Salesforceパートナーとは?区分の違いとAgentforceの任せ先を絞る手順

読了時間 7

Salesforceパートナーとは、Salesforceと契約を結び、製品の導入や販売を役割ごとに分けて担う会社の総称です。AppExchangeの日本語サイトには、このうち導入を支援する立場の会社が317社掲載されています(2026年9月時点)。この中からAgentforceを任せる相手を選ぼうとすると、上位から順に開いても候補が減らず、比べる基準のないまま時間だけが過ぎていくのではないでしょうか。

Salesforceパートナーの一覧から読み取れるのは会社の規模までで、Agentforceの実績ではありません。一覧でできるのは母数を減らすところまでで、任せられるかどうかは一覧の外で確かめることになります。確かめる順番を先に決めておけば、候補を1社に絞るまでの時間は短くできます。

そこで本記事では、Salesforceパートナーの一覧を絞り込む条件と、Agentforceの任せ先を1社に絞るまでの手順を解説します。なお、掲載社数と絞り込みの項目は変わりやすいため、本記事に書いたのは2026年9月時点で確認できた範囲です。

目次
  1. Salesforceパートナーの一覧から任せ先を絞る5つの手順
    1. 手順①探している相手の区分を決める
    2. 手順②所在地で母数を減らす
    3. 手順③認定資格の保持者数で規模をそろえる
    4. 手順④専門分野の近さで並べ替える
    5. 手順⑤一覧の外で確かめる
  2. 【2026年9月時点】Salesforceパートナーを絞る5つの条件
    1. 条件①Agentforceに近い専門分野があるか
    2. 条件②自社の業界の実績があるか
    3. 条件③通える範囲に拠点があるか
    4. 条件④認定資格の保持者が何人いるか
    5. 条件⑤評価が付いているか
  3. 候補が減りすぎたときの3つの戻し方
    1. 戻し方①所在地の条件を県から地方へ広げる
    2. 戻し方②認定資格の保持者数の段階を1つ上げる
    3. 戻し方③専門分野の選択を1つに減らす
  4. 何が分かる?一覧に出る3つの数字の読み方
    1. 数字①認定資格の保持者数が示す会社の規模
    2. 数字②完了したプロジェクト数が示す経験の量
    3. 数字③評価の件数が示す利用者の多さ
  5. Agentforceの実績が一覧から読めない3つの理由
    1. 理由①専門分野にAgentforceの区分がないから
    2. 理由②認定資格の保持者数が会社全体の人数だから
    3. 理由③完了したプロジェクト数に製品の内訳がないから
  6. 何を聞く?Agentforceの任せ先に確かめる質問4選
    1. 質問①最初に任せる業務を一緒に決めてもらえるか
    2. 質問②社内の担当が引き取るまで見てもらえるか
    3. 質問③営業の業務をどこまで知っているか
    4. 質問④試した結果を何で測るか
  7. 回答のどこを重く見る?条件別5パターン
    1. パターン①定着まで伴走してほしい場合
    2. パターン②小さく始めたい場合
    3. パターン③ツール設定ではなく業務設計から入ってほしい場合
    4. パターン④自社で構築するので設計レビュー・アドバイザリーだけ頼みたい場合
    5. パターン⑤ソリューション営業に特化した支援がほしい場合
  8. 一覧の数字を読み違える3つの誤解
    1. 誤解①保持者数の多さがAgentforceの実績を表す
    2. 誤解②評価が高ければ定着まで見てもらえる
    3. 誤解③一覧の上位が自社に合う会社である
  9. 紹介で出てきた会社を見るときの3つの確認
    1. 確認①一覧に掲載があるか
    2. 確認②紹介された理由が自社の業務と合うか
    3. 確認③Salesforceの契約とは別に費用がかかるか
  10. 同じ材料と同じ質問で3社を比べる3ステップ
    1. ステップ①3社に同じ材料を渡す
    2. ステップ②同じ質問を投げて答えを比べる
    3. ステップ③最初の1業務で試す範囲を決める
  11. 【一問一答】Salesforceパートナーに関するよくある質問
  12. Salesforceパートナーは、一覧で絞った後の確かめ方で決まる
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本田正憲

