AppExchangeとは?アプリで足すかAgentforceで組むかの判断

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AppExchangeとは、Salesforceに機能を足すアプリや、導入を支援する会社を探せるマーケットプレイスのことです。並んでいるものはアプリ・コンサルティングパートナー・コンテンツの3種類で、このうちSalesforceの導入を支援するコンサルティングパートナーは、2026年9月時点で317社が掲載されています。足りない機能を補おうとして開いたものの、候補が多すぎて選べないまま閉じてしまった経験はないでしょうか。

AppExchangeは、欲しい機能を探す場所である前に、自社で組む前に「すでにあるか」を確かめる場所です。同じ業務を解く手段には、アプリを入れる、標準機能で組む、Agentforceに任せるという3つがあり、どれを選ぶかを決めてから探すと、候補は自然に絞れます。

そこで本記事では、AppExchangeに並んでいるものの整理から、AgentExchangeとの違い、アプリで足すか自社で組むかを分ける基準、そして探し始める前に決めることまでを解説します。

目次
  1. AppExchangeに並んでいる3つの種類
    1. 種類①機能を足すアプリ
    2. 種類②支援する会社を探す欄
    3. 種類③学ぶためのコンテンツ
  2. どこが違う?AppExchangeとAgentExchangeの違い3つ
    1. 違い①並んでいるものが違う
    2. 違い②入れた後に動かす人が違う
    3. 違い③自社のデータとの関わり方が違う
  3. アプリで足すか自社で組むかを分ける4つの基準
    1. 基準①その業務が自社に固有か
    2. 基準②使う人数が何人か
    3. 基準③変更の頻度が高いか
    4. 基準④止まったときに代わりが利くか
  4. Agentforceで組むと変わる3つのこと
    1. 変わること①画面を増やさずに使える
    2. 変わること②既存の権限をそのまま使える
    3. 変わること③判断の手順を自社で決められる
  5. アプリを入れる前に確かめる4つの問い
    1. 問い①どのエディションで動くか
    2. 問い②自社のデータをどこへ出すか
    3. 問い③解約したときに何が残るか
    4. 問い④日本語で使えるか
  6. アプリの検討でつまずく3つの場面
    1. 場面①探す言葉が業務の言葉と合わない
    2. 場面②似たアプリの差が読み取れない
    3. 場面③試用の期間に確かめる項目を決めていない
  7. アプリを増やしたときに出る3つの兆候
    1. 兆候①同じデータを2か所で入力している
    2. 兆候②画面のどこに何があるか説明できない
    3. 兆候③解約したいが影響範囲が分からない
  8. 探し始める前に決める3つのこと
    1. 決めごと①解きたい業務を1つに絞る
    2. 決めごと②入れないと決める基準を書く
    3. 決めごと③試す期間と判断する人を決める
  9. 自社で組むと決めた後の3つの選択肢
    1. 選択肢①標準機能の設定だけで組む
    2. 選択肢②Agentforceに判断を任せる
    3. 選択肢③開発して作る
  10. AppExchangeでよくある3つの思い込み
    1. 思い込み①入れればすぐ使える
    2. 思い込み②無料のアプリは費用がかからない
    3. 思い込み③アプリを入れれば設定は要らない
  11. 【一問一答】AppExchangeに関するよくある質問
  12. AppExchangeは、自社で組む前に「すでにあるか」を確かめる場所
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目次
  1. AppExchangeに並んでいる3つの種類
    1. 種類①機能を足すアプリ
    2. 種類②支援する会社を探す欄
    3. 種類③学ぶためのコンテンツ
  2. どこが違う?AppExchangeとAgentExchangeの違い3つ
    1. 違い①並んでいるものが違う
    2. 違い②入れた後に動かす人が違う
    3. 違い③自社のデータとの関わり方が違う
  3. アプリで足すか自社で組むかを分ける4つの基準
    1. 基準①その業務が自社に固有か
    2. 基準②使う人数が何人か
    3. 基準③変更の頻度が高いか
    4. 基準④止まったときに代わりが利くか
  4. Agentforceで組むと変わる3つのこと
    1. 変わること①画面を増やさずに使える
    2. 変わること②既存の権限をそのまま使える
    3. 変わること③判断の手順を自社で決められる
  5. アプリを入れる前に確かめる4つの問い
    1. 問い①どのエディションで動くか
    2. 問い②自社のデータをどこへ出すか
    3. 問い③解約したときに何が残るか
    4. 問い④日本語で使えるか
  6. アプリの検討でつまずく3つの場面
    1. 場面①探す言葉が業務の言葉と合わない
    2. 場面②似たアプリの差が読み取れない
    3. 場面③試用の期間に確かめる項目を決めていない
  7. アプリを増やしたときに出る3つの兆候
    1. 兆候①同じデータを2か所で入力している
    2. 兆候②画面のどこに何があるか説明できない
    3. 兆候③解約したいが影響範囲が分からない
  8. 探し始める前に決める3つのこと
    1. 決めごと①解きたい業務を1つに絞る
    2. 決めごと②入れないと決める基準を書く
    3. 決めごと③試す期間と判断する人を決める
  9. 自社で組むと決めた後の3つの選択肢
    1. 選択肢①標準機能の設定だけで組む
    2. 選択肢②Agentforceに判断を任せる
    3. 選択肢③開発して作る
  10. AppExchangeでよくある3つの思い込み
    1. 思い込み①入れればすぐ使える
    2. 思い込み②無料のアプリは費用がかからない
    3. 思い込み③アプリを入れれば設定は要らない
  11. 【一問一答】AppExchangeに関するよくある質問
  12. AppExchangeは、自社で組む前に「すでにあるか」を確かめる場所
本田正憲

