AgentforceはChatGPT・Microsoft Copilotと何が違う?機能と設計思想を比較

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AIエージェントの導入を検討していると、AgentforceとChatGPT、Microsoft Copilotが比較対象に挙がり、どれも似たようなAIに見えて選び方が分からない、という方は多いのではないでしょうか。3つのツールを分けているのは、応答の賢さの差ではありません。CRMデータとどこまで統合するか、そしてAIにどこまで自律的な実行を任せるかという、設計思想の違いです。Agentforceはこの2点に特化して設計され、ChatGPTは用途を限定しない汎用性、Microsoft CopilotはMicrosoft 365との統合を軸に設計されています。

そこで本記事では、AgentforceとChatGPT・Microsoft Copilotを、CRMデータへのアクセス・自律実行・データ保護の観点から比較し、自社がどれを選ぶべきかの判断材料を整理します。なお3社とも機能と料金の更新が速いため、本記事は2026年8月時点の各社の公開情報にもとづいています。

目次
  1. AgentforceとChatGPT・Copilotの根本的な違い3選
    1. 違い①AgentforceはSalesforceのCRMデータをネイティブに参照して実行する
    2. 違い②AgentforceはAtlas Reasoning EngineのReActパターンで自律実行する
    3. 違い③Einstein Trust LayerがデータセキュリティをシステムレベルでLLM送受信全体に適用する
  2. AgentforceとChatGPT Enterpriseを3つの観点から比較する
    1. 比較①CRMデータへのアクセス(ネイティブ統合かAPI経由か)
    2. 比較②自律実行の範囲(Salesforceのアクションを直接実行できるか)
    3. 比較③セキュリティ設計(ゼロデータ保持がシステムレベルで保証されているか)
  3. AgentforceとMicrosoft Copilot for Salesを3つの観点から比較する
    1. 比較①対応CRM(Salesforce環境かDynamics365環境か)
    2. 比較②エージェントのカスタマイズ性(ユースケースを自由に設計できるか)
    3. 比較③既存ツールとの連携(Microsoft 365との統合深度)
  4. 3つのツールを比較する際の5つの選定ポイント
    1. ポイント①現在使っているCRMとのネイティブ統合があるか
    2. ポイント②業務フローに合わせたユースケースを自由に設計できるか
    3. ポイント③データセキュリティがシステムレベルで保証されているか
    4. ポイント④自律実行の範囲とハンドオフの設計が柔軟にできるか
    5. ポイント⑤導入後の運用・改善を継続できる体制を整えられるか
  5. Agentforceが向いている企業の特徴3つ
    1. 特徴①Salesforce Sales Cloud・Service Cloudをすでに導入している
    2. 特徴②CRMデータを活用した自律的なアクション実行が必要だ
    3. 特徴③データセキュリティ・コンプライアンスの要件が厳しい
  6. ChatGPT・Copilotが向いている企業の特徴3つ
    1. 特徴①Salesforceを使っておらず汎用的なAIアシスタントが必要だ
    2. 特徴②Microsoft 365環境を中心にAIを活用したい
    3. 特徴③CRMとの深い統合より会話型AIの活用が優先だ
  7. 既存ツールからAgentforceへの移行を検討する際の3つの注意点
    1. 注意点①ChatGPTやCopilotで構築したプロンプト・フローはAgentforceにそのまま移行できない
    2. 注意点②Agentforceへの移行にはSalesforceのデータ基盤整備が先決だ
    3. 注意点③移行後の定着には運用設計とユースケースの再設計が必要になる
  8. 【一問一答】AgentforceとChatGPT・Copilotの比較に関するよくある質問
    1. 質問①AgentforceとChatGPTは同時に使えるのか
    2. 質問②SalesforceユーザーがMicrosoft Copilotを使うことはできるのか
    3. 質問③Agentforce・ChatGPT・Copilotの料金を比較するとどうなるのか
    4. 質問④AgentforceからChatGPT APIを呼び出すことはできるのか
    5. 質問⑤中堅企業がAgentforceを選ぶ理由は何か
  9. AgentforceとChatGPT・Copilotの違いはCRMデータとの統合深度と自律実行の設計思想にある
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本田正憲

合同会社クロスコムの代表|専門商社にて7年間のBtoB営業を経て、マーケティング業界に参入。現在はSalesforce公式コンサルティングパートナーとして、ソリューション営業の業務プロセスに特化したAgentforce導入・定着支援を提供している。

AgentforceとChatGPT・Copilotの根本的な違い3選

本記事では、専門商社を営む中堅企業(従業員約400名・営業45名・Salesforceを全社導入済み・情報システム部3名がAIツールの選定を主導)が、AgentforceとChatGPT・Microsoft Copilotを比較したケースを例に、解説を進めます。この企業では、営業1人あたり週4時間を取引先の与信や在庫、取引履歴の確認に使っており、45名では月およそ720時間にのぼっていました。そこでここでは、Agentforceが他の2つと設計上どこで分かれるのかを、3つの点から整理します。

