【2026年9月時点】Claudeforceとは?Agentforceとの使い分けと導入判断

読了時間 8

Claudeforceとは、SalesforceとAnthropicが2026年8月に発表した提携の名称で、Claudeの推論とSalesforceのデータや業務のルールを組み合わせて使えるようにする取り組みのことです。発表を見て、Claudeの画面からSalesforceを扱えるようになると知った担当者も多いでしょう。それならAgentforceに予算を置く理由は残るのかと、考えた方もいるのではないでしょうか。

結論からいえば、Claudeforceは、問いに答える作業をClaudeに、ルールに沿った実行をSalesforceに任せる提携です。そのため、Salesforce in ClaudeとAgentforceは、どちらか一方を選ぶ関係にはなりません。担当者が頼んだときに動かすのか、業務として決まった形で流すのかで使い分けることになります。

そこで本記事では、Claudeforceで使えるようになることと、Salesforce in Claudeの利用条件を整理します。そのうえで、Agentforceとの使い分けと試す前に決めておくルールまでを、業務用厨房機器の卸売会社の例を交えて解説します。従業員220名、営業26名、営業企画2名、情報システム2名という体制で、Sales Cloudを5年運用してきた企業です。この企業は説明のための架空の設定であり、実在の企業ではありません。

なお、Salesforce in Claudeは提供の段階が動いている最中にあるため、本記事は2026年9月時点で確認できた公式情報にもとづいています。

目次
  1. ClaudeforceでSalesforceは何が変わる?4つの柱
    1. 柱①ClaudeからSalesforceを使う
    2. 柱②Salesforceの中でClaudeを推論に使う
    3. 柱③SlackのAIの既定モデルをClaudeにする
    4. 柱④両社が互いの製品を社内で使う
  2. Salesforce in Claudeでできる4つのこと
    1. こと①商談準備の情報をまとめる
    2. こと②案件の健全性を点検する
    3. こと③パイプラインの更新を自動で進める
    4. こと④担当アカウントの画面を組み立てる
  3. 【2026年9月時点】Salesforce in Claudeの3条件
    1. 条件①Claudeの有料プランを契約していること
    2. 条件②Salesforceのベータ申込みで承認されること
    3. 条件③管理者が組織を一度接続すること
  4. AgentforceでのClaude|3つの使われ方
    1. 使われ方①アトラス推論エンジンの推論に使う
    2. 使われ方②Coworkerなどの既定になる
    3. 使われ方③Agent Builderで選んで使う
  5. SlackでClaudeが既定のモデルになる3つの場所
    1. 場所①Slackbotで個人の仕事を進める
    2. 場所②Claude Tagでチームの判断を支える
    3. 場所③Slack AIで既定のモデルになる
  6. ClaudeかAgentforceか、どちらで組む?使い分け3軸
    1. 軸①担当者の問いに答えるか業務を回すか
    2. 軸②どの画面から始めるか
    3. 軸③人が頼んだときだけ動くか
  7. 何を任せる?Salesforce in Claudeで試す場面3選
    1. 場面①訪問の前に担当案件の状況を聞く
    2. 場面②週次のパイプラインレビューを準備する
    3. 場面③商談のあとに次の行動を記録する
  8. Claudeforceの導入前に情シスが決める3つのルール
    1. ルール①Claudeから書き込んでよい項目
    2. ルール②最初に使う営業チームの範囲
    3. ルール③ほかのコネクタから読ませる情報
  9. Claudeforceでよくある3つの誤解
    1. 誤解①Claudeで足りれば自社で組む仕組みは不要
    2. 誤解②Claudeからならルールを通さずに更新できる
    3. 誤解③誰でもすぐにベータを使える
  10. Claudeforceのベータを見送ってよい3つの状況
    1. 状況①Salesforceの商談データが整っていない
    2. 状況②社内で生成AIの利用ルールが決まっていない
    3. 状況③Claudeを業務でまだ使っていない
  11. 3ステップ|Salesforce in Claudeを試し始める
    1. ステップ①ベータの申込みと承認を確かめる
    2. ステップ②管理者が組織の接続を済ませる
    3. ステップ③1つの営業チームで1つの場面を試す
  12. 【一問一答】Claudeforceに関するよくある質問
  13. Claudeforceは、考えるのをClaudeに、実行をSalesforceに任せる提携
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本田正憲

合同会社クロスコムの代表|専門商社にて7年間のBtoB営業を経て、マーケティング業界に参入。現在はSalesforce公式コンサルティングパートナーとして、ソリューション営業の業務プロセスに特化したAgentforce導入・定着支援と、Agentic CRM設計支援を提供している。Salesforce認定アドミニストレーター・Sales Cloudコンサルタント・Marketing Cloud Account Engagement スペシャリスト。

ClaudeforceでSalesforceは何が変わる?4つの柱

Claudeforceという名前を聞くと、新しい製品が1つ増えたように受け取られがちですが、発表の中身は4つの柱に分かれた提携です。業務用厨房機器の卸売会社でも、発表を見た役員から「ClaudeでSalesforceが動くなら、Agentforceは要らないのか」と聞かれました。柱ごとに使う画面も担う役割も違い、ひとまとめに理解したままでは投資の判断を誤るため、営業企画の担当者は4つの柱を分けて説明するところから始めています。そこでここでは、Claudeforceを構成する4つの柱を解説します。

柱①ClaudeからSalesforceを使う

1つ目の柱は「ClaudeからSalesforceを使う」ことで、この柱に当たるのがSalesforce in Claudeです。37種類の事前に構築された営業スキルが搭載されたプラグインとして提供され、営業担当者はClaudeの画面から自社のSalesforceのデータを扱えるようになります。※参考記事はこちら

この柱が注目を集めたのは、普段Claudeを使っている担当者にとって、Salesforceの画面を開かずに済む使い方が加わるからです。CRMのデータをAIが読んで使う点では、AIが読むCRMとして整理されてきた考え方とも重なります。