合同会社クロスコムの代表|専門商社にて7年間のBtoB営業を経て、マーケティング業界に参入。現在はSalesforce公式コンサルティングパートナーとして、ソリューション営業の業務プロセスに特化したAgentforce導入・定着支援と、Agentic CRM設計支援を提供している。Salesforce認定アドミニストレーター・Sales Cloudコンサルタント・Marketing Cloud Account Engagement スペシャリスト。

Salesforceパートナーの一覧から任せ先を絞る5つの手順

農業機械の販売・整備を手がける企業では、従業員275名のうち営業が22名、整備を担当するサービス部門が40名、情報システムが2名という体制で、Sales Cloudを4年運用してきました。この企業は説明のための架空の設定であり、実在の企業ではありません。Agentforceを足したいと考えて、4年前に導入を頼んだ会社へ相談したところ、Agentforceの実績はまだないという返答でした。自分で候補を探し始めたものの、どこから手を付ければよいか決められないまま、2週間が過ぎています。そこでここでは、この会社を例に、Salesforceパートナーの一覧から任せ先を絞る5つの手順を整理します。

2週間が過ぎたのは、読む順番を決めないまま一覧を上から開いていたためで、候補の多さが原因ではありません。AppExchangeの一覧は、区分と所在地で母数を減らしてから読むと、比べる相手が十数社まで落ちます。

手順使う情報絞られる範囲
①区分を決めるパートナーの種類相談先の種類
②所在地で減らす国・都道府県数十社
③規模をそろえる認定資格の保持者数十数社
④近さで並べる専門分野・業界比べる順番
⑤外で確かめる問い合わせの回答3社前後

手順①探している相手の区分を決める

最初に決めるのは、自社が探しているのがどの区分の会社かという点です。Salesforceのパートナーは役割で分かれており、区分を取り違えると、話が噛み合わないまま初回の面談が終わります。

区分を先に決める理由は、同じ「パートナー」でも売っているものが違うからです。Salesforceのパートナーは、導入と構築の作業を担うコンサルティングパートナー、Salesforce上で動くアプリを提供するAppExchangeパートナー、ライセンスの販売と契約の窓口になる再販パートナーに分かれており、見積の出し方も契約の相手も変わります。区分ごとの役割の違いはパートナー3タイプとして整理しているため、ここでは探す側の判断に絞ります。Agentforceの設定と定着を頼みたいのであれば、探す相手はコンサルティングパートナーの1区分に限られるでしょう。

この農業機械の販売会社では、当初「Salesforceに強い会社」という言い方で社内の候補を集めていました。集まった5社のうち2社はライセンスの販売を主な事業にしており、設定作業は別の会社へ再委託する形だったため、比較の対象から外しています。区分をコンサルティングパートナーに限ると、候補は3社になりました。

探している区分を1つに決めてから一覧を開くかどうかで、候補が増える方向へ進むか減る方向へ進むかが決まります。

手順②所在地で母数を減らす

区分が決まったら、次に使うのは所在地の条件で、AppExchangeの一覧は国と都道府県で絞り込めるため、317社という母数はここで大きく減ります。

所在地から入るのは、この条件がもっとも機械的に判定できるためです。専門分野や実績の評価は読み手によって解釈が分かれますが、拠点がどこにあるかは解釈の余地がありません。最初に主観の入らない条件で母数を落としておくと、残りの判断に時間を回せます。

農業機械の販売会社では、整備の拠点が3県にまたがっており、打ち合わせに担当者が同席できる範囲を条件にしていました。国内に絞ったうえで本社所在地の都道府県を指定したところ、候補は38社まで減り、この38社が以降の比較の母数になりました。

オンラインだけで進められる体制であれば、所在地の条件は外して次の手順へ進みます。訪問が前提になるかどうかで、この条件を使うかを決めるとよいでしょう。

手順③認定資格の保持者数で規模をそろえる

所在地で母数を減らしたうえで使うのが、認定資格の保持者数です。AppExchangeの一覧では、この人数を1〜5名、6〜10名、11〜50名、51〜100名、101〜200名、201〜1000名、1,000名超という7つの段階から選んで絞り込めます。