AgentforceとChatGPT・Copilotの根本的な違いは、CRMデータへのネイティブ参照・ReActパターンによる自律実行・ゼロデータ保持を組み込んだ信頼基盤という、3つの設計にあります。

観点AgentforceChatGPTMicrosoft Copilot
前提の基盤Salesforce用途を限定しないMicrosoft 365
CRMデータ同一基盤で直接参照コネクタ・アプリ経由コネクタ経由
自律実行CRM上で標準実行エージェント機能エージェント機能
データ保護信頼基盤を標準搭載管理者設定と契約テナントの権限設定

違い①AgentforceはSalesforceのCRMデータをネイティブに参照して実行する

1つ目の違いは、Agentforceが、SalesforceのCRMデータをネイティブに参照して実行できる点です。自社のCRMがSalesforceであれば、この一点だけで比較の前提が変わります。なぜなら、AgentforceはAgentforce Sales(旧Sales Cloud)・Agentforce Service(旧Service Cloud)・Data 360(旧Data Cloud)と同じ基盤の上で動き、追加の接続を組まずにレコードを参照し、実行まで進められるからです。

ChatGPTやMicrosoft Copilotからも、コネクタやアプリを介してCRMのデータを扱えます。ただし、どの範囲を読み書きさせるかは接続側の設定に委ねられるため、その設計と保守を担う人を別に決めておく必要があります。

具体例でいうと、この専門商社で「A社の与信状況と直近の取引履歴をまとめて」と尋ねた場面では、AgentforceがSalesforce上の該当データをそのまま参照して回答しました。営業45名が週4時間かけていた確認作業のうち、担当者が複数の画面を横断して探していた部分は、この時点でほぼ不要になっています。ChatGPT側で同じ回答を得るには、接続と権限の設計が先に必要で、情報システム部3名がその保守まで見込む前提になりました。

AIに読ませたいデータがSalesforceの中にどれだけあるかで、ネイティブ参照の効果の大きさは変わります。社外のシステムに散っているほど差は小さくなるため、比較の前に対象データの置き場所を洗い出しておきましょう。

違い②AgentforceはAtlas Reasoning EngineのReActパターンで自律実行する

2つ目の違いは、Agentforceが、Atlas Reasoning EngineのReActパターンによって自律的に実行する点です。Atlas Reasoning Engineとは、Agentforceの推論を担うエンジンのことで、ReActパターンとは「推論→行動→観察」を繰り返し、行動の結果を確かめてから次の判断を下していく方式を指します。Salesforceはこの方式を採用した理由として、社内の検証でReAct型のプロンプトがCoT(Chain-of-Thought)型より良い結果になったことを挙げています。※参考記事はこちら

最初に立てた手順をそのまま流し切る形にはなっていません。Agentforceは1手ごとに結果を確かめ、次の操作を選び直します。

先ほどの専門商社を例にとると、「在庫を確認して、不足していれば発注の下書きを作って」という複数ステップの依頼をした場面では、AgentforceがCRM上の在庫を確認し、その結果を見て発注の要否を判断し、下書きの作成まで進めました。ChatGPTやMicrosoft Copilotにも、複数の手順を自動で進めるエージェント機能があります。ただしそちらは、どのシステムに何を実行させるかを接続側で定義する形になるため、設計と運用の担当をどこに置くかが別の論点になりました。

依頼の途中で条件が変わる業務が多いほど、この差は運用に表れます。定型の一問一答で足りる業務なら、方式の違いを選定理由に置く必要はありません。

違い③Einstein Trust LayerがデータセキュリティをシステムレベルでLLM送受信全体に適用する

3つ目の違いは、Einstein Trust Layerが、データセキュリティをシステムレベルでLLMとの送受信に適用する点です。Einstein Trust Layerとは、Salesforceが生成AIの入出力に組み込んでいる信頼基盤のことで、Agentforceの利用時には次の保護が働きます。

Einstein Trust Layerで働く主な保護 ①ゼロデータ保持・・・SalesforceがLLMプロバイダーと結んだ契約により、プロンプトと応答が保存も学習利用もされない状態を保ちます ②有害性検出・・・入力と出力の両方を走査し、不適切な表現や個人情報の混入を検知します ③監査証跡・・・元のプロンプト、検出スコア、出力を時刻つきで記録し、後から追跡できる状態にします

一方で、LLMへ渡すデータのマスキングは、エージェントでは無効になっています。Salesforceは、マスキングが遅延を生みプランナーとアクションの動作を妨げるためだと説明しており、Agentforceの外で動く生成AI機能ではこれまでどおりマスキングが働きます。※参考記事はこちら

この専門商社の場合は、取引先の個人情報をAIに扱わせる前提だったため、情報システム部3名がこの3つの保護と、マスキングが効かない範囲の両方を確認しました。そのうえで、監査証跡が全件残ることを社内の承認条件に据えています。

この確認にかけた時間は、選定にあてた2ヶ月のうち2週間ほどです。保護の項目は多くないため、既定で働くものと契約や設定が要るものを1行ずつ書き出せば、その程度の期間で整理できます。