業務用厨房機器の卸売会社では、営業企画の担当者が週次のパイプラインレビューの準備に毎週6時間を使っており、その多くが商談の状況を一覧にまとめる作業でした。そこで営業企画は、発表を受けて「週次レビューの準備を短くし、Agentforceとどちらに予算を置くかを決めること」を目的に置きました。

柱②Salesforceの中でClaudeを推論に使う

2つ目の柱は「Salesforceの中でClaudeを推論に使う」ことです。発表文では、ClaudeがAgentforceにおいてアトラス推論エンジンの推論モデルとして機能し、Agentforce VibesとAgentforce Coworkerではデフォルトで採用され、Agent Builderでも利用できると説明されています。※参考記事はこちら

1つ目の柱がClaudeの画面から始まるのに対し、2つ目の柱はSalesforceの画面の中で完結します。利用者がClaudeを開くのではなく、Agentforceで組んだ仕組みの内側で、考える処理をClaudeが受け持つ形です。

この違いを営業企画の担当者が役員へ説明したところ、「同じClaudeなのに、使う場所が2つあるのか」という反応が返ってきました。そこで卸売会社では、Claudeの画面で使う話と、Agentforceの内側で使われる話を、社内の資料でも別の段落に分けて書くことにしています。

Claudeforceでは、ClaudeがSalesforceの外で使う道具と、Agentforceの推論役を兼ねます。

柱③SlackのAIの既定モデルをClaudeにする

3つ目の柱は「SlackのAIの既定モデルをClaudeにする」ことです。発表文には、Claudeが、Slack AI、Slackbot、Salesforce in Claude、Headless 360、Agentforce Coworkerのデフォルトモデルであると記載されています。※参考記事はこちら

この柱が営業の現場に関わるのは、日々の連絡をSlackで行っている企業ほど、意識しないうちにClaudeの処理を使う場面が増えるからです。

業務用厨房機器の卸売会社でも、営業の連絡はSlackに集まっていました。情報システムの担当者は、Slackで使うAIの既定がClaudeになると聞いて、社内の生成AIの利用ルールがSlackの中の機能まで対象にしているかを確かめています。

柱④両社が互いの製品を社内で使う

4つ目の柱は「両社が互いの製品を社内で使う」ことです。発表文によると、SalesforceはAnthropicが選んだCRMです。Salesforceの側ではエンジニアリング組織全体でClaude Codeが利用されており、Claude CodeとClaude Enterpriseをすべての開発者およびナレッジワーカーに提供する予定とされています。※参考記事はこちら

この柱は利用者が直接触れる機能にはあたりませんが、業務用厨房機器の卸売会社の役員会では、この柱を根拠に「両社の関係が続くかどうか」を判断材料に入れる意見も出ました。ただし、営業企画の担当者は、社内で使うことと自社に合うことは別の問題だとして、判断の材料からは外しています。

このように、4つの柱のうち自社の判断に直結するのは、Claudeの画面から使う柱①と、Agentforceの中で使われる柱②の2つです。以降の章では、この2つを中心に、使える条件と使い分けを見ていきます。

Salesforce in Claudeでできる4つのこと

ここまで、Claudeforceを構成する4つの柱を整理してきました。なかでも営業担当者の日々の仕事に最も近いのは、Claudeの画面からSalesforceを使う柱①、つまりSalesforce in Claudeです。業務用厨房機器の卸売会社の営業企画も、役員への説明の次に、Claudeの画面で具体的に何ができるのかを営業の業務に当てはめて確かめました。発表文に挙がっている内容を業務の順に並べると、4つに分かれます。そこでここでは、Salesforce in Claudeでできる4つのことを解説します。

こと①商談準備の情報をまとめる

1つ目は「商談準備の情報をまとめる」ことです。発表文では、37種類の事前に構築された営業スキルの例として、商談準備が挙げられています。※参考記事はこちら

商談の準備で時間がかかるのは、情報を探す作業と、探した情報から話す順番を組み立てる作業が混ざっているからです。担当者がSalesforceの取引先や商談の画面を順に開いて確かめる手順を、Claudeへの質問に置き換えられれば、準備の前半にあたる情報集めを短くできます。

業務用厨房機器の卸売会社の場合、営業は飲食チェーンや給食事業者を担当しており、訪問の前に過去の見積や納入した機器の履歴を確かめていました。営業企画は、この確認をClaudeの画面から行えるかどうかを、試す場面の候補の1つに挙げています。

こと②案件の健全性を点検する

2つ目は「案件の健全性を点検する」ことです。発表文では、営業スキルの例として、商談状況(ディールヘルス)のレビューが挙げられています。※参考記事はこちら

商談の数が増えるほど、止まっている案件や次の行動が決まっていない案件は、目で追いきれなくなります。点検の観点をスキルとして持っていれば、担当者ごとに見落としの傾向が変わる状態を減らせます。

業務用厨房機器の卸売会社では、営業のマネージャーが月末に商談の一覧を眺め、更新が止まった案件へ個別に声をかけていました。声をかける相手を探すまでに時間がかかり、月末に近づくほど確認の漏れが増えていたのです。

点検の結果を誰が受け取り、どう動くかまでは、スキルが決めてくれるわけではありません。マネージャーが点検の結果を見てから担当者に確かめる流れを、社内で先に決めておく必要があります。

こと③パイプラインの更新を自動で進める

3つ目は「パイプラインの更新を自動で進める」ことです。発表文では、営業担当者やエージェントが、リアルタイムの収益に関連するコンテキストを踏まえて推論し、パイプラインの更新を自動化できるとされています。※参考記事はこちら

更新の自動化が4つの中で最も慎重に扱うべき項目なのは、読み取りと違って、Salesforceの記録を書き換える操作を含むからです。どの項目の更新を任せるかを決めずに使い始めると、担当者が意図していない変更まで記録に残る場合があります。