合同会社クロスコムの代表|専門商社にて7年間のBtoB営業を経て、マーケティング業界に参入。現在はSalesforce公式コンサルティングパートナーとして、ソリューション営業の業務プロセスに特化したAgentforce導入・定着支援と、Agentic CRM設計支援を提供している。Salesforce認定アドミニストレーター・Sales Cloudコンサルタント・Marketing Cloud Account Engagement スペシャリスト。

AppExchangeに並んでいる3つの種類

業務用空調機器の販売会社では、従業員250名のうち営業が14名、技術サポートが6名、情報システムが2名という体制で、Sales Cloudを3年使ってきました。この企業は説明のための架空の設定であり、実在の企業ではありません。

見積の作成に1件45分かかり、営業14名で月80件を出しているため、合計で月60時間になります。アプリを探す前に見積作成のAI活用で何をどこまで任せられるかを見ておくと、候補を絞りやすくなります。時間を減らそうとAppExchangeで見積のアプリを探し始めたものの、候補が絞れないまま2か月が過ぎていました。

そこでここでは、この会社を例に、AppExchangeに並んでいるものを3つの種類に分けて整理します。

探せなかった理由は候補の多さによるものにはなりません。AppExchangeにはアプリだけが並んでいるのではなく、探す対象が3つの種類に分かれています。

種類何が並ぶか使う場面
①アプリ機能を足すソリューション標準機能で足りないとき
②コンサルティングパートナー導入を支援する会社設計から頼みたいとき
③コンテンツ学ぶための資料使い方を調べるとき

種類①機能を足すアプリ

1つ目は「アプリ」で、Salesforceの上で動くソリューションが並びます。インストールすると、自社の環境にその機能がそのまま足されます。

アプリが最初に思い浮かぶのは、探している状態が「足りない機能を補いたい」だからです。見積の作成、請求書の発行、名刺の読み取りといった業務ごとに、すでに作られたものが公開されています。標準機能では届かない部分を、開発せずに埋められる点が特徴になります。

業務用空調機器の販売会社も、見積の作成という業務からアプリを探し始めました。検索の結果は多く、5つまで候補を絞ったところで止まっています。機能の説明を読んでも、自社の見積の作り方に合うかどうかが判断できなかったためです。

業務が決まっていないと候補はいくら眺めても絞れないため、アプリを探すときは解きたい業務を先に1つ決めましょう。

種類②支援する会社を探す欄

2つ目に挙げるのは導入を支援する会社の欄で、Salesforceのコンサルティングパートナーは2026年9月時点で317社が掲載されており、所在地や専門分野で絞り込めます。

※参考記事はこちら

この欄がアプリと分かれているのは、提供されるものが製品ではないからです。アプリは機能を買う形にあたりますが、支援する会社に頼むのは設計と設定の工程になります。自社の業務に合わせて何をどう組むかを決める段階では、アプリの一覧を見ても答えが出ません。

この会社でも、候補が絞れなくなった時点でこの欄の存在に気づいています。見積の作り方そのものを整理しないとアプリも選べないと判断したためです。導入を支援する会社の選び方は、タイプ別に整理した記事で扱っています。

探しているのが機能か作業かで開く欄は変わり、作業を頼む段階だと分かった時点で支援する会社の欄へ移るほうが、比べ直す手戻りは減ります。

種類③学ぶためのコンテンツ

3つ目は「コンテンツ」で、使い方や考え方を学ぶための資料が並びます。アプリを選ぶ前の下調べや、入れた後の設定を調べる場面で開く欄にあたります。

コンテンツが並んでいるのは、アプリを入れる前に知っておくべきことがあるためです。標準機能で何ができるのかを知らないまま探すと、すでにある機能を買い直すことになり、実際に標準の項目やレポートだけで足りる業務も少なくありません。

業務用空調機器の販売会社では、見積のアプリを探す前に標準機能を確かめていませんでした。2か月が過ぎた後、情報システムの2名が標準の見積機能を調べ直しています。

逆にいえば、標準機能でどこまでできるかを確かめる工程を飛ばした時点で、買う必要のないものを買う側に回ります。

以上が、AppExchangeに並んでいる3つの種類でした。

どこが違う?AppExchangeとAgentExchangeの違い3つ

ここまで整理した3つの種類から、AppExchangeが機能と会社を探す場所だと分かります。ところがAgentforceの導入を検討している場合は、AgentExchangeと呼ばれるもう1つのマーケットプレイスも確かめることになり、名前が似ているため混同されやすいところです。そこでここでは、AppExchangeとAgentExchangeの違いを3つに分けて整理します。

名前の違いは扱う製品の違いにとどまりません。AgentExchangeに並ぶのはAIエージェントとその部品で、AppExchangeのアプリとは動かす人が違います。

観点AppExchangeAgentExchange
並ぶものアプリ・会社・資料AIエージェントと部品
動かす人担当者が操作するエージェントが実行する
データアプリ側へ渡すSalesforce内で参照する

違い①並んでいるものが違う

1つ目の違いは並んでいるもので、AgentExchangeは、アプリ・AIエージェント・Slackのソリューションのための主要なマーケットプレイスとして案内されています。Salesforceは2026年6月8日に、AgentExchangeがAppExchange・Slack Marketplace・Agentforceエコシステムを統合すると発表しており、AppExchangeのサイトは2026年9月時点でも稼働していますが、探す場所は長い目で1つへ寄っていく見込みです。

※参考記事はこちら AppExchangeが業務を処理する機能と、その導入を支援する会社を並べるのに対し、AgentExchangeにはAIエージェントと、それを組み立てる部品が並びます。

