Agentforce for Marketingとは?任せる範囲と営業への引き渡し設計

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営業部門でAgentforceを使い始めると、次に出てくるのが「マーケティングの業務にも広げられるのか」という問いです。Agentforce for Marketingとは、Agentforceのマーケティング部門向けAIエージェントです。キャンペーンの企画から初稿の作成までを担い、2025年3月25日に日本市場で提供が始まりました。

なお、綴りの近い「Agentforce Marketing」という表記も見かけます。こちらはSalesforceの製品名の変更に関連して使われている呼び方で、本記事が扱うマーケティング部門向けエージェントと同じ対象を指すとは限りません。本記事では、公式に提供内容が示されている「Agentforce for Marketing」を扱います。

本記事では、業務用の空調フィルターを製造・販売する中堅メーカー(従業員560名・営業30名・マーケティング担当2名・情報システム部4名)を例に、何を任せて何を人が判断するのかを解説します。この企業は説明のための架空の設定であり、実在の企業ではありません。記載内容は2026年8月時点のものです。

目次
  1. Agentforce for Marketingの判断が止まる3つの状況
    1. 状況①マーケ担当が少なく検証に時間を割けない
    2. 状況②営業側の成果とつながって見えない
    3. 状況③どこまで任せてよいのかが決まらない
  2. Agentforce for Marketingが担う3つの役割
    1. 役割①キャンペーンの企画を形にする
    2. 役割②配信する相手を絞り込む
    3. 役割③配信後の結果を読み取る
  3. Campaign Creationでできる4つの工程
    1. 工程①ガイドラインを作る
    2. 工程②ターゲットとセグメントを決める
    3. 工程③メールとLPの初稿を作る
    4. 工程④カスタマージャーニーを組む
  4. Agentforce for Marketingに任せない3つの領域
    1. 領域①ブランドの表現を最終的に決める判断
    2. 領域②配信の可否を承認する判断
    3. 領域③商談にするかどうかの判断
  5. Agentforce for Marketingを使う前に必要な3つの前提
    1. 前提①対象になるエディションの契約
    2. 前提②配信の対象になるデータの整備
    3. 前提③設定と確認を担う担当者
  6. Agentforce for Marketingの費用を見積もる3つの確認項目
    1. 項目①会話の単位で決まる課金の考え方
    2. 項目②想定する会話の回数
    3. 項目③既存の契約に含まれる範囲
  7. Agentforce for Marketingの導入でつまずく3つの落とし穴
    1. 落とし穴①初稿をそのまま配信してしまう
    2. 落とし穴②全キャンペーンを一度に任せる
    3. 落とし穴③営業側の成果と切り離して測る
  8. Agentforce for Marketingを使い始める4ステップ
    1. ステップ①任せる工程を1つ選ぶ
    2. ステップ②ブランドのガイドラインを言語化する
    3. ステップ③対象のキャンペーンを絞って試す
    4. ステップ④確認の担当と基準を決める
  9. Agentforce for Marketingが効いてくる3つの業務
    1. 業務①定期的に配信しているメール
    2. 業務②展示会の後のフォロー
    3. 業務③既存顧客への案内
  10. マーケが作ったリードを営業へ引き渡す3つの設計
    1. 設計①引き渡す条件を先に決める
    2. 設計②引き渡す時点で渡す情報を揃える
    3. 設計③引き渡した後の結果を戻す
  11. Agentforce for Marketingの効果を測る3つの指標
    1. 指標①初稿にかかる時間
    2. 指標②配信までの日数
    3. 指標③引き渡したリードの商談化
  12. Agentforce for Marketingが向いている企業の3つの特徴
    1. 特徴①同じ形のキャンペーンを繰り返している
    2. 特徴②ブランドの基準が文書になっている
    3. 特徴③営業とマーケが同じ数字を見ている
  13. Agentforce for Marketingを急がなくてよい3つのケース
    1. ケース①キャンペーンの本数が少ない
    2. ケース②配信先のデータが整っていない
    3. ケース③引き渡しの条件が決まっていない
  14. 【一問一答】Agentforce for Marketingに関するよくある質問
    1. 質問①Agentforce for Marketingの費用はどう決まるのか
    2. 質問②Agentforce for MarketingとAgentforce Marketingは同じか
    3. 質問③Agentforce for Marketingはどのエディションで使えるのか
    4. 質問④Agentforce for Marketingは日本語で使えるのか
    5. 質問⑤Agentforce for Marketingは営業側の機能と連携するのか
  15. Agentforce for Marketingは初稿までを任せ商談化の判断は人に残す
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本田正憲

合同会社クロスコムの代表|専門商社にて7年間のBtoB営業を経て、マーケティング業界に参入。現在はSalesforce公式コンサルティングパートナーとして、ソリューション営業の業務プロセスに特化したAgentforce導入・定着支援と、Agentic CRM設計支援を提供している。

Agentforce for Marketingの判断が止まる3つの状況

検討が止まるのは、機能の情報が足りないからではありません。営業部門でAgentforceを動かしている企業ほど、マーケティングへ広げる判断で立ち止まります。例に挙げた空調フィルターメーカーも、Sales Cloudを5年、Marketing Cloudを2年使っていながら、マーケ側へ広げる結論が出ないまま数か月が過ぎていました。止まっている場所は、時間・数字・範囲の3つに分かれます。どれが自社に当てはまるかで、次に手を付ける対象も変わるでしょう。ここでは、判断が止まる3つの状況を確認していきます。

状況①マーケ担当が少なく検証に時間を割けない

1つ目は、試す時間を確保できないという状況です。

このメーカーのマーケティング担当は2名でした。年間12本のキャンペーンを企画し、1本あたり企画から配信までにおよそ3週間かかっています。単純に並べると年間の大半が配信の準備で埋まる計算になり、新しい仕組みを試す余白がありません。

余白がないと、検証は「落ち着いたらやる」という扱いになります。ところが落ち着く時期は来ません。次のキャンペーンの企画が始まるためです。この構図が続くかぎり、機能の情報をいくら集めても判断には近づきません。

この規模感の想定は、社内の説明では通りやすい一方で、実行の担当が誰なのかを曖昧にします。実際にこのメーカーも、最初の検討では年間12本すべてを見直す前提で話を進めていました。その規模では、担当2名が本業を止めない限り着手できません。対象を1本の1工程まで落とした時点で、初めて日程が引けるようになっています。落とす作業は、諦めることを意味しません。着手できる大きさに切ることです。

状況②営業側の成果とつながって見えない

2つ目は、マーケの成果が営業の数字とつながって見えないという状況です。

このメーカーでは、問い合わせから営業へ引き渡す件数が月およそ40件ありました。そのうち商談になるのは月およそ9件です。マーケ側は40件という数字を報告し、営業側は9件から先の数字を見ています。同じ流れを扱いながら、見ている場所が分かれていました。

分かれていると、マーケにAIを入れる投資の説明が難しくなります。40件が50件に増えることの意味を、営業側の言葉で示せないためです。稟議の場で問われるのは、増えた10件のうち何件が商談になるのかという点になります。