業務用厨房機器の卸売会社でも、営業企画はこの項目に最も期待していましたが、情報システムの担当者は書き込みの範囲を決めてからでなければ試せないと判断しました。

発表文では、追加の事前構築済みスキルは2026年後半から順次提供開始予定とされています。現時点で使えるスキルの範囲と、今後に予定されている範囲を分けて確かめておくと、期待と実際の差を小さくできるでしょう。※参考記事はこちら

こと④担当アカウントの画面を組み立てる

4つ目は「担当アカウントの画面を組み立てる」ことです。発表文によると、Salesforce in Claudeには専用ダッシュボードを立ち上げるオンボーディング体験も含まれます。営業担当者のエンタープライズコンテキストを読み取り、担当アカウント、パイプライン、リアルタイムデータを、Claudeが生成するインタラクティブなビューに表示すると説明されています。※参考記事はこちら

この機能が効くのは、担当者が自分の担当範囲を一覧で把握するまでに時間がかかる場面です。異動や担当替えの直後は、どのアカウントが自分の担当で、どの商談が動いているのかを確かめる作業から始めることになります。

業務用厨房機器の卸売会社では、春の担当替えのたびに、引き継いだ営業が取引先の状況を把握するまでに時間を使っていました。営業企画は、担当替えの時期にこの画面を使えれば、引き継ぎの資料づくりを減らせるのではないかと見ています。

【2026年9月時点】Salesforce in Claudeの3条件

ここまで、Salesforce in Claudeでできる4つのことを見てきました。では、自社でいつから使えるのでしょうか。それは時期だけでは決まらず、2026年9月時点では、いくつかの条件を満たしているかどうかで変わります。発表の直後は「すぐに使えるのか」という質問が社内で最初に出やすく、業務用厨房機器の卸売会社でも、役員から営業企画へ真っ先に届いたのはこの質問でした。そこでここでは、Salesforce in Claudeを使うための3つの条件を解説します。

条件①Claudeの有料プランを契約していること

1つ目の条件は「Claudeの有料プランを契約していること」です。Anthropicのヘルプでは、Salesforce in Claudeは、Salesforceがベータの申込みで承認した組織について、Claudeのすべての有料プランでベータとして利用できると案内されています。※参考記事はこちら

この条件により、無料のプランでClaudeを使っている担当者は、この時点で対象から外れます。組織としてClaudeを契約していない企業では、誰の契約で接続するかを決めるところから社内で話し合う必要があります。

業務用厨房機器の卸売会社では、営業企画の担当者2名がClaudeのTeamプランを試し始めていたため、この条件は満たしていました。一方で、営業26名はClaudeを契約しておらず、試す範囲を広げるにはプランの追加が必要になると分かっています。

料金や日本での提供の範囲については、発表文には記載がありません。契約の検討に入る場合は、自社の担当営業と公式ドキュメントで確認してください。

条件②Salesforceのベータ申込みで承認されること

2つ目の条件は「Salesforceのベータ申込みで承認されること」です。Salesforce in Claudeのベータは、Salesforceが申込みで承認した組織に限られ、Claudeの有料プランを持つだけでは使い始められません。※参考記事はこちら

あわせて、Anthropicのヘルプの「Before you begin」には、「Your organization needs access to the latest Sales Cloud enterprise edition to be eligible for beta.」(ベータの対象になるには、組織が最新のSales Cloud enterprise editionを利用できる必要がある)と記載されています。※参考記事はこちら

提供の時期について、Salesforceは2026年8月26日の発表で、Salesforce in Claudeは現在一部のパイロット顧客向けに提供されており、2026年9月にオープンベータとして提供を始める予定と発表しています(2026年9月23日時点で、オープンベータの開始は公式に確認できていません)。※参考記事はこちら

現在は、Salesforceがベータの申込みで承認した組織が、Claudeの有料プランでベータとして利用できる段階です。発表の予定と現在の状態を分けておくと、自社がいつ使えるかを見誤らずに済みます。※参考記事はこちら

業務用厨房機器の卸売会社でも、Claudeの有料プランを先に契約していた営業企画の2名は、承認の連絡が届くまでSalesforce in Claudeを使えない状態でした。

条件③管理者が組織を一度接続すること

3つ目の条件は「管理者が組織を一度接続すること」です。発表文では、管理者がSalesforce in Claudeを一度接続するだけで、認証と権限は一元管理されると説明されています。※参考記事はこちら

この条件が情報システムの担当者にとって大きいのは、接続を管理者に集めておけば、誰がどの権限で使っているかを1か所で確かめられるからです。

業務用厨房機器の卸売会社では、情報システムの担当者2名のうち1名が、Claudeの管理者とSalesforceの管理者を兼ねていました。接続を誰が担うかで社内の調整が要らなかったのは、この兼任のおかげです。

以上が、Salesforce in Claudeを使うための3つの条件でした。

AgentforceでのClaude|3つの使われ方

ここまで、Claudeの画面からSalesforceを使うための条件を確かめてきました。一方で、Claudeforceにはもう1つの方向として、Salesforceの中でClaudeが使われる柱②があります。業務用厨房機器の卸売会社はAgentforceを導入していないため、営業企画にとってはこちらのほうが見えにくい話でした。Agentforceを入れた場合にClaudeがどこで働くのかは、3つの使われ方に分かれます。そこでここでは、AgentforceでのClaudeの3つの使われ方を解説します。

使われ方①アトラス推論エンジンの推論に使う

1つ目は「アトラス推論エンジンの推論に使う」使われ方で、柱②で見た発表文のうち、Claudeが推論モデルとして機能するという記載がこれにあたります。※参考記事はこちら

アトラス推論エンジンは、Agentforceのエージェントが利用者の依頼を受けて、どの手順で何を実行するかを考える部分です。アトラス推論エンジンにClaudeが使われるため、利用者がClaudeを直接開かなくても、Agentforceの判断の中でClaudeが働きます。