※参考記事はこちら

並ぶものが違うと探し方も変わり、AppExchangeで探すのは「この業務を処理する機能」ですが、AgentExchangeで探すのは「この業務を判断して進めるエージェント」や、その中で使う部品にあたります。前者は担当者が自分で使う道具にあたり、後者は担当者の代わりに動く仕組みにあたります。1体に任せるか複数に分けるかの考え方は、マルチエージェントの記事で扱っています。

業務用空調機器の販売会社の例でいえば、見積の作成画面を足すのがAppExchangeのアプリ、過去の見積を参照して案を出すのがAgentExchangeの側に近い形です。

欲しいのが担当者の使う道具か、判断まで進める仕組みかを先に決めれば、開く場所は2つのマーケットプレイスのどちらか一方に絞れます。

違い②入れた後に動かす人が違う

2つ目に挙げるのは入れた後に誰が動かすかで、アプリは担当者が画面を開いて操作し、エージェントは指示を受けて自分で処理を進めます。

動かす人が違うと定着の条件も変わり、アプリは使い方を覚えてもらう必要があるため、画面が増えるほど担当者の負担は上がります。エージェントは覚える画面が増えない代わりに、任せる範囲と確認の手順を決めておかないと、返ってきた内容を誰も確かめない状態になります。

この会社では、営業14名に新しい画面を覚えてもらう負担が論点になりました。見積のアプリを入れると操作を覚える必要があり、月80件を出している営業に説明の時間を取れるかどうかが読めなかったためです。

操作する人数が多いほど覚えてもらう負担は重くなるため、入れた後に誰が何人で操作するかを先に数えましょう。

違い③自社のデータとの関わり方が違う

3つ目の違いは自社のデータとの関わり方で、アプリは自社のデータをアプリ側の仕組みへ渡して処理する形があり、エージェントはSalesforceの中の記録を参照して動きます。

この違いが効くのは確かめる項目が変わるためで、データを外へ渡す形であれば、どこに保管されるのか、解約したときにどうなるのかを契約の前に確認することになります。Salesforceの中で完結する形であれば、既存の権限の設定がそのまま効くため、確認する範囲は狭くなります。

業務用空調機器の販売会社では、顧客の設備の設置履歴を見積の根拠に使っていました。この履歴を外へ出す形になるかどうかが、候補を比べるときの分かれ目になっています。

データが外へ出る形かどうかは掲載ページの説明だけでは読み取れないことが多く、提供元へ直接聞くほうが確実です。

以上が、AppExchangeとAgentExchangeの3つの違いでした。

アプリで足すか自社で組むかを分ける4つの基準

前章で探す場所の違いを整理しましたが、そもそもアプリを買うべきなのか、自社で組むべきなのかが決まっていなければ選べません。ここを曖昧にしたまま一覧を眺めると、機能の説明を読み比べるだけで時間が過ぎます。そこでここでは、AppExchangeのアプリで足すか自社で組むかを分ける基準を4つ整理します。

判断の分かれ目は機能の多さにはありません。アプリを買うか自社で組むかは、その業務が自社に固有かどうかと、変更がどれだけ起きるかで決まります。

基準アプリが向く場合自社で組むのが向く場合
①業務の固有性どの会社も同じ手順自社だけの手順がある
②使う人数多い少ない
③変更の頻度低い高い
④止まったときの影響代わりが利く業務が止まる

基準①その業務が自社に固有か

最初に確かめるのは解きたい業務が自社に固有かどうかで、どの会社でも手順がほぼ同じ業務はアプリが向き、自社だけの決まりがある業務は組むほうが合います。

固有性で分けるのは、アプリが多くの会社で使われる前提で作られているからです。請求書の様式や電子帳簿の保存のように、法令や商習慣で手順が決まっている業務は、既製のアプリで足ります。一方、見積の値引きの承認が役職と金額の組み合わせで決まるような、自社で作った決まりに沿う業務は、アプリの設定で表現しきれない場合があります。

業務用空調機器の販売会社の見積は後者に近く、設置する建物の種類と設備の年式で参照する価格表が変わり、この対応表は社内で作ったものでした。ツール設定ではなく業務設計から入ってほしい場合は、この対応表を整理するところから一緒に見てもらえる相手を探すことになります。

手順のどこに自社で作った決まりが入っているかを書き出し、1つでも見つかった業務は、アプリだけでは収まらないものとして扱いましょう。

基準②使う人数が何人か

次に見るのはその機能を使う人数で、人数が多い業務はアプリが向き、数名で完結する業務は組むほうが早く進みます。

人数で分かれるのは、作る費用が1人あたりに割られるからです。100名が毎日使う機能であれば、既製のアプリを買って全員に配るほうが、作る手間より安く済みます。反対に2名しか使わない機能のために開発すると費用の割に効果が見えないため、この場合は標準機能の設定で間に合わせるほうが現実的です。

この会社で見積を作るのは営業14名で、全員が使う機能にあたるため、人数の面ではアプリが向く側になります。ただし基準①で固有性が高いと判断されたため、2つの基準が逆を向く結果になりました。

2つの基準が逆を向いたときは固有性のほうを優先して判断し、人数はその判断を補う材料として扱います。

基準③変更の頻度が高いか

3つ目に見るのはその業務の手順がどれだけ変わるかで、変更が少ない業務はアプリが向き、毎年のように変わる業務は自社で持つほうが動きやすくなります。

頻度で分けるのは、アプリの変更が自社の都合で進まないためです。項目を1つ足したいだけでも、提供元の対応を待つか、設定の範囲で回避することになります。年に何度も手順が変わる業務では、この待ち時間が積み上がります。

