の専門家の検索を依頼できることです。

なぜなら、対応の準備には情報の要約や、詳しい人を見つける作業が伴い、それらをエージェントに任せられると効率が上がるからです。顧客情報を要約したブリーフの生成や、特定のテーマに詳しい社内の人を探すといったことができます。

たとえば、商談前に「この顧客の状況を1枚にまとめて」と頼めば、CRMの情報をもとにブリーフが用意されます。社内で相談したいときは、そのテーマに詳しい人をエージェントに探してもらう、といった使い方もできます。準備にかけていた時間を、実際の対応に振り向けられます。

SlackのAgentforceは、対応の準備となる要約や専門家探しも支援します。

できること④過去スレッドを参照した回答

4つ目は、過去のスレッドを参照した回答です。

Slackには過去のやり取りが蓄積されており、それを踏まえて答えられると、回答の的確さが上がるからです。エージェントは、公開されている会話データを必要に応じて参照し、文脈を踏まえて回答します。

たとえば、以前に別のチャンネルで議論された内容について尋ねると、その経緯を踏まえた回答が返ります。同じ質問を何度もやり取りしなくても、過去の議論を引き継いで答えてもらえる点が便利です。情報が人の記憶に頼らず、会話の履歴から引き出せるようになります。

SlackのAgentforceは、質問への回答からSlack上の作業まで、会話の場から直接AIに業務を頼める点が特徴です。

Slackで使えるAgentforceのエージェントテンプレート3種

Slackで使えるAgentforceのエージェントテンプレート3種

前章で見たようなことを、一から設計しなくても始められるよう、Slackにはあらかじめ用意されたエージェントのテンプレートがあります。ここでは、代表的な3つのテンプレートを解説します。

テンプレ①顧客情報を要約するCustomer Insights Agent

1つ目は、顧客情報を要約するCustomer Insights Agentです。

営業やCSの現場では、顧客の状況をすばやく把握する必要があるからです。このテンプレートは、顧客の情報を要約し、関連する専門家を見つけ、ブリーフを生成することを得意とします。

たとえば、先ほどの中堅企業では、CS担当が対応前に顧客の状況を把握するのに、このテンプレートを使うことを想定していました。一から作らなくても、顧客理解を助けるエージェントをすぐに使い始められます。準備に手間をかけずに、対応の質を保てる点が利点でした。テンプレートをそのまま使い、自社に合わせて少しずつ調整していく進め方ができます。

Customer Insights Agentは、顧客理解を助けるためのテンプレートです。

テンプレ②社内の質問に答えるEmployee Help Agent

2つ目は、社内の質問に答えるEmployee Help Agentです。

なぜなら、社内には制度や手続きに関する定型的な質問が多く、それらに人が都度答えるのは負担が大きいからです。このテンプレートは、社内のよくある質問に自動で答えます。

たとえば、経費精算の方法や申請の手順といった質問を、社員がSlackでこのエージェントに尋ねると、社内のルールにもとづいた回答が返ります。同じ質問に人が繰り返し答える必要がなくなります。担当部署への問い合わせが減り、社員も待たずに答えを得られます。バックオフィスの担当者が本来の業務に集中できるようになる点も見逃せません。

Employee Help Agentは、社内の定型的な質問への対応を担うテンプレートです。

テンプレ③オンボーディングを支援するOnboarding Agent

3つ目は、オンボーディングを支援するOnboarding Agentです。

新しく入った人が業務に慣れるまでには、多くの案内と質問対応が必要になるからです。このテンプレートは、オンボーディング用のカンバスを作成し、よくある質問に答えます。

たとえば、新入社員が入ったときに、必要な情報をまとめたカンバスを用意し、初歩的な質問にエージェントが答える、という使い方ができます。受け入れる側の負担を減らしながら、新しい人が自分で情報にたどり着けるようになります。案内する人がいない時間帯でも、疑問をその場で解消できます。

3つのテンプレートを使えば、顧客理解・社内対応・オンボーディングのエージェントを一から作らずに始められます。

SlackにAgentforceを導入する5ステップ

SlackにAgentforceを導入する5ステップ

ここまで、できることとテンプレートを見てきました。では、実際にSlackにAgentforceを導入するには、どう進めればよいのでしょうか。作業はSalesforce側とSlack側の両方にまたがります。ここでは、導入の5ステップを解説します。

ステップ①SalesforceとSlackを接続する

まず取りかかるのは、SalesforceとSlackを接続することです。

なぜなら、SlackのエージェントはSalesforce側で作ったものを使うため、両者がつながっていることが前提になるからです。公式の案内に従って、Salesforceの組織とSlackを接続します。

