Agentforceは、営業やカスタマーサポートの業務を自律的に支えるAIエージェントです。しかし、初期設定を終えた多くの企業が、エージェントは動いているのに現場で使われず、狙った業務課題が解決しないまま止まっているのではないでしょうか。
そこで本記事では、Agentforceが定着しない失敗パターンから、定着を生むユースケース設計の原則、フェーズ別の確認指標、導入後最初の3か月のロードマップまでを解説します。
当社はSalesforce公式コンサルティングパートナーとして、 ソリューション営業に特化したAgentforce導入・定着支援を 行っています。
- どのユースケースから始めればいいか分からない
- 設定は完了したが現場に定着しない
- ナレッジ設計から一緒に考えてほしい
というお悩みがあればお気軽にご相談ください。 1ユースケース×3ヶ月のスモールスタートプランから対応しています。
この記事を書いた人
合同会社クロスコムの代表|専門商社にて7年間のBtoB営業を経て、マーケティング業界に参入。現在はSalesforce公式コンサルティングパートナーとして、ソリューション営業の業務プロセスに特化したAgentforce導入・定着支援を提供している。
Agentforce定着に失敗するパターン3選

本記事では、工作機械を扱うある専門商社(営業40名)が、商談前の情報収集というユースケースからAgentforceを導入したケースを例に、解説を進めます。この会社のように、設定さえ完了すれば現場は自然に使い始めると考えている企業は少なくありません。
そこでここでは、Agentforceが定着せずに終わってしまう代表的な3つの失敗パターンを整理していきます。
| 失敗パターン | 起きている状態 | 背景にある要因 |
|---|---|---|
| ①使われていない | 設定は完了したが現場が手作業に戻る | 業務課題に合っていない |
| ②3か月で利用が減る | 最初は使われたが利用回数が減る | 改善されず使われなくなる |
| ③属人化 | 一部の担当者だけが使い続ける | 全体への展開設計がない |
パターン①設定は完了したが現場で使われていない
1つ目のパターンは「設定は完了したが現場で使われていない」状態です。エージェントは正しく動作しているのに、現場の担当者がまったく使わず、狙った業務改善が進みません。導入プロジェクトとしては完了と報告されるため、経営層からは問題が見えにくく、対応が後手に回りやすくなります。
では、なぜAgentforceは現場で使われないのでしょうか。それは、設定のゴールがエージェントを動かすことどまりになっており、営業の業務課題を解決するところまで設計されていないからです。技術的には正しく構築されていても、担当者が自分の仕事が楽になると分からなければ、わざわざ新しい画面を開いて操作しようとは思いません。
定着に向けた最初の壁は、機能を追加することではなく、その業務が本当に現場の課題に合っているかをもう一度問い直すことにあります。たとえば、先ほどの専門商社では、商談前の情報収集をAgentforceに任せられるよう設定しました。ところが、ベテラン営業から「自分で過去の案件フォルダを見たほうが早い」という声が上がり、若手も設定された画面をほとんど開かないまま、数日で元の手作業に戻ってしまいました。
Agentforceの機能ではなく、業務との相性を確かめる工程が抜けていたことが失敗の原因だと考えられます。
パターン②最初は使われたが3か月で利用が減った
次に多いのが、導入直後はある程度使われたのに、3か月ほどで利用回数が減っていったパターンです。一度は利用者数が増えているだけに、減少に気づくのが遅れ、原因の特定が難しくなりがちです。営業成果にプラスの変化が出ているかまで見ていないと、この減少はなかなか止められません。
各ユーザーのAgentforceの利用状況は管理画面で確認できていても、その利用が営業成果につながっているかまでは把握できていないことが、利用が減る大きな要因だと考えられます。AIエージェントは、担当者からのフィードバックを受けて回答や手順を継続的に調整することで、はじめて実務で使える精度に近づいていきます。
この専門商社では実際に、議事録の要約機能を初期設定のまま2〜3か月使い続けた結果、自社で扱う工作機械の型番が正しく認識されない状態が放置されていました。若手営業が「要約を毎回手で直すくらいなら、最初から自分で書いたほうが早い」と判断し、利用回数が目に見えて減っていったのです。だからこそ、導入後も継続的に使ってもらうための改善に注力しなければいけません。
パターン③特定の担当者だけが使い続けている
3つ目は「特定の担当者だけが使い続けている」パターンです。一見するとうまくいっているように見えて、実際には危うさを抱えている状態を指します。熱心な一部のメンバーが活用している一方で、チーム全体には利用が広がっていません。
この状態が抱える問題は、その担当者が異動や退職でいなくなると、チーム全体の利用がほぼゼロに戻ってしまうことです。個人の工夫や熱意によって運用が支えられている場合だと、まだ組織としての仕組みとは呼べず、投資の成果が一人の担当者に紐づいたままになってしまいます。
先ほどの専門商社を例にとると、IT機器に強い若手営業がひとりだけ、自分なりのプロンプトを工夫してAgentforceを使いこなし、商談準備の時間を大きく減らしていました。しかし、その方法がチームに共有されていなかったため、彼が異動した途端に部署全体の利用回数はほぼゼロに戻ってしまいました。
Agentforce定着が目指すのは、誰が担当しても同じように業務課題を解決できる状態をつくることだといえるでしょう。
なぜAgentforceは現場に定着しないのか?