※参考記事はこちら

人数で絞るのは会社の規模をそろえて比べるためで、認定資格の保持者が1,000名を超える会社と10名の会社では、案件の受け方も進め方も違います。規模の違う会社を並べて提案内容だけを比べても、どちらが自社に合うかの判断材料にはなりません。

農業機械の販売会社が選んだのは11〜50名の段階で、候補は38社から12社まで減っています。100名を超える会社は大規模な基幹システムの案件を中心にしており、1つの業務から小さく始めたいという相談と合わないと考えたためです。

自社の相談の規模に近い段階を1つ選び、迷うときは隣り合う2つの段階を試して候補の数の変わり方を見ます。

手順④専門分野の近さで並べ替える

12社まで減らしたら、そのうえで見るのが専門分野と業界の近さです。AppExchangeの一覧は、Salesforceの製品分野と業界の2種類で絞り込みができます。

近さで並べ替えるのは、この段階では優劣ではなく順番を決めるのが目的だからです。残った会社はどれも条件を満たしており、そこから先は問い合わせて確かめるほかありません。問い合わせる順番を決めるために、自社の業務にとって近い分野を扱っている会社を上に置きます。

たとえば、この会社では製造業と卸売の分野を扱う会社を先に見ることにしました。農業機械の販売と整備は、在庫と保守履歴の管理が業務の中心にあり、同じ構造を持つ業界の実績がある会社のほうが、初回の説明が短く済むと判断したためです。

専門分野で候補をさらに減らすと、問い合わせる前に選択肢を失うため、絞り込みには使わず並べ替えの基準として使います。

手順⑤一覧の外で確かめる

最後の手順は、一覧に載っていない情報を自分で確かめることです。ここまでの4つはすべて一覧の中で完結しますが、任せられるかどうかの判断材料は一覧の外にあります。

一覧の外へ出るのは、掲載されている情報がSalesforce全体のものだからです。認定資格の保持者数も、完了したプロジェクトの数も、Agentforceに限った数字ではありません。Agentforceを任せる相手を選ぶのであれば、問い合わせて直接聞くことになります。

農業機械の販売会社は、12社のうち上位3社へ同じ内容で問い合わせました。聞いた内容は別の見出しで扱いますが、返ってきた回答の差は、一覧の数字の差よりはるかに大きかったという結果でした。

以上が、Salesforceパートナーの一覧から任せ先を絞る5つの手順でした。

【2026年9月時点】Salesforceパートナーを絞る5つの条件

ここまでの5つの手順で、探す相手はコンサルティングパートナーに決まりました。ここから先に必要なのは、317社の中を実際にどう絞るかという手順です。絞り込みの欄は5つ用意されていますが、どの欄が母数を大きく減らし、どの欄が順番を決めるだけなのかは、開いただけでは分かりません。条件の役割を取り違えると、残った十数社が自社と関係のない顔ぶれになってしまいます。そこでここでは、AppExchangeの一覧で使える絞り込みの条件を5つに分けて整理します。

AppExchangeの一覧で機械的に絞れるのは5つの条件までで、残りは問い合わせて確かめる範囲に入ります。

条件絞り込みの欄使い方
①専門分野Salesforce Expertise並べ替えの目安
②業界Industry Expertise業務の形で選ぶ
③所在地国・都道府県母数を減らす
④認定資格の保持者数7段階から選択規模をそろえる
⑤評価平均評価並べ替えの補助

条件①Agentforceに近い専門分野があるか

1つ目の条件はSalesforceの製品分野で、一覧では「Salesforce Expertise」として分野が並んでおり、複数を選んで絞り込めます。

ここで注意が必要なのは、2026年9月時点で、この製品分野にAgentforceという選択肢が用意されていない点です。並んでいるのはSales Cloud、Service Cloud、Data Cloud、Einstein、Einstein Generative AIといった分野で、Agentforceにもっとも近いのはEinstein Generative AIになります。