AgentforceとChatGPT Enterpriseを3つの観点から比較する

根本的な違いを押さえたところで、まずはAgentforceとChatGPT Enterpriseを、具体的な観点で比べてみましょう。ChatGPT Enterpriseとは、OpenAIが法人向けに提供する契約形態のことで、管理者によるワークスペースの管理やデータの取り扱いの取り決めが付きます。そこでここでは、AgentforceとChatGPT Enterpriseを3つの観点から比較します。

AgentforceとChatGPT Enterpriseの違いは、CRMデータの参照経路・CRMを更新する手段・データ保持の決まり方という3点に集約されます。

観点AgentforceChatGPT Enterprise
CRMデータの参照同一基盤で直接参照コネクタ・アプリ経由
CRMの更新標準のアクションで実行接続したアプリ経由
データ保持ゼロデータ保持を標準適用管理者が保持期間を設定
想定する用途Salesforce上の業務業務を問わない汎用利用

比較①CRMデータへのアクセス(ネイティブ統合かAPI経由か)

1つ目の比較は、CRMデータへのアクセス方法です。Agentforceは同じSalesforceの基盤上でレコードを直接参照し、ChatGPT Enterpriseは外部のコネクタやアプリを介して参照します。両者の前提が違うのは、片方がCRMの内側から、もう片方がCRMの外側から設計されているためです。

ChatGPT Enterpriseでは、管理者が有効にしたコネクタの範囲で社内のデータを検索できます。Salesforceのデータについては、SalesforceがChatGPT向けに提供するAgentforce Salesアプリがあり、2026年1月にオープンベータとして案内されました。このアプリを使うと、ChatGPTの画面から取引先や商談を参照でき、データはSalesforce側の権限とアクセス制御を通ります。利用にはAgentforce for Salesアドオンなどの対象ライセンスが必要です。※参考記事はこちら

この専門商社では実際に、Agentforceは追加の接続設定なしでCRMデータを参照できました。ChatGPT側は、どのオブジェクトを誰に見せるかを情報システム部3名が定義し、利用者が増えるたびに権限を見直す運用を組む前提になりました。営業45名分の権限設計を誰が持つのかが、比較のときの実務的な論点になっています。

判断の分かれ目は、CRMのアクセス権をどちらの製品側で管理したいかです。Salesforceの権限設定をそのまま使いたいならAgentforce、ChatGPTの利用範囲に合わせて別に管理する体制が取れるならChatGPT Enterpriseという整理になります。

比較②自律実行の範囲(Salesforceのアクションを直接実行できるか)

2つ目の比較は、自律実行の範囲です。AgentforceはSalesforce上のアクションを標準機能として実行し、ChatGPT Enterpriseは接続したアプリの範囲でCRMを更新します。ChatGPT側でも、Agentforce Salesアプリを通じてリードの作成や商談の更新、エージェントの起動までは行えます。

では、実行できる範囲はどこで分かれるのでしょうか。それは、Agentforceでは呼び出せる操作をFlowやApexからアクションとして定義できるのに対し、ChatGPT側は接続したアプリが公開している操作の範囲に限られるからです。

たとえば、この専門商社では、「見積もりを作成してケースを更新する」という一連の処理をAgentforceに任せ、承認の手前まで自動で進めました。ChatGPTからも商談の更新はできましたが、見積もりの作成のような自社固有の処理は、対象のアプリが用意している操作に含まれていませんでした。

逆にいえば、標準的なレコードの参照と更新だけで足りるなら、どちらでも運用は組めます。自社固有の処理をどれだけAIに任せたいかが、分かれ目になります。

比較③セキュリティ設計(ゼロデータ保持がシステムレベルで保証されているか)

3つ目の比較は、セキュリティ設計です。Agentforceでは、SalesforceがLLMプロバイダーと結んだ契約にもとづくゼロデータ保持が、利用者の設定と関係なく適用されます。ChatGPT Enterpriseでは、入力したデータを既定で学習に使わない扱いにしたうえで、会話の保持期間を管理者が設定し、削除した会話は30日以内に消去されます。

両者は、保護の担保のされ方が違います。片方は製品と契約の側で固定され、もう片方は管理者の設定で決まります。なお、入出力を一切保存しない厳密なゼロデータ保持は、OpenAIの場合、対象のAPIについて個別の契約で適用する形になります。

具体例でいうと、この専門商社の情報システム部は、担当者の異動があっても保護の水準が変わらない形を求めていました。設定の引き継ぎに依存しない点を評価し、Agentforceを軸に据える判断をしています。ただしAgentforceでもマスキングは働かないため、LLMへ渡す項目を絞る設計を並行して進めました。

AgentforceとMicrosoft Copilot for Salesを3つの観点から比較する

ChatGPT Enterpriseとの比較が済んだところで、次はMicrosoft Copilot for Salesと比べてみましょう。Microsoft Copilot for Salesとは、Microsoft 365 Copilotに含まれる営業向けの機能群のことで、現在はMicrosoft 365 Copilot内のSales agentとして提供されています。そこでここでは、AgentforceとMicrosoft Copilot for Salesを3つの観点から比較します。