業務用空調機器の販売会社の価格表は、年に2回の改定がありました。改定のたびに対応表を直す必要があり、外部の提供元に依頼する形だと改定に間に合わない可能性があると判断しています。

過去2年で手順が何回変わったかを数え、年1回を超えていれば自社で直せる形を選びましょう。

基準④止まったときに代わりが利くか

最後に見るのは、その機能が止まったときに代わりが利くかどうかで、手作業で代替できる業務はアプリでよく、止まると業務ごと止まる業務は慎重に選びます。

止まったときを先に考えるのは、アプリが外部の提供元に依存するためです。提供が終わる、対応するエディションが変わる、といった事態は自社では決められません。止まったときに手作業へ戻せるなら影響は限られますが、他の処理がその機能の出力を前提にしていると、連鎖して止まります。

この会社の見積は、止まっても手作業で作成できる業務でした。時間はかかりますが、出荷や請求が止まるわけではありません。この点はアプリを選びやすい材料になっています。

逆にいえば、止まったときの代替手段を1つも書き出せない業務は、外部の提供元へ依存する度合いを下げる形で組むほうが安全です。

以上が、アプリで足すか自社で組むかを分ける4つの基準でした。

Agentforceで組むと変わる3つのこと

ここまで見てきた4つの基準で「自社で組む」側に寄った場合、次に出てくるのは、標準機能の設定で組むか、Agentforceに判断を任せるかという組み方の選択です。同じ「自社で組む」でも、担当者が実際に触る画面と手順はこの2つでかなり違ってきます。そこでここでは、Agentforceで組むと変わることを3つ整理します。

違いは機能の多さではありません。Agentforceで組むと、担当者が覚える画面が増えないまま、判断の手順を自社で決められる形になります。

変わることアプリを入れる場合Agentforceで組む場合
①画面新しい画面を覚える既存の画面から使う
②権限アプリ側で設定する既存の権限を使う
③手順提供元の設計に従う自社で決める

変わること①画面を増やさずに使える

1つ目は担当者が覚える画面が増えない点で、エージェントは既存のSalesforceの画面から呼び出して使います。新しいタブを開いたり、別のアプリへ移ったりする必要はありません。

画面が増えないことが効くのは、定着の負担がそこに出るためです。新しいアプリを入れると、営業は商談の画面とアプリの画面を行き来することになります。件数の多い業務ほどこの行き来が積み上がり、担当者は次第に使わなくなりますが、呼び出す形であれば覚えるのは「どこで呼ぶか」だけで済みます。

業務用空調機器の販売会社では、営業14名が月80件の見積を出していました。1件ごとに別の画面へ移る形だと、説明の時間も含めて負担が読めないという懸念が出ています。

行き来する画面は2つまでが目安で、それを超えると担当者の負担は目に見えて上がります。

変わること②既存の権限をそのまま使える

2つ目に挙げるのは権限の設定で、Salesforceの中で動くため、担当者がすでに持っている見える範囲の設定がそのまま効きます。

担当者の権限がそのまま引き継がれると、導入の前に確認する項目はその分だけ減ります。外部のアプリにデータを渡す形では、誰がどこまで見られるかをアプリ側でもう一度設計することになり、Salesforceの設定と二重に持つ状態が生まれ、片方だけ直したときにずれが残ります。

この会社では、顧客の設備の設置履歴に部署ごとの見える範囲を設定していました。この設定を作り直さずに使えるかどうかが、情報システムの2名にとっての判断材料になっています。

いまの見える範囲の設定を部署ごとに書き出し、作り直しが不要と分かれば、確認の工程はそのぶん短くできます。

変わること③判断の手順を自社で決められる

3つ目は判断の手順を自社で決められる点で、どの情報を見て、どこまでを任せ、どこから人が確かめるかを設定で組みます。

自社で決められることが効くのは、基準①で見た固有性の高い業務でした。自社で作った対応表や承認の決まりを、そのまま手順として組み込めます。提供元の設計に合わせて自社の運用を変える必要がなく、改定があったときも自社の都合で直せます。足すかどうかの判断そのものに迷う段階であれば、Agentforceの導入判断から確かめてください。

業務用空調機器の販売会社の場合、建物の種類と設備の年式で価格表を選ぶという手順が、そのまま組む対象になります。年2回の改定にも自社で対応できる形です。

書き出せた決まりの数がそのまま組む対象の量になるため、設計を頼む前に一覧にしておくと、見積もりの前提がぶれません。

以上が、Agentforceで組むと変わる3つのことでした。

アプリを入れる前に確かめる4つの問い

組み方の違いを踏まえたうえで、それでもアプリを選ぶ業務は出てきます。その場合に必要になるのが入れる前の確認です。掲載ページの説明を読むだけでは分からない項目があり、後から気づくと入れ替えの手間が発生してしまいます。そこでここでは、AppExchangeのアプリを入れる前に確かめる問いを4つ整理します。

確かめるのは機能の詳細ではありません。アプリを入れる前に確かめるのは、動く条件・データの行き先・やめたときに残るもの・日本語での使用可否の4つです。

問い確かめる相手分かること
①エディション掲載ページ自社の契約で動くか
②データの行き先提供元外へ出るかどうか
③解約後に残るもの提供元やめられるかどうか
④日本語試用現場が使えるか

問い①どのエディションで動くか

最初に確かめるのは自社が契約しているエディションで動くかどうかで、対応するエディションが限られているアプリもあります。

この確認を最初に置くのは、ここで外れると他の検討がすべて無駄になるためです。機能も価格も自社に合っていても、契約しているエディションが対象外であれば導入できません。エディションを上げれば使えますが、その費用まで含めると判断が変わります。