この分断は、どちらかの部門が悪いという話ではありません。つまり、マーケにAIを入れる検討は、部門をまたいだ数字の設計を同時に求めます。この点に気づかないまま機能の比較を進めると、稟議の直前で説明が組み立てられないことに気づきます。順番としては、数字のつながりを先に決めるほうが手戻りが少なくなります。

状況③どこまで任せてよいのかが決まらない

3つ目は、どこまで任せてよいのかという線引きが社内で決まらない状況です。

キャンペーンの文面には、企業としての言い回しや、使ってよい表現の基準があります。AIが作った文面をそのまま配信してよいのかという問いに、社内で答えが用意されていませんでした。答えがないため、担当者は判断を保留します。

保留が続くと、機能を見る目的が「使えるかどうか」から「使わない理由を探す」方向へ変わっていきます。実際にこのメーカーでも、検討の会議で出てくる論点が、途中から懸念の列挙に寄っていました。

この保留は、慎重さから来るものです。だからこそ、決めない限り解けません。決める単位は、工程ごとで構いません。初稿を作るところまでは任せ、送る判断は残すという粒度であれば、担当者どうしでもその場で合意できます。全社の方針を待つ必要はありません。

マーケティングへ広げる判断が止まるのは機能の情報不足ではなく、試す範囲と任せない範囲を先に決めていないためです。

Agentforce for Marketingが担う3つの役割

前章では判断が止まる状況を挙げました。ここからは、実際に何を担う仕組みなのかを見ていきます。公式の説明では、一元管理されたデータをもとにキャンペーンの作成を支援し、担当者の業務の負担を減らすものという位置づけです。担う内容は、企画を形にする・相手を絞る・結果を読む、という3つに整理できます。役割で捉えると、機能名を覚えるより判断が早くなります。自社のどの作業が置き換わるのかを、役割ごとに当てはめられるためです。ここでは、その3つの役割を解説していきます。

役割①キャンペーンの企画を形にする

1つ目の役割は、決めた目的とブランドの基準にもとづいて、企画を具体的な形にすることです。

クラウドWatchの報道によると、Agentforce for Marketingは「一元管理されたデータをもとに、エンドツーエンドのキャンペーン作成を支援し、マーケティング担当者の業務の負担を削減する」ものと説明されています(2025年3月26日掲載)。※参考記事はこちら

ここで重要なのは、起点が目的とブランドの基準だという点です。白紙から文面を生成する仕組みではありません。先に決めた条件に沿って形にします。条件が曖昧なままだと、返ってくる内容も曖昧になります。

空調フィルターメーカーの場合、キャンペーンの目的は明確でした。一方でブランドの基準は担当者2名の頭の中にあり、文書になっていません。この差が、後の工程で効いてきます。目的だけを渡して初稿を作らせると、書かれている内容は正しくても言い回しが自社のものにならないためです。基準を渡せるかどうかが、出力の質を分けます。

役割②配信する相手を絞り込む

2つ目の役割は、誰に届けるかを決めることです。

ターゲットとなるオーディエンスを特定し、セグメントを作る工程が含まれます。手作業で条件を組み立てる代わりに、目的から逆算した候補を提示させる形になります。

このメーカーのメール配信先は約8,000件でした。全件に同じ内容を送る運用が続いており、開封の状況は見ていたものの、送り分けは行っていません。2名で条件を設計する余裕がなかったためです。

誰に届けるかを決める作業は、届ける内容を決める作業より後回しにされがちです。絞り込みの工程を任せられると、送り分けが現実的な選択肢になります。全件に同じ内容を送る運用では、関心の薄い相手にも同じ頻度で届くため、配信停止の申し出が増えていく傾向がありました。相手ごとに内容を変えられれば、この流出も抑えられます。ただし、絞り込む材料になるデータが揃っていることが前提です。項目が空欄のままでは、条件を組んでも意味のある分割になりません。この前提は後の章で改めて扱います。

役割③配信後の結果を読み取る

3つ目の役割は、配信した後の結果を継続的に見て、改善の案を出すことです。

公式の説明では、キャンペーンのパフォーマンスを継続的に分析し、KPIにもとづく最適化の提案を行うと記載されています。加えてSalesforceのTrailheadには、進行中のキャンペーンについて「autonomously analyzing and optimizing in-flight campaign performance, taking actions like pausing low-performing ads」という記述があります(2026年8月時点)。※参考記事はこちら

成果の低い広告を止めるといった動作まで含まれる点が、単なる分析との違いです。人が結果を見に行かなくても、条件を満たしたときに処理が動きます。

営業側の機能を含めたAgentforce全体の構成は、ほか記事「【2026年最新】Agentforceの機能一覧|360・Coworker・Voiceまで」で整理しています。

Agentforce for Marketingが担うのは、企画を形にする・配信する相手を絞る・配信後の結果を読むという3つで、いずれも先に決めた条件を起点に動きます。

Campaign Creationでできる4つの工程

3つの役割のうち、日本で提供が始まっている中心の機能がCampaign Creationです。担う範囲は公式に具体的な工程として示されており、どこまでを任せられるのかが明確になっています。判断のためには、この工程の粒度で見ておく必要があります。4つは独立して選べるものではありません。前の工程の結果を次が受け取る形で並んでおり、どこから任せるかを決めるときはこの順番が効いてきます。ここでは、Campaign Creationでできる4つの工程を順に解説していきます。

工程①ガイドラインを作る

最初の工程は、キャンペーンの目的とブランドの基準にもとづいてガイドラインを作ることです。

報道によると、Campaign Creationは「マーケティング担当者が設定したキャンペーン目的とブランドガイドラインに基づいて」キャンペーンの作成を支援し、その中にガイドライン作成が含まれると記載されています。目的を渡すと、以降の工程で参照される基準が形になります。

この工程が最初に来る意味は大きいといえます。状況③で挙げた「どこまで任せてよいか決まらない」という問題は、基準が文書になっていないことから生じているためです。基準を作る工程が仕組みの中にあれば、その作業自体を進める理由になります。文書化は後回しにされやすい作業ですが、着手の条件として組み込まれていれば先送りできません。

空調フィルターメーカーでは、この工程を最初の対象に選びました。2名の頭の中にあった基準を外に出す作業から始めた形になります。

工程②ターゲットとセグメントを決める

2つ目は、届ける相手を特定し、セグメントを作る工程です。

公式の説明では、ターゲットオーディエンスの特定とセグメント作成が工程として挙げられています。目的に照らして、どの層に届けるべきかの候補が示されます。

目的から逆算した候補が出てくると、担当者の作業は条件を組むことから評価することへ移るはずです。約8,000件の配信先を持つこのメーカーの場合、全件配信から送り分けへ移る判断がここで発生します。ただし、セグメントの精度は元になるデータの状態に左右されます。業種や導入している設備の情報が入っていなければ、条件を組んでも意味のある分割になりません。確かめる方法としては、分けたい条件を1つ挙げて、その項目が何件に入っているかを数えることです。半数以上が空欄であれば、その条件では分けられません。

配信対象のデータをどう整えるかは、ほか記事「Data 360(旧Data Cloud)とは?Agentforceに必要な理由と導入の判断軸」で扱っている論点と重なります。