業務用厨房機器の卸売会社の営業企画は、この説明を聞いて、Agentforceを入れればClaudeの契約は要らないのかと考えました。しかし、Agentforceの中で推論に使われる話と、担当者がClaudeの画面で使う話は、契約も使う人も別に整理する必要があります。

使われ方②Coworkerなどの既定になる

2つ目は「Coworkerなどの既定になる」使われ方です。この点は、発表文と製品のドキュメントで書かれ方の粒度が違うため、分けて読む必要があります。

発表文では、ClaudeがAgentforce VibesとAgentforce Coworkerではデフォルトで採用されると説明されています。Agentforce Coworkerを検討している企業では、既定のモデルがClaudeになる点を最初に押さえておきます。※参考記事はこちら

一方、Agentforce VibesのFAQは、利用上限の説明の中で、Claude Sonnet 4.5と4.6を上限つきのプレミアムの枠(unmetered premium)に、GPT-5を同梱のモデル(Included model)に分けて記載しています。どの枠で何を使えるかは、FAQの側で確かめる形になります。※参考記事はこちら

この卸売会社の情報システムの担当者は、Vibesのモデルの枠を、開発の検討が始まった段階で確かめる項目として残しています。

使われ方③Agent Builderで選んで使う

3つ目は「Agent Builderで選んで使う」使われ方です。発表文では、ClaudeはAgent Builderでも利用できると説明されており、エージェントを組む側がモデルとしてClaudeを使える形になっています。※参考記事はこちら

Agent Builderでの利用が使われ方①や②と違うのは、既定で決まっている形とは異なり、組む側が選ぶ点にあります。どのエージェントでどのモデルを使うかを決める作業が、設計の一部に加わります。

業務用厨房機器の卸売会社はAgentforceを導入していないため、この使われ方を検討するのは、Agentforceに予算を置くと決めた後になります。営業企画は、現時点では「Agentforceで組む場合にもClaudeを選べる」という事実だけを、役員への報告に書き添えました。

SlackでClaudeが既定のモデルになる3つの場所

ここまで、Agentforceの中でClaudeが使われる3つの形を整理してきました。Claudeforceの柱③は、Slackでも同じようにClaudeが既定のモデルになるという内容です。業務用厨房機器の卸売会社のように営業の連絡をSlackに集めている企業では、Agentforceが無くても、Slackの中でClaudeの処理に触れる場所が3つあります。そこでここでは、SlackでClaudeが既定のモデルになる3つの場所を解説します。

場所①Slackbotで個人の仕事を進める

1つ目の場所は「Slackbotで個人の仕事を進める」場面です。発表文では、Slackbotの既定のモデルがClaudeであるとされています。※参考記事はこちら

Salesforceは、社内でSlackbotが従業員の働き方を変え、年換算で810万時間相当の生産性向上につながっていると発表しています(前四半期比で2倍超)。対象の人数や算出の方法は発表文に書かれておらず、この810万時間はSalesforce社内のSlackbotについての発表値であって、ほかの企業で同じ規模の効果が出ることを示したものではありません。※参考記事はこちら

業務用厨房機器の卸売会社でも、Slackbotを使えば会議の準備が短くなるのではないかという声が営業から上がりました。営業企画は、この声をSalesforce in Claudeの試行とは別の検討として扱い、試す計画には含めていません。

場所②Claude Tagでチームの判断を支える

2つ目の場所は「Claude Tagでチームの判断を支える」場面です。発表文では、SlackでClaude Tagを通じてチームの意思決定を強化するとされています。Slackbotとは別に、チームのやり取りの中でClaudeを使う形ですが、設定や利用の条件までは発表文に書かれていません。※参考記事はこちら

個人の作業とチームの判断を分けて考えるべきなのは、チームのやり取りでは、誰がどの情報を見られるかが人によって異なるからです。1つのチャンネルに参加している全員が同じ答えを受け取る場面では、答えの材料に何を含めてよいかを先に決める必要があります。

業務用厨房機器の卸売会社では、大口の飲食チェーンへの提案を、営業と営業企画が同じチャンネルで検討していました。このチャンネルには見積の条件も共有されていたため、情報システムの担当者は、チームで使う形を試すなら参加者の範囲を先に確かめると決めています。

場所③Slack AIで既定のモデルになる

3つ目の場所は「Slack AIで既定のモデルになる」場面です。発表文では、ClaudeがSlack AIのデフォルトモデルであるとされています。※参考記事はこちら

ただし、要約や検索を含むどの機能でどう切り替わるかまでは、発表文には書かれていません。そのため、利用者から見て何が変わるのかは、自社で使っているSlack AIの機能を1つずつ確かめる形になります。

この卸売会社の情報システムの担当者は、営業がふだん使うSlackの機能を、商談の前に読むチャンネルの要約や過去のやり取りの検索まで含めて書き出すところから始めました。そのうえで、どれがSlack AIに当たるかを管理画面で確かめています。Slack AIに当たる機能が分かれば、柱③で触れた利用ルールに加える機能もそこで決まります。

ClaudeかAgentforceか、どちらで組む?使い分け3軸

ここまで、Claudeforceによって、Claudeの画面とSalesforceの中、そしてSlackでClaudeが使われることを見てきました。この節で扱うのは、どちらもSalesforceのデータとルールを使う2つの使い方、つまりSalesforce in ClaudeとAgentforceの選び方です。業務用厨房機器の卸売会社で役員が投げかけた「Claudeで足りるならAgentforceは要らないのか」という質問も、この選び方の問題にあたります。そこでここでは、Salesforce in ClaudeとAgentforceのどちらで組むかを決める3つの軸を解説します。