※参考記事はこちら

この農業機械の販売会社も、最初はAgentforceで絞り込もうとして選択肢を探していました。見つからなかったため、Einstein Generative AIと、すでに使っているSales Cloudの2つを選んでいます。ただし選択肢の名称が製品名と一致しないため、絞り込んだ結果をそのまま実績とは読まないことにしました。

選択肢の名称と製品名が一致しない以上、製品分野で絞った結果は候補の順番を決める材料にとどまります。

条件②自社の業界の実績があるか

2つ目に挙げるのは業界の専門性で、一覧には「Industry Expertise」として製造・金融・ヘルスケア・小売・公共といった分類が並んでいます。

業界で絞るのが有効なのは、業務の構造が近い会社の実績が、初回の説明の長さに直結するためです。在庫と保守の履歴を持つ業界であれば、どのデータをAIに読ませたいのかを説明する手間が減ります。一方で、業界が違っても同じ構造の業務はあるため、この条件だけで候補を切ると選択肢を失います。

農業機械の販売会社が選んだのは、製造と卸売の2つです。農業機械という区分は一覧にありませんが、機械の販売と保守という業務の形なら、製造業の実績で近いものを探せると判断しています。

一致する業界名がないほうが普通のため、自社の名称では探さず、業務の形が近い分類を選びます。

条件③通える範囲に拠点があるか

3つ目は所在地です。一覧は国と都道府県で絞り込みができ、本社の所在地をもとに候補を減らせます。

拠点の位置が判断材料になるのは、立ち上げの時期に対面の打ち合わせが入るかどうかで進め方が変わるためです。業務の順番を決め直す工程では、営業や整備の担当者が同席する場面が出てきます。全員がオンラインで参加できる体制なら所在地は条件から外せますが、現場に出ている担当者が多い会社では、通える範囲かどうかが実務の負担を左右するでしょう。

農業機械の販売会社では整備の拠点が3県にまたがっており、サービス部門の40名は日中ほとんど社内にいません。打ち合わせの時間をそろえるために本社所在地で絞り込み、候補は38社になりました。

外に出ている担当者が多いほど所在地の条件は重くなるため、同席する担当者の働き方から決めます。

条件④認定資格の保持者が何人いるか

4つ目の条件は認定資格の保持者数で、1〜5名から1,000名超まで7つの段階から選べるようになっています。

この条件が規模の指標になるのは、認定資格の保持者数が社内で維持している人数だからです。ただし、この人数はSalesforce全体の認定を合算したもので、製品ごとの内訳は一覧に出ません。人数が多いことは会社の規模を示しますが、Agentforceを扱える担当者が何名いるかは別の話になります。

この農業機械の販売会社は11〜50名の段階を選び、候補を12社まで減らしました。100名を超える段階も試したものの、残った会社の事業内容が大規模な基幹システムの構築に寄っており、相談したい内容と合わなかったためです。

自社の相談が1つの業務から始まるのであれば、11〜50名のような中間の段階が候補に合います。段階を1つ上げ下げすると残る会社の性格まで変わるため、数字の大小で優劣を付けることはしません。

条件⑤評価が付いているか

5つ目は利用企業の評価で、一覧では平均評価による絞り込みができ、未評価を含めた表示の切り替えも用意されています。

評価を条件に使うときに気をつけたいのは件数の少なさで、評価はプロジェクトを終えた企業が任意で投稿するため、すべての案件が反映されるわけではありません。評価が付いていない会社が実績を持っていない会社とは限らず、逆に高い評価が付いていても、その案件が自社と同じ製品とは限らないわけです。

たとえば、この会社が残した12社のうち、評価が付いていたのは半数に届きませんでした。評価のある会社を優先して見たものの、投稿の内容はSales Cloudの導入に関するものが中心で、Agentforceの判断材料にはなっていません。