工程③メールとLPの初稿を作る

3つ目は、メールとランディングページの初稿を作る工程です。

公式の記載では「Emailやランディングページの初稿作成」と明示されています。初稿という言葉が使われている点が、この機能の位置づけを表しています。 完成品ではありません。人が手を入れる前の下書きです。

文面は、書き上げるまでの時間が読みにくい作業でもあります。空調フィルターメーカーが最も期待していたのがこの工程でした。1本あたり3週間かかっていた企画から配信までの時間のうち、文面を書き起こす作業が相応の割合を占めていたためです。担当2名のうち1名が文面を書き、もう1名が確認するという分担で回しており、書く側の手が空かないと次のキャンペーンに進めない構造になっていました。初稿が用意されれば、書く工程が確認から始まります。着手までの心理的な負担が減るという効果も、担当者からは挙がりやすい変化です。

一方で、初稿をそのまま配信できるかは別の問題になります。ここは後の章で落とし穴として扱います。

工程④カスタマージャーニーを組む

4つ目は、Salesforce Flowでカスタマージャーニーを構築する工程です。

公式の記載では「Salesforce Flowでのカスタマージャーニー構築」が工程に含まれています。開封やクリックといった反応に応じて、次に何を送るかの分岐を組む作業にあたります。

この工程は、担当者が2名の組織ほど手が回りにくい領域です。分岐を設計するには、想定される反応のパターンを洗い出す必要があり、1本のキャンペーンごとに設計をやり直すと時間が足りません。実際にこのメーカーでは、分岐を組まずに一斉配信だけで運用していた期間が2年続いていました。型ができれば、次のキャンペーンに使い回せます。ただし工程④は、工程②の送り分けが成立してから着手するほうが順当です。分ける条件がない状態で分岐だけを組んでも、実質的に一斉配信と変わらないためです。

なお、Loyalty Program Managementという機能については、今後日本での提供を予定していると報じられています。現時点で使える範囲と、これから使える範囲は分けて見ておく必要があります。

Campaign Creationが担うのはガイドライン作成・セグメント作成・初稿作成・ジャーニー構築の4工程で、いずれも完成品を出すものではありません。人が手を入れる前の状態までです。

Agentforce for Marketingに任せない3つの領域

工程を4つ挙げましたが、判断のために本当に必要なのは、任せない範囲を決めることです。状況③で立ち止まっていたのもこの点でした。任せない範囲が決まれば、残りが任せられる範囲になり、検討は前へ進みます。3つに共通するのは、決めた後で取り消せないという性質です。取り消せる作業は任せ、取り消せない判断は残すという線の引き方になります。任せる範囲を広げるより、残す範囲を先に固めるほうが検討は前に進みます。ここでは、人が判断として残すべき3つの領域を解説していきます。

工程・場面任せられる範囲人が残す判断
ガイドライン作成過去の配信から基準の案を作る基準として承認するかどうか
セグメント作成目的から対象の候補を出すその対象へ送ってよいかどうか
メール・LPの初稿文面の初稿を作る表現が自社の基準に沿っているか
配信配信の実行と結果の分析送ってよいかどうかの承認
反応があった相手反応の記録と引き渡し商談として扱うかどうか

左の列を見ると、任せられるのはいずれも案を出すところまでです。右の列は、決めた後で取り消せない判断だけが並びます。

領域①ブランドの表現を最終的に決める判断

1つ目は、企業として何をどう言うかの最終判断です。

工程①でガイドラインを作れるとはいえ、そのガイドライン自体を承認するのは人です。加えて、初稿がガイドラインに沿っているかの最終確認も人が行います。表現の適否は、業界の慣行や取引先との関係を踏まえた判断を含むためです。

表現の適否は、書かれている内容が正しいかどうかとは別の判断です。空調フィルターメーカーの場合、設備商社を経由する販路と直販の販路で、使ってよい表現が違いました。商社経由では価格に触れない、直販では触れてよい、といった運用です。この区別は文書になっておらず、担当者の経験として蓄積されていました。経験として持っている人が確認する限り誤りは起きませんが、その人が確認できない状態になると途端に危うくなります。基準を文書にしておけば、確認できる人の範囲が広がります。

基準を作る作業は任せられます。基準を決める判断のほうは残ります。 この線引きが、任せる範囲を考えるときの出発点になります。

領域②配信の可否を承認する判断

2つ目は、実際に送ってよいかどうかの承認です。

メールは一度送ると取り消せません。約8,000件へ届いた後で誤りが見つかれば、訂正の連絡が必要になります。取り消せない処理の前に人が確認する地点を置くのは、マーケティングに限らず共通の設計です。

取り消せない処理の手前に確認を置くという設計は、マーケティングに固有のものではありません。承認の位置は、扱う内容の重さで変えられます。既存顧客への定期的な案内であれば確認は軽く、新製品の価格に触れる案内であれば重くする、といった分け方です。すべてを同じ重さで承認すると、確認の手間が減らず導入の意味が薄れます。重さの区分は2段階で足ります。細かく分けるほど、どちらに該当するかを判断する時間が増えるためです。

一任と承認の境界をどう設計するかは、ほか記事「Einstein Trust Layerとは?AIに一任する範囲と人が承認する場面の設計」で詳しく扱っています。

領域③商談にするかどうかの判断

3つ目は、集まった反応を商談として扱うかどうかの判断です。

ここが本記事で最も強調したい点になります。マーケティング側の仕組みがどれだけ精度を上げても、商談にするかどうかは営業側の判断です。この境界を曖昧にすると、マーケが「見込みあり」と判定した相手が営業に届き、営業が扱わないまま滞留します。

境界を曖昧にしたまま件数だけを追うと、両部門の作業が増えて成果が動かない状態になります。このメーカーで月およそ40件が引き渡され、商談になるのが月およそ9件だったという数字は、まさにこの境界の話でした。31件が商談にならなかった理由は、営業側にしか分かりません。マーケ側から見れば反応のあった相手であり、渡す判断は妥当だったはずです。判断の基準が両部門で揃っていないことが、この差の正体でした。

商談化の判断を人と営業プロセスに残す設計は、後の章で改めて扱います。

任せない範囲は、ブランド表現の最終判断・配信の承認・商談化の判断の3つで、いずれも取り消せない結果につながる地点です。

Agentforce for Marketingを使う前に必要な3つの前提

任せる範囲を決めたら、次は自社の環境で使える状態にあるかを確かめます。空調フィルターメーカーが検討に時間を要したのも、機能の比較に手間取ったからではありません。この前提の確認に手が回らなかったためです。確認すべきなのは、契約しているエディション、配信対象のデータ、そして設定と確認を担う人の3点です。3つとも、機能の説明を読んでいるだけでは答えが出ません。契約書と配信リストと体制を、それぞれ実際に見に行く作業になります。ここでは、着手する前に必要な3つの前提を解説していきます。

前提①対象になるエディションの契約

最初の前提は、対象になるエディションを契約しているかどうかです。

報道によると、Campaign Creationは「Marketing Cloud Growth Edition」または「Marketing Cloud Advanced Edition」で利用でき、価格は1つの会話につき240円からと記載されています(2025年3月26日掲載)。標準のエディションのままでは対象にならない可能性があります。