観点Salesforce in ClaudeAgentforce
何のために動くか担当者の問いに答える業務を決まった形で流す
どの画面から始めるかClaudeの画面Salesforceの中
いつ動くか人が頼んだとき設計した条件のとき
どう用意するか管理者が接続するトピックとアクションを組む

軸①担当者の問いに答えるか業務を回すか

1つ目の軸は「担当者の問いに答えるか業務を回すか」です。担当者の問いに答えるならSalesforce in Claude、業務を決まった形で流すならAgentforceです。

この軸が最初に来るのは、答えの形が担当者ごとに違ってよいかどうかで、必要な作り込みの量が大きく変わるからです。問いに答える使い方では、担当者が質問の仕方を変えれば答えも変わりますが、業務として流す仕組みでは、同じ条件なら同じ結果になることが求められます。

業務用厨房機器の卸売会社で営業企画が業務を分けると、訪問前の状況確認や週次レビューの材料集めは問いに答える使い方に当たりました。一方で、見積の承認のように決まった手順で流す業務は、Agentforceの領域に入っています。

軸②どの画面から始めるか

2つ目の軸は「どの画面から始めるか」です。Salesforce in ClaudeはClaudeの画面から始まり、AgentforceはSalesforceの中で組んだ仕組みとして動きます。

担当者が1日の中で最も長く開いている画面に合わせたほうが、使われる回数は増えます。Claudeを日常的に使っている担当者にとっては、Claudeの画面からSalesforceを扱える形のほうが、新しい画面を覚える負担がありません。

業務用厨房機器の卸売会社では、Claudeを使っているのは営業企画の2名だけで、営業26名の多くはSalesforceとSlackを中心に仕事をしていました。そのため営業企画は、Claudeの画面から始める使い方を営業全体へ一度に広げる前提は置かず、1つのチームに絞って試す計画を立てています。

Agentforceで組むなら、利用者の依頼をどう受けるかをトピックとして設計します。トピックに含める依頼は、担当者がSalesforceの画面の中で受けたいものに絞り、Claudeの画面で済む問いまで広げないようにしましょう。

軸③人が頼んだときだけ動くか

3つ目の軸は「人が頼んだときだけ動くか」です。発表文が示すSalesforce in Claudeの使い方は、営業担当者がClaudeの画面で依頼する形が中心です。条件がそろった時点で自動で動かす仕組みを組む説明は、発表文には含まれていません。

決まった条件がそろったときに自動で動かしたい業務では、人が頼む形のままだと実行の漏れが残ります。条件を定義して動かすなら、何を実行させるかをアクションとして組んでおきます。

業務用厨房機器の卸売会社でいえば、受注の確定後に納品の手配を依頼する作業は、担当者が頼むのを待つより、条件がそろった時点で動くほうが合っていました。営業企画はこの作業を、Agentforceに予算を置くかどうかを判断する材料として一覧に残しています。

自社で構築するので設計レビュー・アドバイザリーだけ頼みたい場合は、3つの軸で振り分けた一覧を外部に見てもらう形でも足りるでしょう。

何を任せる?Salesforce in Claudeで試す場面3選

ここまで、Salesforce in ClaudeとAgentforceを3つの軸で使い分ける考え方を整理してきました。では、Salesforce in Claudeを試すとしたら、営業の仕事のどこから始めればよいのでしょうか。最初から全員へ広げるより、効果を確かめやすい場面に絞るほうが判断しやすくなります。業務用厨房機器の卸売会社でも、営業企画が候補を3つに絞ったうえで試す順番を決めました。そこでここでは、Salesforce in Claudeで試す3つの場面を解説します。

場面Salesforceへの書き込み試す順番
訪問前の状況確認なし(読み取りのみ)1番目
週次レビューの準備なし(読み取りのみ)2番目
次の行動の記録あり最後

場面①訪問の前に担当案件の状況を聞く

1つ目の場面は「訪問の前に担当案件の状況を聞く」ことです。訪問先の取引先について、進行中の商談や過去の納入の履歴をClaudeの画面から尋ね、準備の材料を集めます。

訪問前の状況確認が最初の候補になるのは、書き込みを伴わず、答えを担当者自身が確かめられるからです。読み取りだけで済む場面であれば、設定の範囲を広げずに試せます。

業務用厨房機器の卸売会社では、訪問前に取引先の状況を確かめる作業に、営業1人が1件あたり25分ほどかけていました。営業企画は、Claudeの画面から尋ねる形でこの時間が10分まで縮むかを、試す際の確認項目に置いています。

ただし、この場面を評価するときは、答えの速さより、担当者が普段見ている情報と食い違いがないかを先に確かめる必要があります。食い違いが出たら、原因がSalesforceの記録の側にあるのか、接続の設定にあるのかを切り分けてから評価を進めることになるでしょう。

場面②週次のパイプラインレビューを準備する

2つ目の場面は「週次のパイプラインレビューを準備する」ことです。レビューで扱う商談の状況を一覧にまとめ、止まっている案件や金額の動いた案件を洗い出します。

業務用厨房機器の卸売会社が当初掲げた目的は「週次レビューの準備を短くし、Agentforceとどちらに予算を置くかを決めること」でした。営業企画が毎週使っていた6時間を分解すると、商談の状況を抜き出して一覧にする材料集めが4時間でした。残りの2時間は、会議で話す論点を整理する作業に使われていたのです。

そこで営業企画は、週6時間のレビュー準備のうち、Claudeに任せる対象を材料集めの4時間に絞りました。

論点の整理を任せる対象から外したのは、どの案件を会議で取り上げるかが、営業の責任者の判断に関わるためでした。材料集めの結果が正しいかどうかは、前週の一覧と突き合わせて確かめる計画にしています。突き合わせの観点は、パイプラインの精度を測る考え方に沿って決めました。