たとえば、先ほどの企業では、情シス担当がこの接続の作業を担当していました。古いビルダーを使う場合はSlackの連携アプリのインストールが要りますが、新しいAgentforce Builderを使う場合は不要とされています。まずは、この基盤となる接続から始まります。接続が済んで初めて、次のステップに進めます。

導入は、SalesforceとSlackを接続するところから始まります。

ステップ②利用するメンバーをマッピングする

次に行うのが、利用するメンバーのマッピングです。

SlackのユーザーとSalesforceのユーザーを対応づけないと、誰がどの権限でエージェントを使えるかが定まらないからです。プランに応じて、ワークスペースや組織の設定画面から、個別またはCSVでメンバーを追加します。

たとえば、Salesforceのアカウントを持たない人にエージェントを使わせたい場合は、暫定のSalesforceライセンスが必要になります。先ほどの企業では、まず使う範囲を決めてから、対象のメンバーをマッピングしていました。誰に使わせるかを先に決めておくと、この作業がスムーズに進みます。

メンバーのマッピングは、誰がエージェントを使えるかを定める作業です。

ステップ③Salesforce側でエージェント接続を作る

そのうえで行うのが、Salesforce側でエージェントの接続を作ることです。

なぜなら、どのエージェントをSlackで使うかを、Salesforce側で明示的に設定する必要があるからです。Agentforce Studioで対象のエージェントを開き、接続にSlackを追加し、バージョンを確定して有効化します。

たとえば、先ほどの企業では、顧客対応に使うエージェントをSlackに接続する設定を行っていました。ここで接続とバージョンを確定させることで、Slackから呼び出せる状態になります。どのエージェントを出すかを絞っておくと、設定も管理もしやすくなります。

エージェント接続の作成は、SlackとSalesforceのエージェントを結びつける作業です。

ステップ④Slack側でエージェントをインストールする

続いて行うのが、Slack側でのエージェントのインストールです。

Salesforce側で接続を作っても、Slack側で導入の承認をしなければ使えるようにならないからです。プランに応じて、管理画面からエージェントを確認し、権限を確かめてインストールします。

たとえば、組織単位の承認が必要なプランでは、承認したうえで、どのワークスペースに追加するかを選びます。先ほどの企業では、まず一部のチームで試すことを想定し、対象のワークスペースを絞ってインストールしていました。いきなり全社に広げず、小さく始めて確かめる進め方です。使い勝手や効果を確認してから範囲を広げると、現場の混乱を避けられます。

Slack側でのインストールによって、エージェントが実際に使える状態になります。

ステップ⑤権限に応じたアクセス範囲を確認する

最後に行うのが、権限に応じたアクセス範囲の確認です。

なぜなら、エージェントが誰のどのデータにアクセスできるかは、ユーザーの権限によって決まるからです。従業員向けのエージェントは、Salesforce側の権限にもとづいてメンバーのアクセスが自動で割り当てられます。

たとえば、先ほどの企業では、公開する前に、エージェントが参照できる範囲が意図どおりかを確認していました。想定より広い情報に触れられる状態になっていないかを点検してから、利用範囲を広げる計画にしていました。この確認を省くと、情報の扱いで思わぬ問題が起きかねません。

導入は接続から権限確認までの5ステップで、SalesforceとSlackの両方の設定が必要になります。

「Box for Agentforce」とSalesforce純正機能の違い3点

「Box for Agentforce」とSalesforce純正機能の違い3点

Agentforce in Slackを調べていると、「Box for Agentforce」という言葉を見かけることがあります。これはSalesforceの純正機能と誤解されやすいものですが、実際には別の会社が提供する連携拡張です。ここでは、混同を避けるために3つの違いを解説します。

違い①Box for AgentforceはBox社の連携拡張である点

1つ目の違いは、Box for Agentforceが、Salesforce純正ではなくBox社の連携拡張だという点です。

なぜここを押さえるべきかというと、名前にAgentforceが付くため、Salesforceが提供する機能だと誤解されやすいからです。Box for Agentforceは、ストレージを提供するBox社が用意した拡張で、Salesforceの拡張マーケットであるAgentExchangeを通じて提供されます。

たとえば、Boxのコンテンツに対して、ファイルの共有や電子署名の起動、テンプレートからの文書生成、Box AIによるデータ抽出といったアクションを、エージェントから呼び出せます。これらはBox社が用意したものであり、Salesforce標準の機能ではありません。この区別を最初に押さえておくことが重要です。導入を検討する際に、純正機能と勘違いしたまま話が進むと、後で前提条件の確認が漏れることになります。

Box for Agentforceは、Box社が提供する連携拡張です。

違い②利用にBox for Salesforceが前提になる点

2つ目の違いは、Box for Agentforceの利用には、別の拡張であるBox for Salesforceが前提になる点です。

なぜなら、Box for Agentforceは単独では動かず、既存のBox連携の上に成り立つからです。利用にあたっては、AppExchangeで提供される「Box for Salesforce」が導入されていることが前提とされています。