この確認が最初に来る理由は、結果によって検討の前提が変わるためです。上位のエディションへの変更が必要であれば、金額の規模も承認の経路も変わります。機能の比較を進める前に、販売元へ確認しておくほうが手戻りが減ります。

空調フィルターメーカーはMarketing Cloudを2年使っていましたが、契約時のエディションが現在のどれに相当するのかを、担当者は把握していませんでした。契約書を確認する作業から始めています。この確認には、契約書の保管場所を探すところから含めて2週間ほどかかりました。情報システム部と管理部門のどちらが保管しているかが決まっていなかったためです。

前提②配信の対象になるデータの整備

2つ目は、届ける相手のデータが使える状態にあるかどうかです。

工程②で触れたとおり、セグメントの精度は元になるデータに左右されます。約8,000件の配信先について、メールアドレス以外にどの情報を持っているかが問われます。業種、導入している設備、過去の問い合わせの内容といった項目です。

持っている項目の多さより、その項目が実際に埋まっているかどうかが問われます。このメーカーの場合、Sales Cloud側には取引先の情報が5年分ありました。一方、メールの配信リストは別に管理されており、両者が紐づいていません。同じ相手が2か所に別々に存在している状態です。取引先の担当者が交代した際も、Sales Cloud側は更新されるのに配信リストは古いまま残るという食い違いが起きていました。

すべてを整えてから始める必要はありません。最初に扱うキャンペーンで使う項目だけが揃っていれば着手できます。確認すべきなのは全社のデータ品質より、対象にする1本のキャンペーンで使う項目の状態です。

前提③設定と確認を担う担当者

3つ目は、設定と、出てきた内容を確認する人を置けるかどうかです。

情報システム部4名のうち、Salesforceの設定を日常的に触っているのは1名でした。マーケティング担当2名は設定の経験がありません。この配置で誰が何を担うのかを決めないまま始めると、初稿が出てきた後で止まります。

見積もる対象は、初期の設定にかかる時間だけではありません。出てきた初稿を確認し、ガイドラインを直す作業が継続して発生します。このメーカーでは、試験運用の期間中に週2時間ほどを確認に充てる想定を置きました。この2時間を誰の時間から出すのかまで決めておかないと、通常業務に押し出されて実施されません。

社内に置けない場合、設計レビュー・アドバイザリーだけを外部に頼み、実装と運用は社内で持つという分け方もできます。外部に頼む範囲は、後から狭めることも可能です。最初だけ基準の作り方を見てもらい、運用が安定してきた段階で社内へ移すという進め方になります。

着手できるかどうかは、対象エディションの契約・使う項目のデータ整備・確認を担う人という3つの前提で決まります。

Agentforce for Marketingの費用を見積もる3つの確認項目

前提①でエディションの条件に触れましたが、稟議に載せる金額はそれだけでは出ません。課金の単位が会話であるため、想定する使い方によって総額が変わります。金額を出す前に確認しておく項目が3つあります。金額を先に聞こうとすると、返ってくるのは前提つきの概算になります。前提のほうを先に固めておけば、見積もりの精度も上がります。確認の順番は、課金単位・回数・契約範囲の3つです。ここでは、その3つを順に解説していきます。

項目①会話の単位で決まる課金の考え方

1つ目の確認項目は、何を1回と数えるのかという課金の考え方です。

報道では「1つの会話につき240円から」と記載されています。機能ごとの定額ではありません。使った回数に応じて増える形です。この点は、Agentforce本体の課金の考え方と共通しています。

会話の単位で課金される仕組みは、使い方によって総額が大きく動きます。考え方が共通していることには利点があります。営業側でAgentforceを使っている企業であれば、費用の説明の型をそのまま持ち込めるためです。稟議で1から説明し直す必要がありません。承認する側から見ても、すでに一度通した形式であれば論点が絞られます。営業側で使っていない企業の場合は、この説明の型から作ることになります。

Agentforce側の課金の詳細は、ほか記事「【2026年最新】Agentforce料金・ライセンス完全ガイド」で整理しています。ただし、Marketing側の240円という単価は別建てである点に注意が要ります。

項目②想定する会話の回数

2つ目の確認項目は、どのくらいの頻度で使うかです。

年間12本のキャンペーンを持つ空調フィルターメーカーの場合、1本あたり何回のやり取りが発生するかで総額が変わります。初稿を1回出して終わるのか、条件を変えて何度か出し直すのかで、回数は数倍に開きます。

1本あたりの回数は、担当者の慣れによっても変わります。見積もりの段階では、多めに見ておくほうが安全です。実際には試行錯誤が発生し、想定より回数が増える傾向があるためです。少なめに見積もって後から追加を申請すると、承認の手間が二重にかかります。目安としては、想定した回数の倍を上限として示しておくと、追加の申請を避けられます。

段階を分けて示す方法もあります。まず2本のキャンペーンで試す期間の費用を示し、全12本へ広げる場合の費用を別に示す形です。承認する側は最初の段階だけを判断すれば済みます。段階を分けるのは金額を小さく見せる工夫ではありません。判断の単位を合わせる工夫です。

項目③既存の契約に含まれる範囲

3つ目の確認項目は、いま契約している内容にどこまで含まれるかです。

Salesforceの製品構成は契約の時期によって変わります。何年か前に契約したままの企業では、当時の契約書と現在の製品名が一致しない場合もあるでしょう。何が含まれ、何が追加になるのかを販売元へ確認する工程が必要になります。この確認は、担当営業へ連絡すれば済む作業ですが、社内で誰が窓口かを決めていないと着手されないまま残ります。

確認する順番としては、使いたい工程を先に決めてから尋ねるほうが早く済みます。「Agentforce for Marketingは使えますか」という聞き方では、返ってくる回答も一般論になります。工程③の初稿作成を対象にしたいと伝えれば、必要な範囲と費用の目安がその場で示されます。加えて、年間のキャンペーン本数を添えると、回数の見積もりまで含めた回答が得られます。

3つの確認項目を押さえてから問い合わせると、回答の精度が上がります。

費用は定額で決まりません。会話という課金単位・想定する回数・既存契約に含まれる範囲という3つの掛け算で決まります。

Agentforce for Marketingの導入でつまずく3つの落とし穴

前提と費用の確認を終えても、進め方を誤ると使われないまま止まります。マーケティングは成果が出るまでに時間がかかる領域であり、途中で評価が下がりやすいという性質もあるでしょう。3つは連鎖します。初稿をそのまま送って評価を落とし、対象を広げて原因を追えなくなり、営業側と切り離して測るため投資の説明が続かなくなります。どれも設定の難しさから生じるものではありません。ここでは、繰り返し起きる3つの落とし穴を解説していきます。

落とし穴①初稿をそのまま配信してしまう

1つ目は、出てきた初稿に手を入れずに配信してしまうことです。

工程③で触れたとおり、返ってくるのは初稿です。読める文章になっているため、そのまま送れそうに見えます。ところが、業界の慣行や取引先との関係を踏まえた表現の調整が抜けたまま届きます。