場面③商談のあとに次の行動を記録する

3つ目の場面は「商談のあとに次の行動を記録する」ことです。商談の内容をClaudeに伝え、次の行動と予定日をSalesforceの記録へ反映させます。

この場面は3つの中で唯一、Salesforceへの書き込みを含みます。記録が後回しになる状態を減らせる一方で、誤った内容が記録に残ると、次の週のレビューの材料まで誤るため、試す順番は最後に置きました。

業務用厨房機器の卸売会社では、書き込みを許す項目を先に決めてから、この場面に進む計画にしています。どの項目を許すかは、次の章で扱うルールの中で決めました。

営業の場面から試す順番を組むには、営業の業務の流れに沿って場面を選べる相手と話すほうが早く進みます。ソリューション営業に特化した支援がほしい場合は、商談準備やパイプラインレビューといった営業の工程から場面を選べる相談先が合うでしょう。Agentforceの導入・定着支援では、無料相談も受け付けています。Salesforce in ClaudeとAgentforceの振り分けから相談いただくことも可能です。

Claudeforceの導入前に情シスが決める3つのルール

ここまで、Salesforce in Claudeで試す3つの場面を見てきました。ただ、場面を決めても、何を許すかを決めないまま接続すると、想定していなかった操作まで実行される状態になります。業務用厨房機器の卸売会社でも、情報システムの担当者は、試す前に決めておく条件を3つに絞っていました。ツール設定ではなく業務設計から入ってほしい場合は、この3つのルールを業務の側から決めるところを一緒に進められる相手を選ぶとよいでしょう。そこでここでは、Claudeforceの導入前に情報システムの担当者が決める3つのルールを解説します。

ルール①Claudeから書き込んでよい項目

1つ目のルールは「Claudeから書き込んでよい項目」を決めることです。Salesforce in Claudeはパイプラインの更新まで扱えるため、どのオブジェクトのどの項目まで書き込みを許すかを、接続の前に決めておきます。

発表文では、アクションをすべてSalesforceを経由させることで、アクション実行時に常にビジネスルールが確実に適用されると説明されています。入力規則や承認の手順といった自社の決まりが、Claudeからの更新にも同じように効くという意味です。※参考記事はこちら

業務用厨房機器の卸売会社では、誤った場合の実害から書き込みを任せる範囲を決め、対象を商談の次の行動、次回の予定日、商談のメモの3項目に絞りました。金額や確度は、誤って変わると週次レビューの数字が崩れるため、読み取りのみとしています。

Claudeからの更新もSalesforceのルールを通るため、決めるべきは書き込みを許す項目の範囲です。

ルール②最初に使う営業チームの範囲

2つ目のルールは「最初に使う営業チームの範囲」を決めることです。Claudeの有料プランを誰に割り当て、どのチームの業務で試すかを、接続の前に絞っておきます。

試した結果を評価するときは比べる相手がいるほうが効果を判断しやすく、全員で一斉に使い始めると、準備の時間が変わったのか、商談の数が変わったのかを分けられなくなります。

業務用厨房機器の卸売会社の営業は3つのチームに分かれており、最初の対象は飲食チェーンを担当する9名のチームに決めました。残りの2チームはこれまでどおりの準備を続け、試す期間の準備の時間を比べる相手にしています。

対象のチームを決めたら、そのチームの責任者に、試す期間と評価の方法を先に共有しておくことも欠かせません。責任者が試す目的を把握していなければ、評価の段階で「使ってみた感想」しか集まらない状態になりがちです。

ルール③ほかのコネクタから読ませる情報

3つ目のルールは「ほかのコネクタから読ませる情報」を決めることです。Claudeの画面では、Salesforce以外の社内の情報源もあわせて使う場面が考えられるため、どの情報をClaudeに読ませてよいかを先に決めておきます。

このルールが要るのは、Salesforceの権限で守られている情報と、ほかの情報源にある情報では、管理の仕方が異なるからです。Salesforceの記録は権限で見られる範囲が決まっていても、共有のフォルダに置かれた資料は、別の決まりで管理されていることがあります。

業務用厨房機器の卸売会社では、仕入先との価格の条件をまとめた資料が共有のフォルダに置かれていました。情報システムの担当者は、試す期間中はSalesforce以外の情報源をつながない取り決めにしました。価格の資料を扱うかどうかは、試した後に改めて決めます。

発表文でも、オンボーディングの際には、SalesforceとSlackに加えてClaude内の各種コネクタから営業担当者の情報を読み取ると説明されています。つなげる対象を広げるときは、どのコネクタが有効になっているかを確かめてから、社内の利用ルールと照らし合わせる順番にしましょう。※参考記事はこちら

Claudeforceでよくある3つの誤解

ここまで、導入の前に決めておく3つのルールを整理してきました。一方で、発表の直後に社内で語られる内容には、公式の記載と食い違うものが少なくありません。業務用厨房機器の卸売会社でも、役員や営業から出た質問の多くは、発表の見出しだけを読んで生まれた期待に関わるものでした。誤解を残したまま試すと、試した後の評価も実際の仕様からずれてしまいます。そこでここでは、Claudeforceでよくある3つの誤解を解説します。

誤解①Claudeで足りれば自社で組む仕組みは不要

1つ目の誤解は「Claudeで足りれば自社で組む仕組みは不要」というものです。Salesforce in Claudeは問いに答える使い方に向いており、業務を決まった手順で流す仕組みを置き換えるものではありません。

発表で紹介されているスキルは、商談準備やパイプラインの更新のように、Agentforceで組む業務と名前が重なって見えるため、この誤解が生まれやすくなります。名前が同じでも、担当者が頼んだときに動く使い方と、条件がそろったときに動く仕組みでは、求められる作り込みが違います。

業務用厨房機器の卸売会社の営業企画は、役員の疑問に答えるため、見積の承認や納品の手配のように決まった手順で流す業務を一覧にし、Claudeの画面から頼む形では漏れが残ることを示しています。