業務用空調機器の販売会社では、5つの候補のうち2つがこの段階で外れました。情報システムの2名が契約内容と照らして確認したもので、候補は3つに減っています。

いまの契約のエディション名を控えてから探すと、この1つで候補が減り、説明を読み比べる時間も短くなります。

問い②自社のデータをどこへ出すか

次に確かめるのは自社のデータがどこで処理されるかで、Salesforceの中で完結するのか、提供元の仕組みへ渡されるのかを聞きます。

行き先を確かめるのは、社内の規程との照合が必要になるためです。顧客の情報を外部へ渡す形であれば、保管される場所や期間を確認し、社内の承認を取ることになります。この工程を後回しにすると、試用まで進んだ後で差し戻される場合があります。

この会社で対象になったのは顧客の設備の設置履歴で、外へ出る形かどうかを提供元へ確認したところ、3つの候補のうち1つがSalesforce内で完結する形だと分かりました。

社内の承認に時間がかかる会社ほど、データが外へ出るかどうかは試用を始めるより前に聞いておくほうが安全です。

問い③解約したときに何が残るか

3つ目に確かめるのはやめたときに何が残るかで、入力したデータが手元に残るのか、アプリと一緒に消えるのかを聞きます。

やめたときを先に聞くのは、途中で止められるかどうかが判断材料になるからです。データが残る形であれば、合わなかったときに別の手段へ移せます。消える形だと、やめる判断そのものが重くなり、使われていないまま契約を続ける状態になりかねません。

業務用空調機器の販売会社でも、この項目を候補ごとに確認しています。1年分の見積の記録が残るかどうかで、試す心理的な負担が変わると考えたためです。記録が残らない候補については、契約を止めた時点でデータをどう書き出せるかまで聞く形にしています。

やめたときに何が残るかを口頭の回答で済ませたか書面で確かめたかで、契約後に確認できる材料の量が変わります。

問い④日本語で使えるか

最後に確かめるのは日本語で使えるかどうかで、画面の表示、入力、出力される文書のそれぞれについて確認します。応答の精度まで含めて日本語で使えるかを確かめる手順は、別の記事で整理しています。

分けて確認するのは、一部だけが日本語という場合があるためです。画面は日本語でも、出力される見積書の書式が海外の様式のままということが起こります。現場が顧客へ出す文書であれば、この点は機能の有無と同じ重さで効きます。

この会社の見積は顧客へ提出する文書だったため、試用の30日間で実際に1件を作り、出力まで確かめる進め方にしています。確かめるのは見積を作る営業の担当で、情報システムの2名は設定の側だけを見ています。

画面の日本語だけで判断せず、顧客へ出す文書の書式と印字の並びまで、試用の中で実際に出力して確かめましょう。

以上が、アプリを入れる前に確かめる4つの問いでした。

アプリの検討でつまずく3つの場面

4つの問いを持っていても、実際に探し始めると別のところで止まります。止まる場所には共通の型があるため、先に知っておけば、同じところで時間を使ったり、候補を最初から並べ直したりせずに済むでしょう。そこでここでは、AppExchangeでのアプリの検討でつまずく場面を3つ整理します。

止まるのは判断力の問題ではありません。アプリの検討で止まるのは、探す言葉・比べる軸・試す項目の3つが決まっていないときです。

場面①探す言葉が業務の言葉と合わない

1つ目は検索に入れる言葉が見つからない場面で、自社で呼んでいる業務の名前で探しても該当するものが出てきません。検索の結果に何も並ばないと、そもそも自社向けのものは無いのだと判断してしまいます。

言葉が合わないのは、掲載する側が機能の名前で登録しているためです。社内で「物件カルテ」と呼んでいる仕組みは、掲載側では「顧客資産管理」といった名前になります。

業務用空調機器の販売会社でも、最初は社内の呼び方で探していました。見つからないまま、機能を言葉にし直したところで候補が出ています。言葉を変えたのは、情報システムの担当が掲載側の分類名を眺めてからのことでした。

社内の呼び方を「何を、どうする機能か」という動詞の形に直せるかどうかで、検索に入れる言葉が決まります。

場面②似たアプリの差が読み取れない

2つ目に挙げるのは候補が並んだ後に差が読めない場面で、説明を読んでもどれも同じに見えてきます。

差が読めないのは、比べる軸を自分で持っていないためです。掲載ページはそれぞれが自分の強みを書いているため、読む側が軸を持たずに読むと、書いてあることの多いほうがよく見えます。先に4つの問いを軸として持っておけば、書かれていない項目に気づけます。書かれていないことは、掲載ページを何度読み返しても出てきません。

この会社では5つの候補を並べた表を作り、エディション、データの行き先、解約後、日本語という4つの欄を埋めたうえで、埋まらない欄を提供元へ聞く形にしました。

比べる軸を先に4つ決めておけば、埋まらない欄がそのまま提供元へ聞く項目になります。

場面③試用の期間に確かめる項目を決めていない

3つ目は試用を始めたのに何を確かめるか決めていない場面で、期間だけが過ぎて判断がつかないまま終わります。もう一度試したいと申し出るのは、社内の手続きの面でも簡単ではありません。

決めていないと確かめられないのは、試用の期間が限られているからです。触ってみるだけでは、日々の業務で回るかどうかは分かりません。実際の案件で1件を最後まで通す、という形にしないと、出力の書式や例外の処理に気づけないまま期限が来ます。