読める文章が返ってくることは、内容が正しいことを意味しません。空調フィルターメーカーの場合、設備商社を経由する販路では価格に触れない運用がありました。この基準がガイドラインに書かれていない状態で初稿を作らせると、価格に触れる文面が出てきます。そのまま配信すれば、商社との関係に影響するでしょう。初稿は読みやすい日本語で返ってくるため、内容の誤りに気づきにくいという性質もあります。誤字を探す読み方と、基準に沿っているかを見る読み方は別の作業です。

一度そうした配信が起きると、機能への評価が下がります。直せば済む誤りでも、最初の1回が印象として残るものです。 確認の工程を最初から設計に組み込んでおく必要があります。

落とし穴②全キャンペーンを一度に任せる

2つ目は、年間のキャンペーン全部を対象にして始めることです。

一見すると効率的に見えます。どうせやるなら全部でという発想です。ところが、キャンペーンごとに目的も対象も違うため、うまくいかなかったときに原因を切り分けられません。ガイドラインの問題なのか、データの問題なのか、対象の選び方の問題なのかが判別できなくなります。

対象が増えるほど、確認する側の負担も同じ倍率で増えます。このメーカーも、当初は12本すべてを対象にする計画でした。方針を変えたのは、2名でその全部の初稿を確認する時間が取れないと分かった時点です。最終的に対象にしたのは2本でした。2本で型ができれば、3本目以降の立ち上げは短く済みます。最初の1本に時間をかけることは、全体の期間を縮める判断でもあります。一度に終わらせようとする計画は、途中で止まったときに何も残りません。

一度で終わらせる計画より、2本から始めて広げる計画のほうが、結果として早く到達します。

落とし穴③営業側の成果と切り離して測る

3つ目は、マーケ側の数字だけで効果を判断することです。

初稿の作成が速くなった、配信の本数が増えたという数字は出しやすい指標です。しかし状況②で挙げたとおり、稟議で問われるのは営業側の成果とのつながりになります。切り離して測ると、投資の説明が続かなくなります。

マーケ側の指標だけで報告を組み立てると、次の投資を求める段階で説明が止まります。このメーカーが記録していた月およそ40件の引き渡しと月およそ9件の商談化は、両方を並べて初めて意味を持つ数字でした。引き渡しが50件に増えても、商談が9件のままなら評価は変わりません。むしろ営業側の確認の手間が増えるため、部門間の関係が悪くなる可能性すらあります。

どの業務から任せるかを決める考え方は、ほか記事「Agentforceのユースケースの選び方は?どの業務から始めるかを決める5つの判断軸」で解説しています。

つまずく順番は決まっています。初稿をそのまま送り、対象を広げすぎ、営業側の成果と切り離して測るという3つです。

Agentforce for Marketingを使い始める4ステップ

落とし穴を踏まえると、進め方は自然に決まります。空調フィルターメーカーが最初の10週間で踏んだのは、次の4つのステップでした。工程の順番に沿ってはいません。意思決定の順番として並べています。順番を入れ替えると、どこかで手戻りが発生するでしょう。とくにステップ②を後ろへ回すと、基準のないまま初稿を作らせることになり、落とし穴①へ直行します。4つとも、機能の設定より先に決めることばかりです。ここでは、その4ステップを順に解説していきます。

ステップ①任せる工程を1つ選ぶ

最初にするのは、4つの工程のうち1つに絞ることです。

このメーカーが選んだのは、工程③の初稿作成でした。1本あたり3週間のうち、文面を書き起こす作業が最も時間を取っていたためです。工程②のセグメント作成は、配信リストとSales Cloudのデータが紐づいていない状態だったため、後の段階へ回しています。

4つの工程のうちどれを選ぶかは、いま最も時間を取られている作業から決めます。絞る理由は、評価の対象を単純にするためです。複数の工程を同時に任せると、時間が短くならなかったときにどの工程が原因かを追えません。1つであれば、そのまま検証の対象になります。残した工程は捨てたわけではありません。順番を後ろにしただけです。最初の1つで運用の型ができれば、次の工程は短い期間で立ち上げられます。

小さく始める(スモールスタート)進め方には、確認する担当の負担が読めるという利点もあります。読めない負担を抱えたまま始めると、続けるかどうかの判断もできません。

ステップ②ブランドのガイドラインを言語化する

2つ目は、担当者の頭の中にある基準を文書にする工程です。

工程①がこの作業にあたり、仕組みの側にも同じ工程が用意されています。空調フィルターメーカーの場合、販路によって使ってよい表現が違うという運用が、初めて文書になりました。設備商社を経由する場合は価格に触れない、直販の場合は触れてよい、という区別です。

頭の中にある基準は、本人が意識していないぶん書き出しにくいという性質があります。この作業は、Agentforce for Marketingを入れるかどうかに関係なく価値があります。担当者2名のうち1名が異動すれば、基準は失われるためです。文書にしておけば、引き継ぎの材料にもなります。書き出す方法としては、過去の配信を数本並べて、直した箇所とその理由を書き添えるのが早く済みます。

言語化の範囲は、最初に扱う2本のキャンペーンで使う基準だけで足ります。全社の表現規定を作る取り組みにすると、着手までの期間が読めなくなります。2本分で作った形式は、3本目以降にそのまま使えます。

ステップ③対象のキャンペーンを絞って試す

3つ目は、実際に動かす段階です。

このメーカーは、年間12本のうち2本を対象に10週間試しました。2本は、定期的に配信している既存顧客向けの案内と、展示会の後のフォローです。どちらも毎年同じ形で実施しており、比較する対象が過去にありました。

対象を選ぶときは、過去の記録が残っているかどうかも条件に入れます。比較できる前回の記録があるかどうかも、選定の条件に入れます。初めて実施するキャンペーンを対象にすると、速くなったのかどうかを判断する基準がありません。過去に同じ形で実施したものであれば、前回の所要時間と並べられます。前回の記録が残っていない場合は、着手の前に1本だけ現行のやり方で実施して測っておくという方法もあります。

期間を10週間と区切ったのは、2本のキャンペーンを一巡させるのに必要な長さだったためです。終わりを決めておかないと、試している状態のまま評価の場が来ません。区切りと同時に、期間の終わりに何を見て判断するかも決めておきます。

ステップ④確認の担当と基準を決める

最後は、出てきた初稿を誰がどう確認するかを決める工程です。

落とし穴①で挙げた問題は、この工程で防ぎます。空調フィルターメーカーでは、マーケティング担当2名のうち1名が一次確認を行い、販路に関わる表現については営業部門の課長が確認する二段構えにしました。確認の観点を分けたことで、1人あたりの負担は増えていません。

誰が確認するかを決めても、何を見るかが決まっていなければ精度は上がりません。確認の基準も文書にします。何を見るのかが決まっていないと、確認は「なんとなく読む」作業になります。価格に触れていないか、対象の販路と表現が合っているかという具体的な観点まで落とすことが必要です。観点は3つ程度に絞ると、確認の作業が短時間で終わります。

以上が、Agentforce for Marketingを使い始める4ステップでした。

進め方は、任せる工程を1つ選ぶ・基準を言語化する・対象を絞って試す・確認の担当と基準を決めるという4ステップに整理できます。

Agentforce for Marketingが効いてくる3つの業務

進め方を示しましたが、どのキャンペーンに当てるかで結果は変わります。効いてくるのは、同じ形を繰り返している業務です。繰り返しがあるほど、基準を1度作った効果が積み上がります。空調フィルターメーカーで変化があったのも、毎年同じ形で実施していた業務でした。3つに共通するのは、過去に同じ形で実施した記録が残っているという点です。記録があると、基準を作る作業も効果の検証も短く済みます。ここでは、その3つを解説していきます。