先ほど説明したAgentforce定着に失敗するパターンがわかっても、そもそもなぜAgentforceは現場に定着しないのでしょうか。そこでここでは、その背景にある構造的な要因を、3つの観点から解説していきます。
理由①ユースケース設計に現場担当者が関わっていないから
まず挙げられるのが、エージェントの使いどころを決める設計段階に、実際に使う現場担当者が関与していないことです。設計が情報システム部門や一部の推進担当だけで完結してしまうと、現場の実務との間にずれが生まれます。このずれが、定着しない構造的な要因の1つになります。
日々の業務のどこに手間がかかっているのかは、実際にその業務を担当している人にしか分かりません。外から見て効率化できそうだと判断した作業と、現場が本当に楽にしてほしい作業は、多くの場合で一致しないからです。
具体例でいうと、この専門商社では、情報システム担当が「商談前の情報収集を自動化すれば喜ばれるはずだ」と考えて設定を進めました。ところが、営業が本当に負担に感じていたのは、集めた情報を提案書の形式に整える作業のほうでした。使う人に一度ヒアリングしていれば防げたずれであり、設計に当事者が関与したかどうかが、その後に業務課題を解決できるかどうかを大きく左右します。
理由②「使いやすさ」より「機能の正確さ」が優先されたから
もう1つの要因は、エージェントが正確に動作することを優先し、現場にとっての使いやすさが後回しになることです。ビジネス課題を解決することよりもシステムの技術的な完成度を最優先してしまうと、ユーザー目線が欠けてしまう場合があります。もちろん、回答の正確さは欠かせません。
しかし、エージェントを呼び出すまでの手順が多かったり、欲しい答えにたどり着くまで何度もやり取りが必要だったりすると、担当者は自分でやったほうが早いと感じてしまいます。現場の担当者が求めているのは、エージェントの出力精度ではなく、商談準備が速くなる業務変化だからです。
この専門商社の場合は、Agentforceの回答精度は高かったものの、営業が普段使っているSlackとは別の画面を開かないと呼び出せない設定になっていました。「一件ごとに画面を移動するのが面倒だ」という理由で、正確な回答が返ってくるのに使われなくなっていったのです。正確さと使いやすさは、どちらも業務課題の解決に欠かせない条件だといえるでしょう。
理由③導入後の改善サイクルが設計されていないから
そのうえで見落とされやすいのが、導入後に改善を続ける仕組みが用意されていないことです。多くの導入プロジェクトはエージェントを公開することをゴールに設計されており、その先の運用フェーズが計画から抜け落ちています。AIエージェントは、一度構築すれば完成するものではありません。
現場での使われ方やつまずきを集め、回答や手順を継続的に調整していくことで、ようやく実務で安定して使える精度に近づきます。この改善を続ける仕組みが動かなければ、導入初期の粗さがそのまま弱点として残り続けます。
この会社では実際に、誰が、いつ、何を見て改善するのかが決まっていませんでした。営業から「型番の認識精度を上げてほしい」という要望が出ても、それを集めて設定に反映する担当者がいないまま放置されてしまったのです。Agentforce定着は一度で完了するものではなく、運用しながら業務課題の解決に近づけていく取り組みだと考えます。
Agentforce定着を生むユースケース設計の原則4つ

それでは、現場に定着し、業務課題の解決につながるユースケースは、どう設計すればよいのでしょうか。そこでここでは、Agentforce定着を生むユースケース設計の原則を、4つに整理して解説します。
原則①「業務の代替」より「負荷の軽減」から始める
1つ目の原則は「業務の代替より負荷の軽減から始める」ことです。なぜ負荷の軽減から始めるべきかというと、担当者が仕事を奪われると身構えるのではなく、仕事が助かると受け止められるからです。人の仕事をまるごと置き換えようとすると設定の難易度も上がり、現場の警戒感も強くなってしまいます。
抵抗感の小さい業務から導入すれば、Agentforceは自然と使われはじめ、この最初の成功体験が、活用範囲を広げるときの後押しになります。まず狙うべきは、派手な自動化ではなく、現場の負担がすぐ軽くなる地味な業務です。