AgentforceとMicrosoft Copilotの違いは、エージェントが動作する場所・接続できるCRMの範囲・前提となるライセンスという3点に表れます。

観点AgentforceMicrosoft Copilot for Sales
動作する場所Salesforceの画面OutlookとTeams
接続できるCRMSalesforceDynamics 365とSalesforce
中心的な用途CRM上の自律実行営業データの参照と要約
前提ライセンスAgentforceの利用契約Microsoft 365 Copilot

比較①対応CRM(Salesforce環境かDynamics365環境か)

1つ目の比較は、接続できるCRMの範囲です。AgentforceはSalesforceの内側で動き、Microsoft Copilot for SalesはDynamics 365 SalesとSalesforceの両方に接続できます。Microsoftの公開情報でも、Sales agentが対応するCRMとしてこの2つが明記されています。※参考記事はこちら

ただし、対応の中身には差があります。Salesforceに接続した場合、Sales agentが参照するのは管理者がフォーム設定で指定したオブジェクトで、項目名の言い換えを登録するシノニム機能はDynamics 365のみの対応です。同じ「対応している」という表現でも、設定できる範囲はCRMごとに変わります。

先ほどの専門商社を例にとると、Salesforceを全社で使っていたため、Copilot for SalesからSalesforceの商談を参照すること自体は問題なく行えました。一方で、自社で追加した項目や社内独自の呼び方を認識させる調整については、対応範囲を個別に確認する必要がありました。

どちらのCRMを使っているかだけで決まる話ではありません。自社が追加した項目や独自の業務名をどこまでAIに理解させたいかまで含めて、対応範囲を確認してから判断しましょう。

比較②エージェントのカスタマイズ性(ユースケースを自由に設計できるか)

2つ目の比較は、エージェントのカスタマイズ性です。ユースケースを一から設計したい場合、どちらの製品でも作れますが、作る場所が変わります。なぜなら、AgentforceはSalesforce内のトピックとアクションで組み立てるのに対し、Microsoft側はCopilot Studioという別の開発環境でエージェントを作り、Salesforceを含む多数のコネクタから接続する形になるからです。※参考記事はこちら

作る場所が違うと、権限とデータの通り道も変わります。Salesforce内で組めば既存の権限設定がそのまま効き、外部から接続する場合は接続アカウントの権限と、どの操作を許すかを別に管理することになります。

実際に、この専門商社が「問い合わせ内容に応じてCRMを更新し、必要なら発注まで進める」という独自のユースケースを検討した場面では、Agentforceならトピックとアクションだけで組めることが分かりました。Copilot Studioで同じ流れを作る場合は、情報システム部3名がコネクタの接続と権限、そして例外時の処理まで設計する前提になります。

逆にいえば、SalesforceだけでなくSharePointや基幹システムまでまたぐ処理を1体で扱いたいなら、外部の開発環境から接続する形のほうが素直です。作る場所は、処理がどこで完結するかで決まります。

比較③既存ツールとの連携(Microsoft 365との統合深度)

3つ目の比較は、既存ツールとの連携です。Microsoft Copilot for Salesは、OutlookとTeamsの中で動き、メールや会議の内容とCRMのレコードを結び付けます。利用にはMicrosoft 365 Copilotのライセンスが必要で、価格は1ユーザーあたり月30ドル、年間契約が前提です。※参考記事はこちら

Agentforce側は、Salesforceの画面とSlack、そして自社サイトのチャットが主な動作場所になります。どちらを選ぶかで、担当者が普段どの画面を開いたままAIを使うのかが変わってきます。

この専門商社の場合は、営業45名が日常的にOutlookとTeamsを使っていました。それでも、AIに任せたい業務の中心が在庫確認と発注の下書き、つまりSalesforce上の処理だったため、情報システム部はCRM側との統合を優先しています。

費用の目安として、営業45名にMicrosoft 365 Copilotを配ると月1,350ドル、1ドル159円換算でおよそ21万円になります。使う画面と対象人数を先に決めてから、金額を比べましょう。

3つのツールを比較する際の5つの選定ポイント

3つのツールをそれぞれ比べてきましたが、では自社はどう選べばよいのでしょうか。大切なのは、機能の多さよりも、自社の状況に合うかどうかで選ぶことです。そこでここでは、AgentforceとChatGPT・Copilotを比較する際に確認したい5つの選定ポイントを整理します。

ツール選定の分かれ目は、現在のCRM・ユースケース設計の自由度・データ保護の担保のされ方・自律実行とハンドオフ・運用体制という5つのポイントにあります。

選定ポイント確認する内容
①CRMとの統合対象データの置き場所
②設計の自由度独自フローを組めるか
③データ保護既定か設定かの区別
④自律実行とハンドオフ任せる範囲と引き継ぎ条件
⑤運用体制改善を担う担当者と時間

ポイント①現在使っているCRMとのネイティブ統合があるか

1つ目のポイントは、現在使っているCRMとのネイティブ統合があるかどうかです。ここでいうネイティブ統合とは、追加の接続を組まずに、同じ基盤の中でレコードを参照し更新できる状態を指します。コネクタ経由でも同じ業務は実現できますが、接続アカウントの権限、対象オブジェクトの指定、利用者が増えたときの見直しが、運用の作業として残ります。