業務①定期的に配信しているメール

1つ目は、決まった間隔で送っている案内です。

このメーカーには、既存顧客向けに隔月で送っている製品情報の案内がありました。構成は毎回ほぼ同じで、扱う製品と時期の話題だけが変わります。この型がすでにあることが、初稿を任せやすい条件になっていました。

隔月や四半期ごとといった間隔で送っている案内は、構成が固定されている場合が多くなります。型があると、ガイドラインも書きやすくなります。過去の配信をそのまま基準として渡せるためです。ゼロから表現の規定を作る作業に比べると、負担がまったく違います。加えて、読み手の側にも見慣れた形式であるという利点があります。形式が急に変わると、内容の前に違和感が先に立つためです。

繰り返しの回数は、そのまま効果の大きさに変わります。隔月であれば年6回、その都度の初稿作成が短くなります。回数を先に数えておくと、稟議で示す効果の根拠にもなります。基準を作る手間は1回で済み、以降はその資産を使い続ける形です。

業務②展示会の後のフォロー

2つ目は、展示会で名刺交換した相手への案内です。

この業務には期限があります。展示会から時間が空くほど反応は落ちるため、速く送ることに価値があります。企画から配信まで3週間かかる体制では、間に合わない場面が出ていました。

展示会の直後は、担当者が対応に追われる時期でもあります。初稿の作成が短くなると、この期限に対応しやすくなります。空調フィルターメーカーでは、対象にした2本のうち1本がこの展示会フォローでした。速さが効く業務を意図的に選んでいます。効果が数字として見えやすい業務を最初に置くと、社内での説明もしやすくなります。

ただし、展示会のフォローは営業への引き渡しと直結します。反応があった相手をどう扱うかは、次章の設計に関わる論点です。名刺交換した相手をすべて営業へ渡す運用のままでは、速く送れるようになったぶんだけ営業側の確認が増えます。速さと引き渡しの条件は、あわせて設計する必要があります。

業務③既存顧客への案内

3つ目は、すでに取引のある顧客への案内です。

新規の獲得と違い、既存顧客への案内は相手の情報が社内に揃っています。どの製品を導入しているか、いつ設置したか、保守の履歴はどうかといった情報がSales Cloud側にあります。セグメントを組む材料が最初から存在する状態です。

材料があると、工程②の送り分けが現実的になります。設置から一定の年数が経った顧客だけに更新の案内を送る、といった分け方ができます。約8,000件の全件配信から一歩進んだ運用です。しかもこの分け方は、営業が普段使っている判断と同じ軸になります。両部門で話が通じる条件から始めると、後の引き渡しの設計にもつながります。

業務単位でAIに何を任せるかの考え方は、ほか記事「Agentforce活用事例7選|成果が出た営業組織に共通する3つの特徴」でも整理しています。扱う情報の種類が変わっても、どの業務から始めるかという問いは同じです。選ぶ順番としては、材料が揃っている業務から着手すると失敗が減ります。

効いてくるのは同じ形を繰り返している業務で、定期配信・展示会フォロー・既存顧客への案内の3つが典型です。

マーケが作ったリードを営業へ引き渡す3つの設計

ここまではマーケティング側の話でした。しかし領域③で触れたとおり、投資の説明が成立するかは営業側の成果とつながるかで決まります。空調フィルターメーカーの月およそ40件の引き渡しと月およそ9件の商談化という数字も、この接続の設計が定まっていなかったことの表れでした。設計といっても、決めるのは条件と情報と戻し方の3点だけです。スコアリングの仕組みを作る話ではありません。ここでは、引き渡しを設計する3つの観点を解説していきます。

設計①引き渡す条件を先に決める

1つ目は、どういう状態になったら営業へ渡すのかを先に決めることです。

条件が決まっていないと、マーケ側は反応のあった相手をすべて渡します。営業側は届いた40件を順に確認し、多くを見送ります。双方の作業が増えるだけで、商談の数は変わりません。

条件がないまま渡すと、営業側は届いた順に確認する作業を抱えます。条件を決める作業は、マーケだけでは完了しません。営業側が「この状態なら会いに行く」と言える基準を出す必要があります。空調フィルターメーカーでは、営業30名のうち課長3名とマーケティング担当2名で、過去に商談になった9件と、ならなかった31件の違いを並べる会議を持ちました。並べてみると、設備の更新時期が近いかどうかで大半が説明できると分かっています。条件が1つに絞れたことで、セグメントの組み方も決まりました。

引き渡しの条件は、マーケが決めて営業に伝えるものではありません。両者で1つ決めるものです。

設計②引き渡す時点で渡す情報を揃える

2つ目は、渡すときに何を添えるかを決めることです。

名前と連絡先だけを渡されても、営業は最初から状況を聞き直すことになります。どのキャンペーンに反応したのか、どの製品の案内だったのか、過去に取引があるのかといった情報が添えられていれば、最初の接触の質が変わります。

最初の接触で聞き直す質問が多いほど、相手の関心は下がります。Agentforce for Marketing側でセグメントを組んで配信していれば、その情報は残っています。問題は、渡す形式が決まっていないことです。このメーカーでは、引き渡しの際に「反応したキャンペーン名」「対象の製品」「過去の取引の有無」の3項目を添える形に決めました。

項目を3つに絞ったのは、増やすと運用が続かないためです。営業側が実際に使う項目だけを残しています。項目を決めるときは、営業に「最初の電話で何を知っていたいか」を聞くのが早く済みます。マーケ側が渡したい情報と、営業が使う情報は一致しないことがあるためです。

設計③引き渡した後の結果を戻す

3つ目は、渡した後どうなったかをマーケ側へ返すことです。

これが最も抜けやすい設計です。渡した時点で流れが切れると、マーケ側は40件という数字しか持てません。31件が商談にならなかった理由が分からないため、次のキャンペーンも同じ精度で終わります。

結果を戻す仕組みがあれば、条件の見直しができます。見送った理由が「時期が合わない」なのか「対象の設備を持っていない」なのかで、直す場所が変わります。前者であればセグメントの条件は正しく、後者であればデータの持ち方から見直すことになります。戻す形式は、営業が案件を閉じるときに理由を1つ選ぶ程度で足ります。自由記述にすると入力されなくなるためです。

営業とマーケが同じ数字を見る形へ収益プロセスを一本化する考え方は、ほか記事「RevOps(レベニューオペレーション)とは?The Modelの分断を解消する組織設計」で扱っています。本記事では、引き渡しの3点に絞りました。

営業への引き渡しは、渡す条件・渡す情報・戻す結果の3点を両部門で決めて初めて、マーケの投資が営業の数字とつながります。

この接続の設計は、ツールの設定だけでは決まりません。どの業務から任せ、どこで人が判断し、営業へどう渡すかを業務設計から一緒に整理し、定着まで伴走してほしい場合は、Agentforce導入・定着支援サービスにご相談ください。1ユースケース×3ヶ月のスモールスタートから対応しています。