件数が少ない条件で候補を切ると母数が一気に減るため、評価は絞り込みではなく並べ替えの補助に使います。

以上が、パートナー一覧で絞り込める5つの条件でした。

候補が減りすぎたときの3つの戻し方

5つの条件は、掛け合わせるほど候補が減ります。ところが条件をすべて厳しく当てると、残る会社が数社になったり、1社も出なくなったりします。0社になった時点で一覧そのものを諦めてしまうと、問い合わせる相手を自力で探し直すことになるでしょう。そこでここでは、候補が減りすぎたときに条件を戻す順番を3つ整理します。

候補が0社になったときに戻すのは、業務との関わりが薄い条件からで、専門分野は最後に残します。

戻す順番戻す条件影響
①最初所在地打ち合わせの形が変わる
②次認定資格の保持者数会社の規模が広がる
③最後専門分野業務の近さが薄れる

戻し方①所在地の条件を県から地方へ広げる

最初に戻すのは所在地です。都道府県で指定していた範囲を、隣接する県を含む地方の単位まで広げます。

所在地から戻すのは、この条件が業務の中身と関係しないためです。専門分野や認定資格の保持者数は、任せたい仕事をこなせるかどうかに関わりますが、拠点がどこにあるかは打ち合わせの進め方が変わるだけにあたります。移動の時間を1回あたり1時間まで許容できるなら、その範囲で広げれば候補は戻ります。

農業機械の販売会社では、整備の拠点が3県にまたがっていたため、本社所在地の1県で絞ったときに候補が二桁を割りかけました。隣接する県まで広げたところ、38社に戻っています。打ち合わせのうち初回と月次の2回だけを対面にすると決めたため、移動の負担は大きくなりませんでした。

オンラインで進められる打ち合わせがどれだけあるかを数えましょう。半分を超えるなら、所在地は最初から外してよい条件です。

戻し方②認定資格の保持者数の段階を1つ上げる

所在地を広げても候補が足りないときは、認定資格の保持者数の段階を1つ上げます。11〜50名で絞っていたなら、51〜100名まで含めます。

段階を上げるのは、規模の近さが業務の近さより優先度の低い条件だからです。規模をそろえるのは提案内容を比べやすくするためで、任せられるかどうかを決める条件ではありません。1つ上の段階まで含めても、相談したい内容から極端に離れた会社は増えません。

たとえば、この会社では11〜50名で12社まで減った段階で、上の段階も試しています。51〜100名を含めると18社になりましたが、増えた6社のうち4社は基幹システムの構築を中心にしており、比較の順番では後ろへ回すという判断でした。

2つ以上の段階をまたいで広げるのは避けましょう。認定資格の保持者が数百名の会社と数名の会社では、最小の契約の単位が違います。

戻し方③専門分野の選択を1つに減らす

最後に戻すのが専門分野です。複数の分野を選んでいたなら、もっとも近い1つだけを残します。

専門分野を最後に残すのは、この条件が業務の近さに直結するためです。分野を外すほど候補は増えますが、増えた会社は自社の業務と関わりの薄い実績を持つ会社になります。初回の説明にかかる時間が延び、問い合わせの数だけが増える結果になりかねません。

農業機械の販売会社は、製造と卸売の2つを選んでいました。候補が足りない場面では製造の1つに絞り、卸売を外しています。在庫と保守の履歴を扱う業務に近いのは製造の側だと判断したためで、外したあとも候補の顔ぶれは大きく変わりませんでした。

以上が、候補が減りすぎたときの3つの戻し方でした。

何が分かる?一覧に出る3つの数字の読み方

ここまで5つの条件で候補を十数社まで減らす手順を整理してきましたが、絞り込みが終わると、次に目に入るのは各社のページに並んでいる数字です。認定資格の保持者数、完了したプロジェクトの数、評価の件数の3つが並び、どれも大きいほどよい会社に見えてしまいます。ところが数字の意味を決めないまま読むと、順位表を眺めているのと変わらない読み方になるでしょう。そこでここでは、一覧に出る3つの数字が何を示しているのかを整理します。

一覧に出る数字は、会社の実力を順位として表したものではありません。一覧の数字が示すのはSalesforceパートナーの規模と経験の量までで、自社の案件に誰が付くかは含まれていません。