確認すべきなのは、統合の有無よりも、その作業を誰が担うかです。専任の担当者がいない組織では接続の保守が後回しになり、権限の設定が古いまま使われ続けることがあります。

たとえば、この専門商社では、営業45名が扱う与信と在庫のデータがすべてSalesforce上にあり、情報システム部は3名でした。この人数で接続の保守まで抱えるのは難しいと考え、追加の接続を持たないAgentforceが有利だと判断しています。

AIに読ませたいデータの何割が現在のCRMにあるかを数え、その割合が高いほどネイティブ統合を優先します。

ポイント②業務フローに合わせたユースケースを自由に設計できるか

2つ目のポイントは、自社の業務フローに合わせて、ユースケースを自由に設計できるかどうかです。既製の機能で足りる業務と、自社固有の手順を組み込まなければ使えない業務では、必要な自由度が変わります。前者なら設定だけで動きますが、後者では処理の分岐や例外時の扱いまで自分たちで定義することになります。

見落としやすいのは、設計の自由度が上がるほど、決めることも増える点です。どの条件で処理を止めるか、失敗したときに誰へ通知するかまで決めなければ、公開しても運用に乗りません。

具体例でいうと、この専門商社では、月600件の問い合わせのうち定型が約7割の420件を占めていました。この420件を対象に、問い合わせ内容から在庫を確認し、不足していれば発注の下書きまで進める流れを設計しています。残る3割は最初から対象に含めず、人が受ける前提にしました。

自由に設計できることは、そのまま利点にはなりません。まず対象を定型の何割かに絞り、そこで運用を続けられると確かめてから範囲を広げましょう。

ポイント③データセキュリティがシステムレベルで保証されているか

3つ目のポイントは、データセキュリティがシステムレベルで保証されているかどうかです。保護には、製品や契約の側で固定されるものと、管理者の設定で決まるものがあります。この2つは、担当者が代わったときの安定性が違います。

では、なぜ設定に依存する保護が問題になるのでしょうか。それは、設定を引き継ぐ人が変わるたびに確認の手間が発生し、確認が漏れた期間だけ保護の水準が下がるからです。

先ほどの専門商社を例にとると、情報システム部3名のうち1名に異動の見込みがあり、設定の引き継ぎに依存しない形を条件に挙げていました。Agentforceのゼロデータ保持は契約側で担保されるため、この条件を満たしています。一方でマスキングはエージェントでは働かないため、LLMへ渡す項目を設計で絞る対応を別に決めました。

確認は、保護の項目ごとに「既定で働く」「設定が要る」「契約が要る」の3つに仕分けると早く済みます。この企業では、選定にあてた2ヶ月のうち2週間をこの仕分けに使いました。

ポイント④自律実行の範囲とハンドオフの設計が柔軟にできるか

4つ目のポイントは、自律実行の範囲と、人への引き継ぎであるハンドオフの設計を、柔軟にできるかどうかです。ハンドオフとは、AIが対応しきれない案件を人の担当者へ引き継ぐことを指します。線引きを決めずに公開すると、AIが答えきれない質問を抱えたまま返答が遅れ、担当者が使わなくなります。

決めておく項目は3つです。

①引き継ぐ条件・・・どの状態になったらAIの対応を止めるかを決めます ②引き継ぎ先・・・受ける担当者と、不在時の代わりを決めます ③引き継ぐ情報・・・問い合わせ内容と参照したレコードのどこまでを添えるかを決めます

この専門商社では実際に、在庫が基準を下回った場合と、与信の判断が必要な場合の2つを引き継ぎ条件に設定しました。それ以外の定型の問い合わせはAIが最後まで処理し、引き継ぐときは問い合わせ内容と参照したレコードを添えて営業担当へ渡しています。

引き継ぎ条件を決めずに公開すると、後から条件を足すたびに動作の確認をやり直すことになります。範囲は狭く始め、条件を足すのは運用が安定してからで間に合います。

ポイント⑤導入後の運用・改善を継続できる体制を整えられるか

5つ目のポイントは、導入後の運用と改善を継続できる体制を、整えられるかどうかです。ツールの比較だけで決着がつかないときは、この項目が最後の判断材料になります。なぜなら、AIエージェントの精度は公開した時点で固定されず、実際の問い合わせを見ながら指示と対象範囲を直し続けることで、初めて業務の時間が減るからです。

体制といっても、専任者を置く必要はありません。誰が月に何時間を改善にあてるかを決めておけば足ります。決まっていない場合は、公開後に誰も手を入れず、精度が上がらないまま使われなくなります。

実際に、この専門商社では、情報システム部の1名が月8時間を改善にあてる前提で選定を進めました。営業45名から上がった「答えがずれた」という報告を月に一度まとめ、指示文と対象データを見直す運用にしています。

改善に割ける時間が月に数時間も取れないなら、対象業務をさらに絞るほうが先です。以上が、3つのツールを比較する際に確認したい5つの選定ポイントでした。

Agentforceが向いている企業の特徴3つ

選定ポイントを踏まえると、ツールごとに向いている企業の姿が見えてきます。まずは、Agentforceが向いている企業の特徴から整理しましょう。そこでここでは、Agentforceが力を発揮しやすい企業の特徴を、3つ挙げます。