たとえば、この専門商社では、いきなり提案書の自動作成をねらわず、商談前の情報収集だけをAgentforceに任せることから始めました。最終的な提案内容は営業が判断したまま、その判断材料を集める作業だけを任せたことで、現場から「この部分だけでも助かる」という反応が生まれたのです。負荷の軽い業務から段階的に始めることが、現場の業務課題を無理なく解決していく確実な進め方になります。
原則②1ユースケースに絞って小さく始める
次に大切なのが、対象を1つのユースケースに絞り、小さく始めることです。あれもこれもと複数の業務を同時に対象にすると、設計も運用も一気に複雑になり、どこから手をつけるべきか分からなくなってしまいます。対象を1つに絞れば、効果の検証と改善を繰り返しやすくなります。
範囲が狭ければ、何がうまくいき、何がつまずいたのかがはっきりと見えます。費用の面でも、Agentforceは使った分だけ消費するFlex Creditsが中心のため、小さく始めれば予算の見通しも立てやすくなります。
この会社では、情報収集・議事録要約・メール下書きの3つを同時に始めるのではなく、まずは情報収集の1つに絞り、営業10名のチームで試すことから始めました。最初の1つを確実に定着させてから徐々に横展開していくことが、堅実に社内へ浸透させる方法だといえます。
原則③現場担当者を設計の起点にする
3つ目の原則は「現場担当者を設計の起点にする」ことです。これは、理由①で述べた現場が関与しない設計を避けるための、具体的な実践方法にあたります。本当に楽にしてほしい作業を知っているのは、ほかならぬ現場の担当者だからです。
推進側が良かれと思って選んだ機能よりも、現場が毎日やっていて面倒だと感じている作業のほうが、定着しやすく、業務課題の解決にも直結します。そのため、設計の出発点は現場に置く必要があります。
先ほどの専門商社では、設定に着手する前に営業10名へヒアリングを行いました。すると、推進側が想定していなかった「過去に似た仕様で納入した案件を毎回探すのに時間がかかる」という共通の悩みが見えてきたのです。この悩みを出発点に設計し直したことで、現場から「使ってみたい」という声が自然と増えていきました。当事者が設計に関わったかどうかが、その後の定着を大きく左右するといえるでしょう。
原則④定期的に使いやすさのフィードバックを収集する
最後に欠かせないのが、使いやすさに関する意見を定期的に集める仕組みを、あらかじめ設計に組み込んでおくことです。これは、理由③で述べた改善の取り組みを、運用が始まる前から準備しておくものです。現場の不満や要望は、放っておくと声にならないまま利用が減る原因になってしまいます。
使いにくいと感じた担当者の多くは、わざわざ管理者へ報告せずに、気づかないうちにAgentforceを使わなくなっていきます。そのため、こちらから先回りして担当者の意見を集める仕組みが欠かせません。
たとえば、この会社の場合、月に一度の短いヒアリングと、回答に対する「役立った」「直してほしい」の評価ボタンを用意しました。担当者から集めた意見を毎月1つずつ設定に反映していったことで、工作機械の型番の認識精度は着実に上がっていきました。担当者から意見をもらう仕組みと、それを改善につなげる仕組みの両方がそろってはじめて、現場の利用が定着します。
Agentforce定着フェーズ別の確認指標3段階

設計した1つのユースケースが現場で使われ続け、業務課題の解決につながっているかどうかは、どの指標を見れば判断できるのでしょうか。そこでここでは、Agentforceの導入から定着までを3つのフェーズに分け、それぞれの段階で確認すべき指標を解説します。
フェーズ①立ち上げ期(1か月目)の確認指標
最初の立ち上げ期にあたる1か月目に確認すべきなのは、削減できた業務時間ではなく、現場で実際に使われているかどうかです。導入直後からいきなり業務成果を求めてしまうと、評価の判断を誤ってしまいます。
では、なぜ立ち上げ期に利用の有無を重視するのでしょうか。それは、そもそも使われていなければ、改善するための手がかりすら得られないからです。最初に越えるべきは回答の精度ではなく、担当者が一度でも実際に使ってみる状態をつくれているかどうかにあります。