業務用空調機器の販売会社は、30日の試用で「実際の案件を1件、見積の出力まで通す」と決めました。決めたのは情報システムの2名ではなく、見積を作る営業の担当です。

確かめる項目を3つ書き出せないうちは、まだ試す段階ではありません。先に業務の整理へ戻るほうが、結果として早く進みます。

以上が、アプリの検討でつまずく3つの場面でした。

アプリを増やしたときに出る3つの兆候

前章で触れた1つのアプリを選ぶ判断とは別に、時間が経ってから出てくる問題もあるのではないでしょうか。必要に応じて足していった結果、数が増えて全体が見えなくなる状態で、選ぶ前に知っておけば足す判断のたびに確かめられます。そこでここでは、AppExchangeのアプリを増やしたときに出る兆候を3つ整理します。

問題が出るのは数そのものではありません。アプリを増やしたときに出るのは、入力の重複・画面の把握漏れ・解約できない状態の3つです。

兆候①同じデータを2か所で入力している

1つ目の兆候は同じ内容を2か所へ入力している状態で、アプリごとにデータの持ち方が違うために起こります。

重複が生まれるのは、アプリが自分の中にデータを持つ形があるためです。Salesforceの取引先とアプリ側の顧客一覧が別に存在すると、どちらかを直しても片方が古いまま残ります。担当者は両方を直すか、片方を諦めるかを選ぶことになり、多くの場合は後者になります。

業務用空調機器の販売会社では、この点を候補の確認項目に入れています。Salesforceの記録をそのまま参照する形かどうかで、入力の手間が変わると考えたためです。

入力する場所が1か所のままか増えるかで、どちらの記録を正とするかを先に決める必要があるかが分かれます。

兆候②画面のどこに何があるか説明できない

2つ目に挙げるのは担当者が画面の構成を説明できなくなる状態で、タブやボタンが増えるほど、どれがどの機能かが分からなくなります。

説明できなくなるのは足すときに置き場所を決めていないためで、1つずつは小さな追加でも、積み重なると画面は複雑になります。新しく入った担当者への説明にかかる時間が増え、使われない機能が残り続ける原因にもなります。

この会社では、3年の運用で画面が少しずつ変わってきていました。見積のアプリを足すとさらに増えるため、置き場所を先に決める方針にしています。決めたのは、営業が最初に開く商談の画面から呼び出す形にそろえるという方針でした。

置き場所を決めずに足すと後から動かすほうが手間になるため、足す前にどの画面のどこへ出すかまで決めましょう。

兆候③解約したいが影響範囲が分からない

3つ目の兆候はやめたいのにやめられない状態で、他の処理がそのアプリの出力を使っており、止めたときの影響が読めません。

影響が読めなくなるのは、つないだ記録を残していないためです。どの項目がどのアプリから来ているのかが分からないと、外した瞬間に別の処理が止まる可能性があります。結果として、使っていないアプリの契約を続けることになります。

業務用空調機器の販売会社では、この状態を避けるために、入れる時点で「どの項目を使うか」を記録する形にしました。情報システムの2名が管理する一覧に、アプリごとの行を足しています。

アプリごとに使う項目を1行で残しておけば、やめるときに影響範囲を調べ直す工程がそのまま不要になります。

以上が、アプリを増やしたときに出る3つの兆候でした。

探し始める前に決める3つのこと

ここまで見てきたつまずく場面と増やしたときの兆候に共通しているのは、「決めずに始めている」ことです。逆にいえば、探し始める前に3つを決めておけば、候補は絞れて判断も早くなり、比べる作業そのものに区切りをつけられます。そこでここでは、AppExchangeを開く前に決めることを3つ整理します。

決めるのは予算や期限ではありません。探し始める前に決めるのは、解きたい業務を1つに絞ること、入れないと決める基準、そして試す期間と判断する人の3つです。

決めごと決める内容決めないと起きること
①業務解く業務を1つ候補が絞れない
②基準入れないと決める条件比べ続けて終わらない
③期間と人試用の期間と判断者期限だけが過ぎる

決めごと①解きたい業務を1つに絞る

はじめに決めるのはどの業務を解くかで、複数を同時に解こうとせず1つに絞ります。

1つに絞るのは、業務が増えるほど候補が発散するためです。見積の作成と請求の発行と在庫の照会を同時に解こうとすると、3つすべてに対応するアプリを探すことになり、該当するものはごく限られてくるでしょう。少ない候補の中から妥協して選ぶより、1つの業務で合うものを選ぶほうが定着します。小さく始めたい場合、つまり1ユースケースからのスモールスタートを考えている場合も、この絞り込みが出発点になります。

業務用空調機器の販売会社が見積の作成に絞ったのは、月80件で1件45分という数字がすでに出ており、効果を測る対象としても分かりやすかったためです。

解きたい業務に1件あたりの時間と月の件数を付けられるかどうかで、絞り込めているかどうかが分かります。

決めごと②入れないと決める基準を書く

次に決めるのはどうなったら入れないと判断するかで、先に書いておくと比べる作業に区切りがつきます。

先に書くのは、良い点だけを見ていると判断が止まらないためです。掲載ページはどれも利点を書いているため、読むほど「これも良さそう」と候補が増えます。「エディションが合わなければ外す」「データが外へ出るなら外す」と書いておけば、読む前に外せます。

この会社では、4つの問いのうち2つを外す条件にしていました。エディションが対象外、データが外へ出て社内の承認が取れない、という2つで、5つの候補は3つに減っています。