Agentforceが向いているのは、Salesforceをすでに使い、回答のあとにCRMの更新まで続く業務を抱え、監査証跡を求められる企業です。

特徴①Salesforce Sales Cloud・Service Cloudをすでに導入している

1つ目の特徴は、Salesforce Sales CloudやService Cloudをすでに導入していることです。この2つは2025年10月にAgentforce SalesとAgentforce Serviceへ名称が変わり、Data CloudもData 360に改称されました。Agentforceは、これらと同じ基盤の上で動きます。

すでに蓄積されたデータをそのまま使えるため、移行や再入力の工程が要りません。ただし、蓄積があることと、AIが使える状態であることは別です。入力の抜けや重複が多ければ、参照しても回答は安定しません。

たとえば、この専門商社では、Sales CloudとService Cloudを全社で使い、営業45名の商談と取引先の情報が5年分たまっていました。Agentforceを追加するだけで、この5年分をそのまま参照できています。

導入済みかどうかを見るときは、契約の有無だけで判断せず、対象業務で使う項目の入力率まで確認しましょう。この企業では、与信と在庫の項目の入力率が9割を超えていたため、追加の整備なしで進められました。

特徴②CRMデータを活用した自律的なアクション実行が必要だ

2つ目の特徴は、CRMデータを活用した自律的なアクション実行が必要なことです。問い合わせに答えるだけであれば、汎用の会話型AIでも対応できます。分かれるのは、回答のあとにレコードの更新や発注の下書きといった処理が続く場合です。

処理が続く業務では、参照したデータと実行した操作が同じ場所に記録されるかどうかが効いてきます。記録が分かれると、あとから「なぜその判断になったのか」を追えなくなり、取引先へ説明を求められたときに時間がかかります。

具体例でいうと、この専門商社では、問い合わせを受けてから在庫を確認し、不足していれば発注の下書きを作るまでを一続きで任せました。対象にしたのは月600件のうち定型の420件で、そのなかでも在庫の引き当てが必要なものだけをアクションとして定義しています。参照したレコードと実行したアクションはSalesforce上に残るため、営業担当が後から経緯を確認できています。

逆にいえば、AIに任せたいのが文章の作成や調査までなら、この特徴は選定理由になりません。回答のあとに処理が続く業務が全体の何件あるかを数えておくと、判断しやすくなります。

特徴③データセキュリティ・コンプライアンスの要件が厳しい

3つ目の特徴は、データセキュリティやコンプライアンスの要件が厳しいことです。Agentforceでは、ゼロデータ保持が契約側で担保され、有害性検出と監査証跡が既定で働きます。とくに監査証跡は、元のプロンプトと出力、検出スコアが時刻つきで残るため、社内監査や取引先への説明に使えます。

一方で、要件のすべてが既定で満たされるわけではありません。LLMへ渡すデータのマスキングはエージェントでは無効なので、扱う項目を設計側で絞る必要があります。

先ほどの専門商社を例にとると、取引先の個人情報を扱う都合上、監査証跡が全件残ることが承認の条件でした。あわせて、与信の金額など社外のモデルへ渡す必要のない項目は、エージェントが参照する対象から外しています。証跡の保存期間を社内規程と突き合わせる作業も、情報システム部3名が選定の段階で終えました。

要件が厳しいほど、既定で働く保護と、設計で担保する保護を分けて考える必要があります。監査に出す証跡と、そもそも渡さない項目の2つに分けて整理しましょう。

ChatGPT・Copilotが向いている企業の特徴3つ

Agentforceが向いている企業を整理してきましたが、一方で、ChatGPTやMicrosoft Copilotのほうが目的に合う企業もあります。そこでここでは、ChatGPTやCopilotが向いている企業の特徴を、3つ挙げます。

ChatGPTやCopilotが向いているのは、Salesforceを使っておらず汎用的なAIを求める企業や、Microsoft 365を中心にAIを活用したい企業です。

特徴①Salesforceを使っておらず汎用的なAIアシスタントが必要だ

1つ目の特徴は、Salesforceを使っておらず、汎用的なAIアシスタントを必要としていることです。ChatGPTは特定のCRMを前提にせず、文章の作成、調査、要約、コードの生成までを1つの契約で扱えます。法人向けのプランでは、管理者がコネクタの利用範囲を決め、書き込みを伴う操作を無効にしたまま運用を始められます。

料金の前提も違います。ChatGPT Businessは1ユーザーあたり月20ドル(年払い)で、2席から契約できます。ChatGPT Enterpriseには公開価格がなく、席数や契約期間に応じた個別の見積もりになります。

この専門商社の場合は、Salesforceが業務の中心にあったため候補から外れました。ただし情報システム部は、CRMを持たない関連会社であれば、まず汎用のAIから始めるほうが現実的だと整理しています。

社内にCRMがない、あるいはCRM以外の業務が中心であれば、統合の深さを比べても判断材料になりません。この場合は、使う業務の幅と、同時に契約する席数から先に決めましょう。