誤解②Claudeからならルールを通さずに更新できる

2つ目の誤解は「Claudeからならルールを通さずに更新できる」というものです。この誤解は、外部の画面から操作するなら、Salesforceの入力規則や承認を迂回できるのではないかという連想から生まれます。実際には、アクションをすべてSalesforceに経由させる設計が発表の中心に置かれており、Claudeの画面から操作しても自社の決まりは同じように適用されます。※参考記事はこちら

業務用厨房機器の卸売会社でも、営業の一部から「Claudeから入れれば、面倒な必須項目を飛ばせるのか」という質問が出ました。情報システムの担当者は、必須項目を飛ばせないことを前提に、書き込みを許す3項目を決めていました。

誤解③誰でもすぐにベータを使える

3つ目の誤解は「誰でもすぐにベータを使える」というものです。Anthropicのヘルプでは、ベータの対象は、Salesforceがベータの申込みで承認した組織の、Claudeの有料プランと案内されています。※参考記事はこちら

Salesforceは2026年8月26日の発表で、2026年9月にオープンベータとして提供を始める予定と発表しています(2026年9月23日時点で開始は未確認)。現在は、Salesforceが承認した組織がベータとして利用できる段階です。この「オープン」という言葉から、申込みの手続きが要らないと受け取られやすいのです。予定として発表されている時期と、承認を経て使える状態になる時期は、分けて考える必要があります。※参考記事はこちら ※参考記事はこちら

業務用厨房機器の卸売会社でも、営業企画は当初、9月に入ればすぐに試せると考えて、試す計画の開始日を9月の中旬に置いていました。承認制であることを確かめた後は、開始日を空欄にし、承認の連絡を受けてから日付を入れる計画に書き直しています。

Claudeforceのベータを見送ってよい3つの状況

ここまで、Claudeforceでよくある3つの誤解を解いてきました。誤解を解いたうえで、そもそも今の時点でベータに申し込む必要があるのかも考えておきたいところです。先に整える対象が残っている状態で試しても、試した結果を正しく評価できず、判断を誤る原因になります。業務用厨房機器の卸売会社も、3つの状況を1つずつ確かめたうえで申込みに進みました。そこでここでは、Claudeforceのベータを見送ってよい3つの状況を解説します。

状況①Salesforceの商談データが整っていない

1つ目は「Salesforceの商談データが整っていない」状況です。Salesforce in Claudeが答えの材料にするのはSalesforceの記録であるため、記録が古いままであれば、答えも古い情報にもとづいたものになります。

この状況で急がないほうがよいのは、答えの誤りがClaudeの側の問題なのか、記録の側の問題なのかを見分けられなくなるからです。試した結果の評価が下がったとき、原因を取り違えると、改善する対象まで取り違えてしまいます。

業務用厨房機器の卸売会社では、Sales Cloudを5年運用しており、週次レビューのたびに商談の次の行動が入っているかを営業企画が確かめていました。記録を確かめる習慣がすでにあったことが、ベータへの申込みに進めた理由の1つです。

状況②社内で生成AIの利用ルールが決まっていない

2つ目は「社内で生成AIの利用ルールが決まっていない」状況です。どの情報を生成AIに渡してよいかの基準がなければ、Claudeの画面でSalesforceの情報を扱う判断を、担当者が個人で行うことになってしまいます。

Salesforce in Claudeを接続すると、担当者がSalesforceで見られる情報をClaudeの画面でも扱えるようになるため、見られる範囲が広い担当者ほど、扱ってよい情報の判断も重くなります。

業務用厨房機器の卸売会社では、営業企画がClaudeを試し始めた時点で、社外に出せない情報を生成AIに渡さない取り決めを作っていました。Salesforce in Claudeを試す前には、この取り決めにSalesforceの記録の扱いを1行加えています。

状況③Claudeを業務でまだ使っていない

3つ目は「Claudeを業務でまだ使っていない」状況です。Salesforce in ClaudeはClaudeの画面から使う形です。担当者がClaudeに慣れていなければ、Salesforceの機能以前に、Claudeへの頼み方でつまずくことになります。

この状況では、Salesforce in Claudeの評価とClaudeの操作に慣れる期間が重なり、どちらの効果なのかを分けられません。まずClaudeを業務で使い、頼み方が社内で共有されてから接続するほうが、評価の前提がそろいます。

業務用厨房機器の卸売会社では、営業企画の2名がClaudeを使い始めてから時間がたっており、日本語で頼んだときの答えの傾向もつかんでいました。日本語での精度の評価の考え方は、Claudeの答えを確かめるときにも使えます。

営業26名の多くはClaudeを使っていなかったため、営業企画は、最初に試す飲食チェーン担当の9名へ頼み方を共有してから試す期間に入り、営業全体への展開はその結果を見て判断することにしました。

3ステップ|Salesforce in Claudeを試し始める

ここまで、ベータを見送ってよい3つの状況を確かめてきました。どの状況にも当てはまらなければ、Salesforce in Claudeを試し始める段階に進めます。業務用厨房機器の卸売会社でも、営業企画と情報システムの担当者が役割を分け、承認の確認から試す場面の決定までを3つの段階に分けて進めました。小さく始めたい場合ほど、この順番を守ることで、試した結果を判断に使いやすくなります。そこでここでは、Salesforce in Claudeを試し始める3つのステップを解説します。

ステップ①ベータの申込みと承認を確かめる

最初に行うのは、ベータの申込みと承認の状況を確かめる作業で、自社が承認を受けているかどうかで、次の段階に進めるかが決まります。

この確認を最初に置くのは、承認の前に接続の準備や社内の説明を進めても、使える時期が見えないまま計画だけが先に進んでしまうからです。

業務用厨房機器の卸売会社では、営業企画の担当者が申込みを行い、承認の連絡を待つ間に、試す場面と書き込みを許す項目を決めていました。承認の連絡を受けてから、試す期間を8週間と決めて役員に報告しています。