たとえば、Box for Agentforceを使いたい場合、まずBox for Salesforceが入っているかを確認する必要があります。前提となる拡張が入っていなければ、Box for Agentforceのアクションは使えません。導入を検討する際は、この前提条件をあらかじめ確かめておく必要があります。

Box for Agentforceの利用には、前提としてBox for Salesforceが必要です。

違い③AgentExchangeから追加する仕組みである点

3つ目の違いは、Box for AgentforceがAgentExchangeから追加する仕組みだという点です。

なぜなら、Salesforce標準の機能のように最初から使えるものというより、拡張として取り込んで使うものだからです。AgentExchangeは、Agentforce向けの拡張を提供するマーケットで、2025年3月に始まりました。

たとえば、AgentExchangeにはBoxのほかにも多くのパートナーが拡張を提供しています。必要な拡張をここから追加することで、エージェントのできることを広げられます。Box for Agentforceも、こうしたパートナー拡張の一つという位置づけです。

Box for Agentforceは名前に反してBox社の連携拡張であり、Box for Salesforceを前提にAgentExchangeから追加して使うものです。

SlackでAgentforceを使うのに必要な料金とライセンス

SlackでAgentforceを使うのに必要な料金とライセンス

導入の全体像が見えたところで、料金とライセンスを整理します。SlackでAgentforceを使うには、Slack側とSalesforce側の両方で条件があります。ここでは、必要な3つの条件を解説します。

条件①有料のSlackプラン

1つ目の条件は、有料のSlackプランです。

なぜなら、Agentforceの機能はSlackの有料プランを前提に提供されるからです。公式のヘルプでは、Salesforceのagentforceライセンスがあれば、Slackのすべてのプランで利用できると記載されています。ただし、一部のSlack Actionsは無料版では使えないとされています。

たとえば、カンバスの作成といった一部の機能は、無料のSlackプランでは動作しないとされています。二次的な情報では、Pro・Business+・Enterprise Gridといった有料プランが必要と、より具体的に説明されています。実際に使いたい機能が自社のプランで動くかを確認しておくのが確実です。

SlackでAgentforceを本格的に使うには、有料のSlackプランが前提になります。

条件②別途必要なAgentforceライセンス

2つ目の条件は、別途必要なAgentforceのライセンスです。

Slackのプランだけでは足りず、Salesforce側のAgentforceのライセンスがあって初めて使えるからです。SlackでAgentforceを利用するには、Slackの有料プランに加えて、Salesforceのagentforceライセンスが必要になります。

たとえば、Salesforceのアカウントを持たない人にエージェントを使わせる場合は、暫定のSalesforceライセンスが必要になるとされています。SlackとSalesforceの両方でライセンスが要る点を、費用を見積もる段階で押さえておく必要があります。片方だけでは利用できません。

SlackのAgentforceには、Slackの有料プランと別途のAgentforceライセンスの両方が必要です。

条件③従業員エージェントの課金の考え方

3つ目は、従業員向けエージェントの課金の考え方です。

なぜなら、エージェントの利用にどう課金されるかは、付与された権限によって変わるからです。従業員向けのエージェントの利用は、権限に応じて課金の対象になる場合と、対象にならない場合があるとされています。特定の権限が付与されていれば、利用が課金の対象外になります。

たとえば、Slackという場所で動くエージェントの恒常的な課金ルールを、Slackに特化して示した公式の説明は、現時点では確認できていません。組織全体のAgentforceの課金モデルが適用されると考えられます。詳しい課金の考え方は、料金の解説記事とあわせて確認するのが確実です。想定する利用量をもとに、Flex CreditsとConversationsのどちらが合うかを見積もっておくとよいでしょう。

SlackのAgentforceには有料Slackプランと別途Agentforceライセンスが必要で、課金は組織全体のAgentforceモデルに従うと考えられます。

SlackでAgentforceを使うときのセキュリティの前提3つ

SlackでAgentforceを使うときのセキュリティの前提3つ

料金に続いて、セキュリティの前提を整理します。エージェントが会話データや顧客データを扱う以上、安全に使うための仕組みを理解しておく必要があります。ここでは、押さえておくべき3つの前提を解説します。

前提①会話データをLLM学習に使わない仕組み

1つ目の前提は、会話データをLLMの学習に使わない仕組みです。

なぜなら、社内の会話や顧客の情報が外部のモデルの学習に使われることは、多くの企業にとって受け入れがたいからです。公式には、顧客のデータをLLMの学習には使わないと明示されています。