特徴②Microsoft 365環境を中心にAIを活用したい

2つ目の特徴は、Microsoft 365環境を中心にAIを活用したいことです。Microsoft 365 Copilotは、Word・Outlook・Teamsの中で動き、メールの下書き、会議の要約、資料の作成といった日常の作業を同じ画面で処理します。営業向けのSales agentも、このライセンスの範囲で利用できます。

新しい画面を開かせずに済む点は、利用者を増やすうえで効いてきます。使い始めの説明が短く済み、担当者が普段の手順を変えなくてよいためです。

実際に、この専門商社でも、資料作成や議事録の要約についてはMicrosoft 365側で完結していました。AIに任せたい業務がこの範囲にとどまる企業であれば、CRM側の製品を追加せずに済みます。

自社専用のエージェントをCopilot Studioで作る場合は、25,000クレジットあたり月200ドルの容量パックが別に必要です。日常の作業支援だけで足りるのか、自社専用のエージェントまで作るのかで、必要な費用が変わります。

特徴③CRMとの深い統合より会話型AIの活用が優先だ

3つ目の特徴は、CRMとの深い統合よりも、会話型AIの活用が優先だということです。求めているのが文章の作成や調査であれば、CRMとの統合度合いは判断にほとんど影響しません。

では、なぜ統合の深さを比べても決まらないのでしょうか。それは、統合が効くのはAIが参照するデータがCRMの中にある場合に限られ、社内文書や公開情報が中心の業務では、参照先がそもそもCRMの外にあるからです。

具体例でいうと、この専門商社でも、提案資料のたたき台づくりや市場調査については、CRMのデータをほとんど使っていませんでした。営業45名が扱う業務のうち、CRMのレコードを参照する業務はおよそ半分で、残りは公開情報と社内文書だけで完結していたのです。この範囲の業務だけを見れば、汎用の会話型AIで目的を果たせます。

会話支援だけで足りる業務なのか、CRMの更新まで必要なのかを、業務の一覧に印を付けて仕分けましょう。印の付いた業務が少なければ、汎用の会話型AIで足ります。

既存ツールからAgentforceへの移行を検討する際の3つの注意点

向いている企業の姿が見えたところで、すでにChatGPTやCopilotを使っている企業が、Agentforceへ移行する場合の注意点も押さえておきましょう。設計の前提が異なるため、そのまま移せない部分があります。そこでここでは、Agentforceへの移行を検討する際の3つの注意点を整理します。

ChatGPTやCopilotで作ったプロンプトやフローは、トピックとアクションで組み立てるAgentforceへそのまま移行できず、データの整備と再設計が前提になります。

注意点①ChatGPTやCopilotで構築したプロンプト・フローはAgentforceにそのまま移行できない

1つ目の注意点は、ChatGPTやCopilotで構築したプロンプトやフローが、Agentforceへそのまま移行できないことです。Agentforceでは、指示を「トピック」と「アクション」という単位に分けて登録します。トピックは扱う業務のまとまり、アクションはその中で実行できる操作にあたり、1つの長い指示文をそのまま貼り付ける構造にはなっていません。

移すのは文面よりも、業務の手順です。どの条件でどの操作を呼ぶかを洗い出し、操作ごとにアクションとして定義し直す作業になります。

先ほどの専門商社を例にとると、ChatGPTで作り込んでいた問い合わせ対応の指示文は、回答の口調と禁止事項の部分だけを流用しました。在庫の確認と発注の下書きは、それぞれ別のアクションとして作り直しています。

そのまま移せないことを前提に置かないと、移行の工数を実際より少なく見積もることになります。既存の指示文は、そのまま使う資産というより、要件を書き出した資料として扱いましょう。

注意点②Agentforceへの移行にはSalesforceのデータ基盤整備が先決だ

2つ目の注意点は、Agentforceへの移行には、Salesforceのデータ基盤の整備が先決になることです。AgentforceはCRMのレコードを参照して判断するため、参照先の項目が空欄だったり、同じ取引先が重複していたりすると、回答も実行もぶれます。

整備といっても、全項目をきれいにする必要はありません。対象のユースケースが参照する項目だけを、入力率と重複の2点で点検すれば足ります。点検の対象が広がるほど工数は増えるため、先にユースケースを1つに絞っておくと、整備の範囲もそこで確定します。

この専門商社では実際に、Agentforceの導入を決める前に、取引先データと商談データの入力状況を点検しました。与信と在庫の項目は入力率が9割を超えていた一方、取引先の重複が全体の1割弱あり、統合してから移行に進んでいます。

点検の目安は、対象の項目に絞れば1〜2週間です。この企業も、選定にあてた2ヶ月の中でこの工程を終えています。

注意点③移行後の定着には運用設計とユースケースの再設計が必要になる

3つ目の注意点は、移行後の定着には、運用設計とユースケースの再設計が必要になることです。移行はゴールではなく出発点です。ツールを入れ替えただけでは、担当者が使う理由は生まれません。