数字示すもの分からないこと
①認定資格の保持者数会社の規模製品別の内訳
②完了プロジェクト数経験の量製品別の件数
③評価の件数投稿した企業の数案件の総数

数字①認定資格の保持者数が示す会社の規模

1つ目は認定資格の保持者数です。各社のページに人数が表示され、数百名から数千名という規模の会社もあります。

この数字が会社の規模を示すのは、認定を維持している社員の総数だからです。認定資格は個人が取得して維持するもので、人数が多いほど、Salesforceの案件に関われる社員を多く抱えていることになります。一方で、この人数から分かるのは総数までで、そのうち何名が自社の案件に関わるかは示されません。

この農業機械の販売会社が問い合わせた3社のうち、1社は保持者数がもっとも多い会社でした。初回の面談で聞いたところ、担当として付くのは2名という回答で、社内の総数と案件の体制は別に決まることが分かっています。

保持者数は会社の規模を示す数字として読み、自社の案件に何名が付くかは問い合わせて別に確かめます。

数字②完了したプロジェクト数が示す経験の量

2つ目に挙げるのは完了したプロジェクトの数で、各社のページに件数が表示され、数百件という規模になっている会社もあります。

件数が経験の量を示すのは実際に納めた案件を積み上げた数字だからですが、この件数にも製品ごとの内訳はありません。Sales Cloudの導入も、Service Cloudの構築も、Agentforceの設定も、同じ完了したプロジェクトとして1件に数えられます。

先ほどの農業機械の販売会社では、件数の多い会社から順に問い合わせるかどうかを検討しました。件数の内訳が分からない以上、多いほうが近いとは判断できなかったため、最終的には件数ではなく専門分野の近さで順番を決めています。

完了した件数は、会社が案件を回してきた量として読みましょう。製品別の経験は、この数字からは分かりません。

数字③評価の件数が示す利用者の多さ

3つ目は評価の件数です。各社のページには、平均評価と投稿の件数が並びます。

件数が利用者の多さを示すのは、投稿した企業の数がそのまま数字になっているためです。ただし投稿は任意にあたるため、案件の総数と評価の件数は一致しません。件数が多い会社は、投稿を依頼する運用を持っている会社という読み方もできます。

農業機械の販売会社が見た12社では、評価の件数が2桁に届く会社と、1件も付いていない会社が混在していました。件数が0の会社にも、業界の専門分野が一致している会社が含まれており、そこは問い合わせの対象から外していません。

評価の件数は投稿の運用の差も含んだ数字として読み、0件を実績なしとは判断しません。

以上が、一覧に出る3つの数字の読み方でした。

Agentforceの実績が一覧から読めない3つの理由

数字の読み方を整理すると、一覧から読み取れる範囲にはっきりとした限界があることが見えてきます。ここまで一覧の使い方を中心に扱ってきましたが、そもそもAgentforceに絞った実績は、この一覧から読み取れません。そこでここでは、Agentforceの実績が一覧から読み取れない理由を3つに分けて整理します。

読み取れない原因は、掲載されている情報の量にあるのではありません。AppExchangeの一覧はSalesforce全体が対象で、製品を限定した実績を取り出す作りになっていません。

理由一覧に出るもの出ないもの
①専門分野の区分Einstein系の区分Agentforceの区分
②認定資格の保持者数全認定の合計製品別の人数
③完了プロジェクト数全案件の合計製品別の件数

理由①専門分野にAgentforceの区分がないから

1つ目の理由は、絞り込みの製品分野にAgentforceの選択肢が用意されていないからです。2026年9月時点で並んでいるのは、Sales Cloud、Service Cloud、Data Cloud、Einstein、Einstein Generative AI、Marketing Cloud、Slack、Tableauといった分野になります。

※参考記事はこちら

選択肢がないと何が起きるかというと、Agentforceを扱える会社と扱えない会社が同じ検索結果に混ざったままになります。Einstein Generative AIを選んでも、それはAgentforce以前の生成AIの機能を含む区分にあたるため、絞り込んだ結果とAgentforceの実績は一致しません。