たとえば、公開されている会話データは、回答を組み立てるために必要なときに参照されますが、モデルの学習には使われないとされています。顧客がエージェントのSlackデータへのアクセス範囲を制御できる点も示されています。データが学習に流用されない前提は、導入判断で重要な要素です。社内の情報が外部に渡らないという安心感が、全社での利用を後押しします。

SlackのAgentforceは、会話データをLLMの学習に使わない前提で設計されています。

前提②ユーザーの権限を引き継ぐアクセス制御

2つ目の前提は、ユーザーの権限を引き継ぐアクセス制御です。

エージェントが誰でも同じ情報に触れられると、本来見えてはいけないデータまで見えてしまうからです。SlackのエージェントはユーザーのSlackとSalesforceの権限を使って、アクセスできる範囲を決めます。

たとえば、ある社員がエージェントに質問したとき、返ってくる情報はその社員が本来アクセスできる範囲に限られます。役割ごとの権限がそのまま引き継がれるため、権限の設計がそのままエージェントの安全性につながります。導入前に、権限の設計を点検しておくことが大切です。

ユーザーの権限を引き継ぐ仕組みによって、エージェントのアクセス範囲が制御されます。

前提③管理者が追加できるエージェントを制御できる点

3つ目の前提は、管理者が追加できるエージェントを制御できる点です。

なぜなら、誰でも自由にエージェントを追加できると、管理の行き届かない状態になりかねないからです。管理者は、どのエージェントのアプリをワークスペースに追加できるかを制御できます。

たとえば、先ほどの中堅企業では、情シス担当が、業務で承認したエージェントだけを追加できるようにする方針でした。ガードレールやセキュアなゲートウェイ、キーの管理といった仕組みと組み合わせることで、安全性を保ちます。管理者が導入の可否を管理できる点は、全社展開の前提になります。

SlackのAgentforceは、学習への非利用・権限の引き継ぎ・管理者による制御という前提のもとで安全に使えるよう設計されています。

【一問一答】SlackのAgentforceに関するよくある質問

ここまで、SlackのAgentforceを整理してきました。最後に、よく寄せられる質問に答えていきます。

質問①SlackのAgentforceでは何のエージェントを作れるのか

Slack向けに構築できるのは、従業員向けのエージェントです。エージェントの構築やカスタマイズはSalesforce側のAgentforce Builderで行い、それをSlackに追加して使います。顧客向けのエージェントは対象外で、社内の従業員が使うエージェントが対象になります。

質問②Box for AgentforceはSalesforceの標準機能なのか

いいえ、標準機能ではありません。Box for Agentforceは、ストレージを提供するBox社が用意した連携拡張で、SalesforceのAgentExchangeを通じて提供されます。利用にはAppExchangeのBox for Salesforceが前提になります。名前にAgentforceが付くため誤解されやすい点に注意が必要です。

質問③SlackのAgentforceに必要なライセンスは何か

Slackの有料プランと、別途のSalesforce Agentforceライセンスの両方が必要です。公式ヘルプでは、AgentforceライセンスがあればすべてのSlackプランで使えるとされますが、一部の機能は無料版では動きません。Salesforceのアカウントを持たない人には、暫定のSalesforceライセンスが必要になります。

質問④SlackのAgentforceは会話データを学習に使うのか

使いません。公式には、顧客のデータをLLMの学習に使わないと明示されています。公開された会話データは、回答を組み立てるために必要なときに参照されますが、モデルの学習には使われません。データのアクセス範囲は顧客側で制御できます。

質問⑤SlackのAgentforceはどのSlackプランで使えるのか

公式ヘルプでは、AgentforceライセンスがあればすべてのSlackプランで利用できると記載されています。ただし、カンバスの作成など一部のSlack Actionsは無料版では使えず、二次的な情報ではPro・Business+・Enterprise Gridといった有料プランが必要と説明されています。使いたい機能が自社のプランで動くかを確認してください。

SlackにAgentforceを置くと会話の場から直接AIに業務を任せられる

Agentforce in Slackとは、SlackにAgentforceのエージェントを配置し、チャンネルやDMからチームメイトのように使える仕組みです。本記事では、Slackでできること、エージェントのテンプレート、導入の5ステップ、混同しやすいBox for Agentforceの正体、料金とセキュリティまでを、2026年8月時点の情報にもとづいて整理してきました。

SlackのAgentforceの価値は、普段の会話が集まる場所から、別の画面に移らずにAIへ業務を頼める点にあります。質問への回答だけでなく、カンバスの作成や顧客ブリーフの生成といった作業まで、会話の流れの中で完結します。まずは一部のチームで、従業員向けのエージェントを一つ試すところから、SlackとAgentforceの組み合わせを確かめてみてはいかがでしょうか。本記事が、その一助になれば幸いです。