Agentforce for Marketingの効果を測る3つの指標

引き渡しの設計まで決めたら、測る対象も決まります。落とし穴③で触れたとおり、マーケ側の数字だけでは投資の説明が続きません。見る指標は、初稿の時間・配信までの日数・引き渡したリードの商談化という3段階になります。3つを並べて初めて、どこで止まっているかが分かります。初稿が速くなったのに配信が遅いなら確認の体制に、配信が速くなったのに商談が増えないなら引き渡しの条件に原因があるはずです。ここでは、順に解説していきます。

指標①初稿にかかる時間

最初に見るのは、初稿を作るまでにかかった時間です。

任せた工程に直接対応する指標であり、変化が最も早く出ます。空調フィルターメーカーでは、企画から配信までの3週間のうち、初稿の作成にあたる部分を分けて記録していました。着手の前に現状を数えておいたことが、後の比較で効いています。

任せた工程がそのまま指標になるため、因果の説明もしやすくなります。数え方も揃える必要があります。文面を書き始めてから確認に回すまでを測るのか、確認と修正まで含めるのかで数字が変わるためです。このメーカーは、確認に回すまでを1つの区切りとしました。区切りを決めておくと、担当者が代わっても同じ基準で測り続けられます。記録する場所も決めておかないと、測ったこと自体が残りません。測り方が変わると、前後の比較が成立しなくなります。

10週間の試験運用を経て、企画から配信までの期間は3週間から2週間になっています。短縮の内訳を分けて見ると、削れたのは文面を書き起こす工程でした。人の目を通す時間は減らしていません。内訳まで示せると、次にどの工程へ広げるかの判断材料にもなります。

指標②配信までの日数

次に見るのは、企画を決めてから実際に配信するまでの日数です。

指標①が短くなっても、確認の工程で滞れば全体の日数は変わりません。両方を並べて見ることで、どこで時間がかかっているかが分かります。初稿が速くなったのに配信が遅いままなら、原因は確認の体制にあります。

全体の日数は、作る時間と待つ時間の合計で決まります。このメーカーの場合、確認を二段構えにしたぶん、当初は確認の待ち時間が増えていました。営業部門の課長が確認する順番を決めていなかったためです。週の決まった曜日に確認する運用にしたことで、待ち時間は短くなっています。確認の質を上げる工夫より、確認が回ってくる時期を固定する工夫のほうが、日数には効きました。待ち時間は、作業の質とは別の要因で生まれるためです。

測る対象を2つに分けておくと、直す場所が特定できます。 分けずに全体の日数だけを見ていると、機能が効いていないという結論に流れがちです。実際には確認の体制が原因であっても、機能の評価として跳ね返ります。

指標③引き渡したリードの商談化

拡大期に見るのは、営業へ引き渡したリードのうち商談になった割合です。

前章の設計③で触れた、結果を戻す仕組みがあって初めて測れる指標になります。月およそ40件のうち月およそ9件という数字を出発点に、条件を見直した後でどう動いたかを追います。

件数が増えたかどうかだけを見ると、判断を誤ります。引き渡しの条件を厳しくすれば件数は減りますが、商談になる割合は上がるためです。両方を並べて、営業側の負担と成果のバランスで判断します。どちらを優先するかは、営業の手が空いているかどうかで変わります。人数に余裕があれば件数を、埋まっていれば割合を優先する形になります。

効果の示し方をより深く扱う考え方は、ほか記事「Agentforce ROIの示し方|総コストの内訳と稟議で通す効果の測り方」で解説しています。

測る指標は初稿の時間・配信までの日数・引き渡したリードの商談化の3段階で、最後の1つがあって初めて投資の説明が成立します。

Agentforce for Marketingが向いている企業の3つの特徴

ここまで進め方と測り方を解説してきましたが、どの企業でも同じ効果が出るわけではありません。前提の整い方によっては、着手の順番を変えたほうがよい場合もあります。判断の材料になるのは、繰り返しがあるか、基準が文書になっているか、営業と同じ数字を見ているかの3点です。3つとも、見積もりを取る前に自社の側だけで確認できる項目です。キャンペーンの本数を数え、基準の文書を探し、営業との会議の有無を確かめれば見当がつきます。ここでは、効果が出やすい企業の特徴を整理していきます。

特徴①同じ形のキャンペーンを繰り返している

1つ目の特徴は、決まった型のキャンペーンが年間に何本もあることです。

繰り返しの回数は、基準を作る手間を回収できるかどうかを決めます。型があると、ガイドラインを作る作業は過去の配信の整理で済むはずです。ゼロから表現の規定を作る場合と比べて、着手までの時間が大きく違います。加えて、比較の対象が過去にあるため、効果の検証もしやすくなります。

空調フィルターメーカーの年間12本のうち、隔月の定期配信と展示会フォローは毎年同じ形でした。この2本を最初の対象に選べたことが、10週間で結論を出せた要因になっています。

逆に、毎回まったく違う企画を立てている組織では、型を作る作業から始めることになります。それ自体は価値のある取り組みですが、着手までの期間は長くなるでしょう。数え方としては、過去2年の実施内容を並べて、構成が同じものをまとめるのが分かりやすい方法です。まとまりが3つ以下に収まれば、型があると判断できます。

特徴②ブランドの基準が文書になっている

2つ目の特徴は、使ってよい表現の基準が形になっていることです。

工程①で基準を作れるとはいえ、まったく何もない状態から作るのと、断片的にでも文書がある状態から整えるのでは負担が違います。過去の配信、営業資料、社内の申し合わせといった材料があれば、それを出発点にできます。

断片的な材料しかなくても、そこから整える形であれば着手できます。完全に整っている必要はありません。最初に扱う1本のキャンペーンで使う基準について合意が取れていれば着手できます。空調フィルターメーカーも、全社の表現規定を作ったわけではありません。販路による価格表記の区別という1点を明文化しただけです。

確かめる方法としては、担当者2名に同じ文面を見せて、直すべき箇所を挙げてもらうことです。挙がる箇所が食い違えば、その項目は基準が揃っていません。食い違った項目こそ、最初に文書化すべき対象になります。全部を書き出そうとすると終わらないため、この方法で優先順位を付けるほうが早く進みます。

特徴③営業とマーケが同じ数字を見ている

3つ目の特徴は、両部門が共通の数字を持っていることです。

状況②の裏返しにあたります。マーケが引き渡し件数を、営業が商談数を、それぞれ別に見ている状態では、投資の説明が続きません。同じ数字を見ていれば、条件の見直しも一緒に進みます。

同じ数字を見ているかどうかは、会議の議題を見れば分かります。この特徴は、着手の前から揃っている企業のほうが少ないでしょう。空調フィルターメーカーも、40件と9件を並べる会議を持ったのは検討を始めてからでした。ただし、その会議を招集できる関係が両部門にあるかどうかが分かれ目になります。両部門が同じ場に着けない状態であれば、機能の検討より先に、その関係を整える必要があります。同じ数字を見る会議を1つ作ることが、実質的な着手になります。