再設計で決めるのは、どの業務をAgentforceに任せるかと、誰が改善を担うかの2つです。前者を決めずに移すと、以前のツールでできていた範囲をなぞるだけになり、後者を決めずに公開すると、精度が下がったときに直す担当者がいなくなります。

実際に、この専門商社では、移行にあわせて対象業務を定型の問い合わせ420件に絞り直し、情報システム部の1名が月8時間で改善を担う形にしました。稼働から4ヶ月目には、この420件のうちおよそ6割にあたる250件をAgentforceが一次対応しています。

移行の計画を立てるときは、切り替えの日程と同じ資料に、公開後3ヶ月分の改善の担当者と時間まで書き込みましょう。定着の進め方については、ほか記事「中小企業のAgentforce導入ガイド|向く理由・成果の出る業務・費用」で詳しく解説しています。

【一問一答】AgentforceとChatGPT・Copilotの比較に関するよくある質問

移行の注意点まで整理してきましたが、最後に、AgentforceとChatGPT・Copilotの比較について検索されやすい疑問に、簡潔にお答えします。判断に直結する結論から順にお伝えします。

AgentforceとChatGPT・Copilotは、CRMの自律実行はAgentforce、汎用的な会話支援はChatGPTやCopilotと、用途で使い分けるのが基本です。

質問結論
同時に使えるか用途で使い分けられます
SalesforceでCopilotを使えるか接続は公式に対応
料金を比較できるか課金の単位が異なります
ChatGPT APIを呼べるか設定すれば呼び出せます
中堅企業が選ぶ理由既存CRMを活かせます

質問①AgentforceとChatGPTは同時に使えるのか

同時に使えます。CRM上の自律実行はAgentforce、汎用的な文章作成や調査はChatGPTと、用途で分けて契約する企業は少なくありません。SalesforceはChatGPT向けにAgentforce Salesアプリを提供しており、対象のライセンスがあれば、ChatGPTの画面からリードの作成や商談の更新まで行えます。

質問②SalesforceユーザーがMicrosoft Copilotを使うことはできるのか

できます。Microsoft 365 CopilotのSales agentは、対応するCRMとしてDynamics 365 SalesとSalesforceの2つに接続できます。ただし、Salesforceで参照できるのは管理者が指定したオブジェクトに限られ、項目名の言い換えを登録するシノニム機能はDynamics 365のみの対応です。

質問③Agentforce・ChatGPT・Copilotの料金を比較するとどうなるのか

課金の単位が違うため、横並びの比較はできません。Agentforceは10万Flex Creditsが500ドルで、1アクションが20クレジット(0.10ドル)、会話課金は1会話2ドルです。Microsoft 365 Copilotは1ユーザー月30ドル、ChatGPT Businessは1ユーザー月20ドルで、ChatGPT Enterpriseは個別の見積もりになります。※参考記事はこちら

質問④AgentforceからChatGPT APIを呼び出すことはできるのか

できます。外部サービスの呼び出しとして設定すれば、ChatGPTの生成結果をAgentforceの処理の中で利用できます。ただし、この連携の構築と保守、そして送信する項目の管理は自社側で担う前提になります。逆方向は、ChatGPT側のAgentforce Salesアプリで対応します。

質問⑤中堅企業がAgentforceを選ぶ理由は何か

すでにSalesforceを使っている場合に、追加の接続を持たずにCRMデータを参照し、実行まで任せられるためです。今回の専門商社のように情報システム部が3名程度の組織では、接続の保守を増やさずに済む点が判断材料になります。

AgentforceとChatGPT・Copilotの違いはCRMデータとの統合深度と自律実行の設計思想にある

AgentforceとChatGPT・Copilotの違いは、どのツールの機能が多いかという話ではありません。CRMデータとどこまで統合し、AIにどこまで自律実行を任せるかという、設計思想の違いにあります。本記事では、3つのツールの根本的な違いから、観点ごとの比較、向いている企業の特徴、そして移行の注意点までを、一続きで整理してきました。

3つのツールは、どれかが一方的に優れているという関係ではありません。Salesforceを中心にCRMの自律実行を求めるならAgentforce、汎用的な会話支援ならChatGPT、Microsoft 365を中心に使うならMicrosoft Copilotと、自社の環境と目的によって最適な選択は変わります。今回例に挙げた専門商社も、営業45名が週4時間ずつ使っていた確認作業と、月600件の問い合わせを前提に比較を進め、Agentforceを選びました。選定からおよそ3ヶ月で最初のユースケースを稼働させ、稼働から4ヶ月目には定型420件のうち250件をAgentforceが一次対応しています。確認作業は営業1人あたり週1.5時間まで減り、45名では月およそ450時間の削減になりました。

AgentforceとChatGPT・Copilotの比較で大切なのは、ツールの優劣を決めることよりも、自社のCRM環境と、AIに任せたい業務の範囲に合っているかを見ることです。この観点で見比べれば、名前や評判に惑わされることなく、自社に合ったAIツールにたどり着けるでしょう。

自社のSalesforce環境に合わせたAgentforceの導入・定着の進め方については、Agentforce導入・定着支援でもご相談を承っています。