この農業機械の販売会社も、絞り込みの選択肢を探すところで時間を使いました。見つからないまま近い分野を選び、絞った結果は順番を決める材料として扱い、実績の有無は問い合わせて聞くほかありませんでした。

逆にいえば、Einstein Generative AIを選んで残った会社にAgentforceの実績があるかどうかは、この画面からは決められません。判断できるのは、生成AIの分野を扱っていると各社が申告しているところまでです。

理由②認定資格の保持者数が会社全体の人数だから

2つ目に挙げる理由は、認定資格の保持者数が会社全体の合計だからです。この人数には、Salesforceのすべての認定資格が合算されています。

合算されていると何が困るかというと、Agentforceを扱える担当者の人数が分からないままになります。認定資格の保持者が数百名いる会社でも、Agentforce関連の認定を持つ担当者が数名という場合があり、その数名が別の案件に入っていれば、自社の案件には関われません。人数の多さは、担当者を確保できることの保証にはならないわけです。

農業機械の販売会社が問い合わせた3社では、Agentforceの案件を担当した経験がある社員の人数を聞いています。回答は3社とも一桁で、一覧に出ていた保持者数とは桁が2つ違う会社もありました。

保持者数からAgentforceの体制は読めないため、案件に入れる人数は問い合わせのときに直接聞きます。

理由③完了したプロジェクト数に製品の内訳がないから

3つ目の理由は、完了したプロジェクトの数に製品ごとの内訳がなく、件数がすべての案件を合算した数字で表示されるからです。

内訳がないと、件数の多い会社がAgentforceの案件を多く扱っているのかどうかを判断できません。Agentforceは提供が始まってからの期間が短く、各社が積み上げてきた件数の大半は、それ以前の製品の案件にあたります。件数で並べ替えても、上位に来るのはSalesforceを長く扱ってきた会社ということになります。

農業機械の販売会社では件数の順に3社を選ぶ案も検討されましたが、採用しなかったのは、Agentforceを扱った案件がその中に何件含まれるのかを一覧からは確かめられなかったためです。Agentforce導入支援会社をタイプ別に整理した記事でも、公開情報だけでは判断が付かない点を扱っています。

件数は会社が案件を重ねてきた年数の反映として読み、製品別の経験は問い合わせで確かめる項目に回します。

以上が、Agentforceの実績が一覧から読めない3つの理由でした。

何を聞く?Agentforceの任せ先に確かめる質問4選

一覧から読めない範囲がはっきりすると、次に決めるのは何を聞くかという点になります。問い合わせのフォームに書ける分量は限られているため、聞く内容を先に決めておかないと、回答を比べられません。3社に別々の質問を送ってしまうと、返ってきた差が会社の違いなのか質問の違いなのかを切り分けられなくなるでしょう。そこでここでは、Agentforceの任せ先に確かめる質問を4つに絞って整理します。

質問の数を増やすほど回答が比べやすくなるわけではありません。Agentforceの任せ先には、同じ4つの質問を同じ文面で複数社へ送ると、回答の差がそのまま比較の材料になります。

質問聞くこと分かること
①最初の業務一緒に決めてもらえるか業務設計の有無
②引き取り社内の担当へ渡すまで見るか支援の終わり方
③営業の業務どこまで知っているか業務理解の深さ
④測り方試した結果を何で測るか成果の基準

質問①最初に任せる業務を一緒に決めてもらえるか

1つ目に聞くのは、最初に任せる業務を一緒に決めてもらえるかどうかです。この質問で、業務の設計を引き受ける会社かどうかが分かれます。

この質問が効くのは、Agentforceの立ち上げでは設定よりも先に、どの業務を任せるかを決める工程があるためです。任せる業務が決まっていれば設定は進みますが、決まっていない状態で設定から入ると、動くエージェントはできても使われません。業務を決める工程を依頼できるかどうかで、社内に必要な体制が変わります。

この農業機械の販売会社が3社へ送ったところ、回答は分かれました。1社は業務の一覧を提出してもらえれば設定するという内容で、1社は現場へのヒアリングから始めるという内容、もう1社は候補となる業務の絞り込み方を資料で示してきています。