この専門商社では、営業10名のうち何人が実際にエージェントを使ったか、1人あたり何回呼び出したかを毎週確認しました。最初の2週間で使ったのが3名だけと分かり、呼び出しやすさとSlackからの導線を見直したことで、1か月目の終わりには8名まで利用者が増えたのです。立ち上げ期はまず、担当者が実際に使う状態をつくり、利用者数を増やすことに集中するのがおすすめです。
フェーズ②定着期(2〜3か月目)の確認指標
2つ目のフェーズは「定着期(2〜3か月目)」です。ここで確認したいのは、一度使われはじめた利用が一過性で終わらず、日常の業務に組み込まれているかどうかです。立ち上げ期に増えた利用が続いているかどうかが、定着するかどうかの分かれ目になります。
この時期に継続利用を重視するのは、先に述べたパターン②のように、最初だけ使われて利用回数が減ってしまう事態を防ぐためです。一度使った担当者が翌週も使っているかどうかは、どれだけ定着しているかを測る有効な指標になります。
実際に、この専門商社では、週ごとの利用継続率を確認したところ、商談前の情報収集の用途だけ利用が続き、ほかの用途はほとんど使われていないと分かりました。そこで利用が続いている情報収集の精度をさらに高めることに絞ったことで、営業8名がほぼ毎週使う状態が定着したのです。使われ方の変化を丁寧に確認し、利用が増えている用途を広げていくことが、この時期に効果的な取り組みだと考えます。
フェーズ③改善期(4か月目以降)の確認指標
最後の改善期にあたる4か月目以降は、利用が定着していることを前提に、業務成果と改善の進み具合を見ていく段階です。この段階に入って、ようやく業務課題がどれだけ解決したかを問えるようになります。使われはじめて間もない時期に成果を評価すると、まだ本領を発揮していないエージェントを過小評価することになってしまいます。
エージェントが十分に使われて初めて、その効果が数字として表れます。改善期では、削減できた業務時間や、担当者の反応の変化を確かめていきます。
先ほどの専門商社を例にとると、商談前の情報収集にかかっていた時間が1件あたり40分から15分に短縮され、営業8名で月におよそ50時間の削減につながりました。あわせて、利用が一部の担当者に偏っていないか、つまりパターン③の属人化が起きていないかも点検しています。成果が数字として見えてくれば、次のユースケースへ広げるための判断材料が得られます。
Agentforce定着までの3ヶ月ロードマップ

ここまで整理した原則と指標を、実際の時間の流れに沿って進めるには、どのような順番で取り組めばよいのでしょうか。そこでここでは、導入後最初の3か月でAgentforceの導入が定着する構造をつくるロードマップを、月ごとのステップに分けて解説します。
ステップ①1か月目:ユースケースを1つに絞って初期設定を完了させる
1か月目に取り組むのは、対象となるユースケースを1つに絞り込み、現場が実際に使える状態まで初期設定を仕上げることです。原則②で述べた小さく始める考え方を、最初の月で具体的な形にしていきます。対象を広げたまま始めると、設定も検証もすべてが中途半端になってしまいます。
1つのユースケースに集中すれば、現場へのヒアリングから設定、テストまでの一連の流れを、1か月のうちに一通り進め切れます。題材としては、負担が重く、繰り返しの多い準備作業が向いています。
この会社では、商談前の情報収集を対象に決め、営業へのヒアリングをもとにエージェントのトピックとアクションを設計し、10名での試用まで1か月で進めました。最初の1か月で、動かせるだけでなく、現場の課題を解決できそうだという見通しまで持てるかどうかが、続く2か月目の成否を分けます。
ステップ②2か月目:現場トレーニングを実施して運用を軌道に乗せる
次の2か月目は、対象とする範囲を少しずつ広げながら現場トレーニングを実施し、日常業務のなかで自然に使われる状態をつくる月です。立ち上げ期の利用率を引き上げる、運用を本格的に始める重要な時期になります。使い方が分からないというだけの理由で利用をやめてしまう担当者が、一定数いるからです。
短い時間であっても、実際の業務に沿った使い方を目の前で見せるだけで、利用のハードルは大きく下がります。あわせて、業務の流れのなかからすぐに呼び出せる導線も整えておきます。