外す条件は2つが目安になり、3つ以上を並べると候補が1つも残らず、探し直しからやり直すことになります。

決めごと③試す期間と判断する人を決める

最後に決めるのは試す期間と、続けるかどうかを判断する人で、期間の長さより判断する人を決めるほうが重くなります。

判断する人を決めるのは、試用が終わっても結論が出ない状態を避けるためです。情報システムが試して「動きました」と報告しても、業務として使えるかどうかは現場にしか判断できません。誰が何を見て決めるのかを先に置けば、試用の期間に確かめる項目も決まります。

業務用空調機器の販売会社は、30日の試用で、判断するのは見積を作る営業の担当と決めました。実際の案件を1件、出力まで通すという確かめ方も、この担当が決めています。

使う人が決めない試用は結論が出ないため、判断する人は必ず業務を担当する側から選びましょう。

以上が、探し始める前に決める3つのことでした。

自社で組むと決めた後の3つの選択肢

アプリを入れないと決めた場合、あるいは合うものが見つからなかった場合は自社で組む側へ進み、ここにも選択肢があって、どれを選ぶかで必要な体制が変わります。そこでここでは、AppExchangeのアプリを選ばずに自社で組むと決めた後の選択肢を3つ整理します。

選ぶ基準は費用の大小ではありません。自社で組む方法は、標準機能の設定・Agentforceに任せる・開発して作るの3つで、必要な体制がそれぞれ違います。

選択肢向く業務必要な担当
①標準機能の設定手順が単純設定ができる担当
②Agentforceに任せる判断が入る業務を決める担当
③開発して作る既存の枠に収まらない開発ができる相手

選択肢①標準機能の設定だけで組む

1つ目はSalesforceの標準機能の設定だけで組む形で、項目を足し、入力規則を作り、画面の並びを整えます。開発の知識がなくても、設定画面から手を入れられる範囲にとどまります。

この形を最初に検討するのは、追加の費用がかからないためです。すでに契約しているライセンスの範囲で組めるため、判断に必要なのは設定できる担当がいるかどうかだけになります。手順が単純な業務であれば、この範囲で足りることが少なくありません。

業務用空調機器の販売会社でも、標準の見積機能を先に確かめ直しています。アプリを探し始めて2か月が過ぎた後のことで、順番が逆になっていました。

逆にいえば、標準機能を確かめずに探し始めた時点で、買わずに済んだはずの業務まで買う側に回ります。

選択肢②Agentforceに判断を任せる

2つ目に挙げるのはAgentforceに判断を任せる形で、どの情報を見て、どこまでを任せるかを設定で組みます。

この形が向くのは手順の中に判断が入る業務で、設定だけで組もうとすると条件分岐が増えて画面が複雑になります。判断の部分をエージェントへ渡すと、担当者は分岐を追う作業から離れ、結果を確かめる側に回れます。

この会社の見積は、建物の種類と設備の年式で価格表を選ぶという判断を含んでいました。標準機能の設定だけで組むと分岐が多くなるため、この形が候補に上がっています。価格表の選び方を手順として書き出す作業は、営業の側が担うことになります。

判断が入る工程が2つ以上あるなら、設定で組み続けるより任せる形を検討する段階にあたります。任せてよい仕事の見極め方は、営業AIエージェントの記事で3つの段階に分けて扱っています。

選択肢③開発して作る

3つ目は開発して作る形です。標準機能でもエージェントでも収まらない業務が対象で、画面も処理も自社の要件に合わせて組みます。

この形を最後に置くのは、作った後に直し続ける体制が要るためです。開発したものは自社の資産になりますが、Salesforceの定期的な更新に合わせた確認も、自社側で引き受けることになるでしょう。自社で構築するので設計レビュー・アドバイザリーだけ頼みたい場合は、この体制を前提にした頼み方になります。相談先の選び方は、支援会社のタイプごとに整理しています。

業務用空調機器の販売会社では、この形は候補に入りませんでした。情報システムが2名で、開発したものを維持する余力が無いと判断したためです。

作った後に誰が直すかを名前で決められるかどうかが、この形を選べるかどうかの分かれ目になります。自社でやる範囲と頼む範囲の切り分けは、別の記事で条件に分けて扱っています。

当初の目的は「見積の作成にかかる時間を減らし、訪問の件数を増やすこと」でしたが、業務用空調機器の販売会社では、解きたい業務を1つに絞って進めた結果、1件45分だった見積の作成が18分になりました。月80件で計算すると、36時間の短縮にあたります。

クロスコムでも、ソリューション営業の業務プロセスに絞ってAgentforceの導入と定着を支援しています。定着まで伴走してほしい場合や、ソリューション営業に特化した支援がほしい場合は、Agentforce導入・定着支援で無料相談も受け付けていますので、お気軽にご相談ください。

以上が、自社で組むと決めた後の3つの選択肢でした。

AppExchangeでよくある3つの思い込み

ここまでの選択肢を整理したことで判断の材料はそろいますが、AppExchangeには検討の最初の段階で引っかかりやすい思い込みがいくつかあります。どれも一見もっともらしく、そのまま進めると後の工程で戻る結果になりかねません。そこでここでは、AppExchangeでよくある思い込みを3つ整理します。

思い込みが起きるのは知識の不足によるものではありません。AppExchangeの思い込みはどれも、インストールで完了すると考えたときに生まれます。

思い込み①入れればすぐ使える

1つ目は、インストールすればその日から使えるという見方で、数回のクリックで入る手軽さがそう思わせます。掲載ページに並ぶ「今すぐ試す」という案内も、この見方を後押しします。

この見方が外れるのは、入れた後に自社の設定が要るためです。どの項目と対応させるか、誰に見せるか、どの画面から呼ぶかを決める工程が残ります。手順が単純なアプリでも、自社のデータと結びつける作業は避けられません。