効果を左右するのは製品の性能より、繰り返しの型・文書化された基準・共通の数字という3つが揃っているかどうかです。

効果が出るのは、同じ形のキャンペーンを繰り返し、基準が文書にでき、営業と同じ数字を見ている企業です。

Agentforce for Marketingを急がなくてよい3つのケース

向いている特徴を挙げましたが、当てはまらない場合に無理に進める必要はありません。先に整えるべきことがある状態で着手すると、効果が出ないまま評価だけが下がります。一度そうなると、条件が整った後で再び提案するときの障害になります。急がない判断は、諦める判断とは違います。着手の時期をずらし、その間に前提を整えるという選び方です。3つのケースはいずれも、整え直せば着手できる状態にあります。ここでは、着手を急がなくてよい3つのケースを解説していきます。

ケース①キャンペーンの本数が少ない

1つ目は、そもそも繰り返しの回数が少ないケースです。

年間に数本しか実施していない組織では、ガイドラインを整える手間に対して適用される回数が足りません。基準を言語化する作業には相応の時間がかかるため、回収の見込みが立たないためです。

本数が少ない状態で無理に導入すると、費用だけが固定費として残ります。判断の目安としては、同じ型のキャンペーンが年間で何本あるかを数えることです。型ごとに数えて、最も多い型が年6回以上あるかどうかが1つの線になります。空調フィルターメーカーの隔月配信はこの条件を満たしていました。年6回という線に絶対の根拠があるわけではありませんが、基準を作る手間が1回で済み、その後6回使えるという比率で考えると判断しやすくなります。

本数が増える見込みがあるなら、その時期に合わせて検討すれば足ります。新しい製品群の投入や販路の追加が決まっていれば、本数は自然に増えるでしょう。その時点で改めて数え直せば、判断はやり直せます。

ケース②配信先のデータが整っていない

2つ目は、届ける相手の情報が使える状態にないケースです。

前提②の裏返しです。メールアドレスしか持っていない状態では、工程②の送り分けは成立しません。全件配信を続けるなら、初稿作成だけを任せる形になり、得られる効果は限られます。

メールアドレスしか持っていない状態は、珍しいものではありません。まずデータを整える作業が先になります。この作業は、Agentforce for Marketingを入れるかどうかに関係なく必要です。順番を入れ替えると、データの不備という別の原因が、機能の評価として跳ね返ります。整えるといっても、全項目を埋める必要はありません。分けたい条件に使う1項目から始めれば、送り分けは成立します。

整える範囲は、最初に扱うキャンペーンで使う項目だけで構いません。全社のデータ統合を目指すと、着手までの期間が読めなくなります。1項目を埋める作業から始めれば、次の項目にも同じ手順が使えます。

ケース③引き渡しの条件が決まっていない

3つ目は、営業への引き渡しの条件が決まっていないケースです。

前章で扱った設計①がこれにあたります。条件がないまま配信の量だけを増やせば、営業へ届く件数が増え、見送られる件数も増えるでしょう。両部門の作業が増えて成果が変わらない状態になり、機能への評価が下がります。

配信の精度を上げる前に、渡した先の受け取り方を決める必要があります。先に決めるべきなのは、どういう状態になったら営業が動くのかという1点です。この1文が書けない段階であれば、配信を増やすより、営業側と条件をすり合わせる会議を持つほうが早く進みます。会議は1回で十分です。過去の実績を並べて、商談になったものとならなかったものの違いを挙げるだけで、条件の候補は出てきます。

待つ判断も、進める判断と同じくらい具体的な理由にもとづいて選びます。

本数が少ない・データが整っていない・引き渡しの条件が決まっていないという3つのケースでは、着手を急がず前提を整えるほうが結果的に早く進みます。

【一問一答】Agentforce for Marketingに関するよくある質問

ここまで、担う役割から工程、任せない領域、営業への引き渡しまでを解説してきました。実際に検討を始めると、費用や名称、対応状況など、判断の手前で確認しておきたい点が出てきます。稟議を書く場面で問われやすい内容です。以下の回答は、2026年8月時点で確認できた情報にもとづいています。提供条件は変わるため、契約の前に販売元へ最新の内容を確かめてください。とくに費用とエディションの条件は、稟議の金額に直接効いてくる項目です。最後に、よく寄せられる質問に答えていきます。

質問①Agentforce for Marketingの費用はどう決まるのか

会話の単位で決まります。報道によると、Campaign Creationは1つの会話につき240円からとされています(2025年3月26日掲載)。機能ごとの定額ではないため、想定する使い方によって総額が変わります。対象にするキャンペーンの本数と、1本あたりのやり取りの回数を先に見積もってから、販売元へ確認する順番になります。

質問②Agentforce for MarketingとAgentforce Marketingは同じか

同じ対象を指すとは限りません。「Agentforce for Marketing」は2025年3月に日本で提供が始まったマーケティング部門向けAIエージェントで、Campaign Creationなどの機能を持ちます。一方「Agentforce Marketing」はSalesforceの製品名の変更に関連して使われている呼び方です。社内の資料では、どちらの表記を使うかを先に決めておくと混乱が減ります。

質問③Agentforce for Marketingはどのエディションで使えるのか

Campaign Creationについては、Marketing Cloud Growth Edition または Marketing Cloud Advanced Edition で利用できると報じられています(2025年3月26日掲載)。標準のエディションのままでは対象にならない可能性があります。条件は変わるため、契約の前に現在の契約範囲を販売元へ確かめてください。

質問④Agentforce for Marketingは日本語で使えるのか

日本市場で提供が始まっており、日本語での利用が前提になっています。ただし、出力される文面がそのまま使える品質かどうかは別の問題です。業界の慣行や取引先との関係を踏まえた表現の調整は人が行う前提で設計してください。試験運用のなかで、どの程度の修正が必要かを確かめる工程を組み込む必要があります。

質問⑤Agentforce for Marketingは営業側の機能と連携するのか

同じSalesforceの基盤の上で動くため、営業側のデータを参照する設計は取れます。ただし、マーケが集めたリードを営業がどう扱うかは、機能の側では決まりません。運用の設計で決まります。引き渡す条件・添える情報・結果を戻す仕組みの3点を両部門で決めておかないと、連携できても成果にはつながりません。

Agentforce for Marketingは初稿までを任せ商談化の判断は人に残す

Agentforce for Marketingとは、Agentforceのマーケティング部門向けAIエージェントです。本記事では、判断が止まる状況から、担う3つの役割、Campaign Creationの4工程、任せない3つの領域、着手前の前提と費用、つまずく落とし穴、進め方の4ステップ、営業への引き渡しの設計、測る指標までを一連の流れとして解説してきました。

本記事で例として挙げた空調フィルターメーカーの場合も、変わったのは任せる範囲の決め方でした。従業員560名・営業30名・マーケティング担当2名で、Sales Cloudを5年、Marketing Cloudを2年使っています。年間12本のキャンペーンを2名で回し、1本あたり3週間かかっていました。12本すべてを対象にする計画では確認の時間が取れず、初稿作成という1工程・2本のキャンペーンに絞って10週間試したことで、3週間が2週間になっています。

機能の比較から始めても、任せる範囲は決まりません。自社のキャンペーンのうち、同じ形を繰り返しているものが何本あるかを数えるところから始めてみてはいかがでしょうか。