たとえば、この専門商社では、営業が普段から開いているSlackから直接Agentforceを呼び出せるようにし、実際の商談を題材にした短い実演を朝会で共有しました。この場で集まった「型番を指定すれば過去案件も出してほしい」といった要望が、そのまま次の改善に使う材料になったのです。使いはじめた担当者が離れないようにすることが、2か月目に果たすべき役割です。
ステップ③3か月目:利用状況を可視化して改善サイクルを確立する
最後の3か月目に取り組むのは、これまでの利用状況を見える化し、改善を継続的に回す仕組みを運用に定着させることです。原則④と改善期の指標を、日々の運用の習慣にしていきます。ある程度の利用データが蓄積されて初めて、意味のある改善ができるようになります。
誰がどのくらい使い、どこでつまずいているのかが見えてくれば、次に手を入れるべき点がはっきりします。ここまで来れば、担当者の負担が少ない状態で運用を続けられるようになります。
実際に、この会社では、月ごとに利用ログを振り返り、営業から寄せられた要望を1つずつ設定に反映する場を設けました。3か月目には、型番の認識精度への改善要望が月7件から2件へと減り、商談準備にかかる時間も1件あたり20分台まで短縮されていきました。この小さな見直しを止めずに続けたことが、4か月目以降も安定して業務課題を解決し続ける支えになったのです。
Agentforce定着支援を任せる会社の見極め方3つ

自社だけで定着まで進めることが難しい場合、Agentforceの導入支援会社に力を借りる方法もあります。そこでここでは、設定だけで終わらせず、業務課題の解決まで支援してくれる会社を見極めるための観点を、3つ解説します。
見極め①設定後も継続的に運用を支援するか
1つ目の観点は「設定後も継続的に運用を支援するか」です。その会社が構築して納品したら終わりなのか、それとも公開後の運用まで継続的に支援してくれるのかを確認します。Agentforceが業務課題の解決につながるかどうかは設定を終えた後に決まるため、この点が最初の見極めどころになります。
本記事で見てきた失敗の多くは、設定を終えた後の運用フェーズで起きています。改善を一緒に続けてくれる相手かどうかで、定着するかどうかは大きく変わります。
先ほどの専門商社では、契約範囲が構築までで切れていて、導入後に相談できる相手がいなかったことが、最初につまずいた一因でした。提案の段階で、運用や改善の支援が契約に含まれているか、月次で振り返る体制が用意されているかを必ず確認しておく必要があります。
見極め②現場の業務を理解した設計ができるか
次に確かめたいのが、自社の現場業務を理解したうえでユースケースを設計できるかどうかです。技術力が高いだけでは、現場に本当に合ったユースケースを設計できません。
Salesforceの構築に精通していても、営業や業務の流れを理解していなければ、実際に使われる設計にはたどり着けません。機能の説明に終始する会社なのか、業務課題から逆算できる会社なのかを見分けたいところです。
この専門商社のように商談期間が長く、提案に技術的な情報が絡む業種であれば、その事情を理解している相手のほうが、業務のどこを任せると効果が出るかまで踏み込んで提案してくれます。自社の業務に踏み込んだ質問をしてくるかどうかを見れば、相手の理解度を判断できます。
見極め③利用状況のモニタリング体制があるか
3つ目の観点は「利用状況のモニタリング体制があるか」です。導入後の利用状況をモニタリングし、そのデータを改善につなげる体制があるかどうかを確認します。感覚ではなく数字で定着を測れる相手なのかどうかを、ここで見極めます。
フェーズ別の指標で見てきたように、Agentforceが業務課題を解決できているかどうかは、数字で確認して初めて具体的な手を打てます。利用ログや継続率を一緒に確認し、次の改善策まで提案してくれる体制があれば、導入後の運用は安定していきます。
会社選びの基準は、ほか記事「Agentforce導入支援会社の選び方」にて詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてもらえると嬉しいです。定着まで見据えて依頼先を選ぶことが、投資を無駄にしないための判断につながります。
【一問一答】Agentforce定着に関するよくある質問

最後に、Agentforce定着についてよく寄せられる疑問に、簡潔にお答えします。
質問① Agentforceが定着するまでにどのくらいの期間がかかりますか?