業務用空調機器の販売会社でも、試用の段階でこの工程に時間がかかりました。実際の案件を1件通すために、価格表の対応付けを先に済ませる必要があったためです。

入れた後の設定にかかる時間まで、試用の計画に必ず入れておきましょう。この時間を見込まないと、30日では実際の案件を1件も通せずに終わります。

思い込み②無料のアプリは費用がかからない

2つ目に挙げるのは、無料で公開されているアプリなら費用は発生しないという見方で、表示される価格だけを見るとそう読めます。

この見方に無理があるのは、費用がライセンス料以外にも発生するためです。設定にかかる担当者の時間、現場への説明、動かなくなったときの調査は、無料のアプリでも同じように発生します。むしろ提供元のサポートが限られる場合、調べる時間は増えます。

この会社では、候補を比べるときに担当者の時間も数える形にしました。情報システムが2名という体制では、この時間が実質の費用になるためです。

金額だけを並べた比較は、無料のアプリを候補に入れたときほど判断を誤らせるため、担当者の時間を足してから比べます。

思い込み③アプリを入れれば設定は要らない

3つ目は、アプリを入れれば自社で設定する必要がなくなるという見方で、既製品だからと考えると起こります。既製品という言葉から、手を加えずに使える状態で届くと受け取ってしまう場合があります。

この見方が成り立たないのは、アプリが多くの会社で使える形に作られているからです。汎用的に作られているぶん、自社に合わせる設定の余地が残されています。設定の量はアプリによりますが、まったく不要という形にはなりません。

業務用空調機器の販売会社が確かめたのも、この点でした。5つの候補のいずれも、価格表の対応付けは自社で行う前提になっています。

設定が要る範囲をどこまで具体的に答えられるかで、提供元のサポートの厚みも判断できます。

以上が、AppExchangeでよくある3つの思い込みでした。

【一問一答】AppExchangeに関するよくある質問

ここまで整理してきた基準や問いは、どれも自社の状況に当てはめて使うものです。ところが実際に検討へ入ろうとすると、その手前で止まる疑問が残ります。AppExchangeという場所の成り立ちや、誰がアプリを公開しているのか、入れた後に運用の作業がどれだけ増えるのかといった点は、ここまで見てきた基準の話とは別に、一度まとめて確かめておきたくなるところではないでしょうか。最後に、検討の前に迷いやすい点を5つの質問にまとめます。

質問①AppExchangeとは何ですか?

Salesforceに機能を足すアプリや、導入を支援する会社を探せるマーケットプレイスです。並んでいるものはアプリ・コンサルティングパートナー・コンテンツの3種類で、2026年9月時点でSalesforceのコンサルティングパートナーは317社が掲載されています。この記事の例に挙げた業務用空調機器の販売会社は、見積の作成を解く手段を探すためにアプリの欄から入りました。

質問②AppExchangeのアプリは誰でも公開できるのですか?

公開する側はSalesforceとパートナー契約を結んだ提供元で、アプリを開発して提供する区分はAppExchangeパートナー(ISVパートナー)と呼ばれます。個人が自由に登録できる場ではありません。提供元によって対応するエディションは違い、この記事の例に挙げた業務用空調機器の販売会社でも、5つの候補のうち2つが契約の対象外で外れました。

質問③AppExchangeとAgentExchangeはどう使い分けますか?

担当者が操作する道具を探すならAppExchange、判断して進める仕組みを探すならAgentExchangeになります。AgentExchangeは、アプリ・AIエージェント・Slackのソリューションのための主要なマーケットプレイスとして案内されています。この記事の例に挙げた業務用空調機器の販売会社の見積でいえば、作成画面を足すのが前者、過去の見積を参照して案を出すのが後者に近い形です。

質問④AppExchangeのアプリと自社で組むのはどちらが早いですか?

どちらが早いかは業務の性質で変わり、どの会社も手順が同じで、使う人数が多く、変更が少ない業務はアプリのほうが早く進みます。自社で作った決まりが手順に入っている業務は、設定で表現しきれず、かえって時間がかかる場合があります。この記事の例では、建物の種類と設備の年式で価格表を選ぶという自社固有の手順があったため、組む側の検討に入りました。

質問⑤AppExchangeのアプリを入れると運用の作業は増えますか?

入れた後の設定、現場への説明、動かなくなったときの調査が発生するため、運用の作業は増えます。アプリごとにデータの持ち方が違えば、入力する場所も増えていくでしょう。アプリを足すたびに、どの項目を使うかを記録しておくと、やめるときの判断材料になります。この記事の例に挙げた会社は、情報システム2名が管理する一覧にアプリごとの行を足す形にしました。

AppExchangeは、自社で組む前に「すでにあるか」を確かめる場所

AppExchangeで最初に確かめるのは、欲しい機能があるかどうかではなく、自社で組もうとしている仕組みがすでに作られているかどうかです。本記事では、並んでいる3つの種類から、AgentExchangeとの違い、アプリで足すか自社で組むかを分ける4つの基準、入れる前の4つの問い、つまずく場面と増やしたときの兆候、そして探し始める前に決める3つのことまでを整理してきました。

解きたい業務を1つに絞り、標準機能で足りるかを確かめ、そのうえで探すという順番を守ることが要点になります。この順で進めた業務用空調機器の販売会社では、1件あたり45分かかっていた見積の作成が18分まで短くなりました。判断が入る工程が2つ以上あるなら、任せる範囲を設計から決める進め方も選べます。

この記事で紹介した進め方を、ぜひ自社の状況に合わせて実践し、少しでもお役に立てれば幸いです。