申込みの窓口や承認までにかかる期間は、発表文には記載がありません。

Salesforce in Claudeを試す計画は、ベータの承認を確かめてから開始日を決める順番で立てます。

ステップ②管理者が組織の接続を済ませる

承認を確かめたら、次は条件③で見た組織の接続を、管理者が済ませます。接続を担う管理者は、Claudeの管理者とSalesforceの管理者の両方の立場で確かめる必要があります。

設定の手順は公式ドキュメントで確認してください。Anthropicのヘルプには、組織でSalesforce in Claudeを設定するためのページがあります。※参考記事はこちら

業務用厨房機器の卸売会社では、両方の管理者を兼ねていた情報システムの担当者が接続を担い、その前に、ルール①で決めた3項目以外への書き込みが通らないかを、Salesforce側の権限で確かめています。接続の直後に営業企画の2名が先に使い、答えが普段の商談の一覧と食い違わないかを確かめておけば、9名のチームへ広げたときの問い合わせを減らせます。

ステップ③1つの営業チームで1つの場面を試す

最後に、1つの営業チームで1つの場面を試します。最初から複数の場面を同時に試すと、どの場面で効果があったのかを分けて評価できなくなるため、場面は1つに絞ります。

業務用厨房機器の卸売会社では、飲食チェーンを担当する9名のチームで、訪問前に担当案件の状況を聞く場面から試す計画にしました。書き込みを伴わない場面を先に置いたのは、答えの確かさを確かめてから、書き込みを含む場面へ進むためです。

試す期間の8週間は、前半で訪問前の確認を、後半で週次レビューの材料集めを試す順番に分けています。自社でどこまで進め、どこから外部に頼むかも、試す前に決めておきたい点です。導入支援の範囲を先に整理しておくと、役割の分担で迷わずに済みます。

以上が、Salesforce in Claudeを試し始める3つのステップでした。

【一問一答】Claudeforceに関するよくある質問

ここまでの内容を社内で共有すると、同じ質問が繰り返し出てくるはずです。発表文と製品のドキュメントで書かれ方が異なる点があり、読む人の立場によって受け取り方が変わりやすいためです。業務用厨房機器の卸売会社でも、役員と営業、情報システムの担当者がそれぞれの立場から別の疑問を持ち寄り、打ち合わせのたびに同じ点を確かめ直していました。そこでここでは、Claudeforceに関するよくある5つの質問を、この卸売会社の判断とあわせて取り上げます。

質問①Claudeforceは新しい製品の名前なのか

Claudeforceは単一の製品名ではなく、SalesforceとAnthropicの提携の名称です。提携には、37種類の事前に構築された営業スキルを搭載したSalesforce in Claudeや、AgentforceでのClaudeの利用が含まれます。この記事の例に挙げた卸売会社でも、役員への説明は4つの柱に分けて行いました。※参考記事はこちら

質問②Claudeforceはいつから使えるのか

Claudeforceの中心にあるSalesforce in Claudeは、2026年9月23日時点では、Salesforceが承認した組織がClaudeの有料プランでベータとして利用できる段階です。Salesforceは、2026年9月にオープンベータとして提供を始める予定と発表しています(開始は未確認)。この記事の例に挙げた卸売会社は、承認の連絡を受けてから8週間の試行の開始日を決めました。※参考記事はこちら ※参考記事はこちら

質問③ClaudeforceでAgentforceのモデルは必ずClaudeになるのか

Claudeforceの発表文は、AgentforceのVibesとCoworkerでClaudeをデフォルトで採用するとしています。一方でVibesのFAQは、Claude Sonnet 4.5と4.6をプレミアムの枠、GPT-5を同梱のモデルに分けており、必ずClaudeだけとは書かれていません。本記事の例の卸売会社は、Vibesの枠の確認を後に回しました。※参考記事はこちら ※参考記事はこちら

質問④Claudeforceで営業ごとの個別設定は要るのか

Claudeforceの発表文では、管理者がSalesforce in Claudeを一度接続するだけで、認証と権限は一元管理されるとしています。営業ごとの手順はAnthropicのヘルプで確かめます。この記事の例に挙げた卸売会社では、接続を情報システムの担当者1名が担いました。設計の確認を頼むなら、Salesforceパートナーの区分から相談先を選べます。※参考記事はこちら ※参考記事はこちら

質問⑤Claudeforceでデータはどこで扱われるのか

Claudeforceの発表文では、Amazon Bedrockを通じて、ClaudeはSalesforceの信頼境界内で利用できるとしています。日本での提供の範囲やデータの保存場所の詳細は発表文に記載がなく、自社の担当営業と公式ドキュメントで確認します。この記事の例に挙げた卸売会社は、試す期間中はSalesforce以外の情報源をつながない取り決めにしました。※参考記事はこちら

Claudeforceは、考えるのをClaudeに、実行をSalesforceに任せる提携

Claudeforceは、担当者の問いに答える作業をClaudeに、業務のルールに沿った実行をSalesforceに任せる、SalesforceとAnthropicの提携です。本記事では、4つの柱から、使える条件、Agentforceとの使い分け、試す場面とルール、試し始める手順までを整理してきました。

当初の目的だった「週次レビューの準備を短くし、Agentforceとどちらに予算を置くかを決めること」に対し、業務用厨房機器の卸売会社の営業企画は、週6時間の準備のうち材料集めの4時間をSalesforce in Claudeで試す対象にしました。論点を整理する2時間は、人の判断に残しています。受注後の手配のように決まった手順で流す業務は、Agentforceで組む候補として一覧に残しました。予算の判断は、8週間の試行を終えてから行う計画です。

なお、Salesforce in Claudeの提供の段階や利用の条件は変わりえます。実際に進める際は、本記事の出典に挙げた公式の発表文とヘルプで最新の記載を確かめてください。本記事の内容を、自社の状況に合わせて実践し、少しでもお役に立てれば幸いです。