1つのユースケースに絞る場合、3か月を1つの目安と考えてください。1か月目で初期設定、2か月目でトレーニングと運用開始、3か月目で可視化と改善に取り組む流れが、現実的な進め方です。
ただし、この3か月は完成までの期間ではなく、運用が安定するまでの期間です。4か月目以降も改善を続けながら、業務課題の解決の幅を少しずつ広げていきます。最初から完璧を目指すのではなく、まず現場に使われる状態をつくることを優先しましょう。
質問② 現場の抵抗を減らすにはどうすればいいですか?
現場の仕事を奪うのではなく、負担を軽くする業務から導入することが有効です。商談準備や議事録の要約といった、担当者が面倒に感じている作業から任せると助かる反応が先に生まれます。
加えて、設計の段階から現場担当者を巻き込むことも欠かせません。自分たちが関わってつくり上げたエージェントには、当事者としての意識が生まれます。
質問③ Agentforceが定着しているかは何で確認できますか?
確認すべき指標は、フェーズによって変わります。以下の通りです。
- 立ち上げ期・・・利用者数と利用回数
- 定着期・・・週ごとの継続利用率
- 改善期・・・削減できた業務時間や担当者の反応
なかでも週ごとの継続利用率は、Agentforceが定着しているかどうかを判断するうえで、とくに有効な指標です。一度使った担当者が翌週も使い続けているかどうかが、定着または一過性のどちらかを見極める重要な指標になります。段階に合った指標で確認していくことが大切です。
質問④ ユースケースは途中で変更してもいいですか?
問題ありません。むしろ、運用しながら効果の小さいユースケースを見直していくことは、健全な進め方です。最初に想定したユースケースが現場に合わないことは、決して珍しくありません。
現場に本当に合う題材は、実際に使ってみて初めて見えてきます。大切なのは、思いつきで変えるのではなく、利用ログや担当者の声という根拠にもとづいて判断することです。効果が出ている用途は広げ、使われていない用途は見直す判断を、運用のなかで繰り返しましょう。
設定した日より使われ続けた日数がAgentforceの成果を決める
本記事では、Agentforceが定着しない3つの失敗パターンとその要因から、定着を生むユースケース設計の4つの原則、フェーズ別の確認指標、そして導入後最初の3か月のロードマップと支援会社の見極め方までを、一連の流れとして解説してきました。
Agentforceの成果を決めるのは、設定がどれだけ精緻に仕上がったかではなく、その後に現場でどれだけ使われ、業務課題をどれだけ解決できたかです。今回例に挙げた専門商社も、商談前の情報収集という1つのユースケースに絞り、3か月かけて営業8名に定着させたことで、商談準備の時間を1件あたり40分から15分へと短縮できました。現場で小さく始めたものであっても、担当者がエージェントを使い続けるなかで改善を積み重ねていけば、担当者は自然とAgentforceを業務課題の解決に活用できるようになります。
Agentforceは、導入して終わりの道具ではなく、運用しながら継続的に改善していくものです。本記事で紹介した進め方を、ぜひ自社の状況に合わせて実践してみてはいかがでしょうか。
Agentforceの導入から定着までを、営業現場を理解したうえで一緒に進めたい場合は、Agentforce導入・定着支援サービスにお気軽にご相談ください。1ユースケース×3か月のスモールスタートから対応しています。