回答が、業務を決めてから連絡してほしいという内容なら、その工程は自社で持つことになります。自社でやる範囲と頼む範囲の切り分けは別の記事で扱っており、社内に決められる担当がいるかどうかで、選ぶ会社が変わります。

質問②社内の担当が引き取るまで見てもらえるか

2つ目に確かめるのは、社内の担当が運用を引き取るまで支援が続くかどうかで、支援の終わり方は契約の前に聞いておきます。

終わり方を先に聞くのは、Agentforceが公開して終わりの仕組みではないためです。回答の内容や任せる範囲は、使いながら直し続けることになります。誰がその修正を担うのかが決まっていないと、支援が終わった時点で修正が止まり、使われない状態に戻ります。

農業機械の販売会社では、情報システムの2名が兼務で運用を引き取る前提でした。3社へ送った質問のうち、この項目でもっとも回答の差が出ており、引き取りの手順を書面で示した会社は1社だけだったという結果です。

社内の誰が何を引き取るかは、AIの運用の役割分担で3つの役割に分けて整理しています。引き取りの時期と手順を回答に含めてもらい、書面で出せるかどうかで準備の有無を判断します。

質問③営業の業務をどこまで知っているか

3つ目は、営業の業務をどこまで知っているかという質問です。任せたい業務が営業の周辺にあるなら、この質問の優先度は上がります。

業務の理解を聞くのは、Agentforceに任せる内容が、画面の操作ではなく仕事の順番だからです。商談の前に何を調べ、どの情報を見てから訪問するのかという流れを知らないまま設定すると、出てくる回答が現場の手順と合いません。Salesforceの設定に詳しいことと、営業の仕事を知っていることは別の能力にあたります。任せてよい仕事の見極め方は、営業AIエージェントの記事で整理しています。

農業機械の販売会社が任せたかったのは、商談の前に過去の整備履歴と見積の経緯を引く作業でした。営業22名が1件あたり18分をこの準備に使っており、月240件で72時間になります。3社への質問では、この業務の流れを説明したうえで、似た業務を扱った経験があるかを聞いています。

任せたい業務を具体的に書いてから聞かないと、どの会社も対応できますという回答が返ってきます。

質問④試した結果を何で測るか

4つ目に聞くのは試した結果を何で測るかという質問で、成果の測り方を始める前に決められる会社かどうかが分かります。

測り方を先に聞くのは、Agentforceの導入が動いたかどうかで判断されやすいためです。エージェントが回答を返すようになった時点を完了とすると、業務が変わったかどうかは確かめられません。何の数字がどれだけ動けば成功なのかを、始める前に決めておく必要があります。

この農業機械の販売会社では、商談前の準備にかかる時間を指標にしました。1件18分という導入前の数字を先に測り、3か月後に比べる形にしています。3社のうち2社は指標の候補を提示し、1社は稼働後に相談しましょうという回答でした。

測る対象と時期を提案の中に書いてもらえるかどうかで、立ち上げ後の進め方が見えます。

以上が、Agentforceの任せ先に確かめる質問4選でした。

回答のどこを重く見る?条件別5パターン

ここまで4つの質問を整理してきましたが、回答が返ってきても、どの回答を重く見るかは自社の状況で変わります。同じ回答でも、社内に設定できる担当がいる会社と、いない会社では評価が逆になるでしょう。読者の状況は、支援の終わり方をもっとも気にする場合から、設計への助言だけを頼みたい場合まで幅があり、条件別の選び方をタイプ別に整理した記事にも同じ考え方がまとまっています。そこでここでは、読者の状況を5つのパターンに分けて、Agentforceの任せ先の選び方を整理します。

重く見るべき項目は、会社の規模や契約期間の長さからは決まりません。Agentforceの任せ先を選ぶときにどの回答を重く見るかは、自社に足りていない工程がどこかで決まります。

パターン重く見る質問見るポイント
①定着まで支援質問②引き取りの手順
②小さく始める質問①④最小の契約単位
③業務設計から質問①設計工程の有無
④設計への助言のみ契約の形工数単位の契約
⑤営業に特化質問③営業工程の説明

パターン①定着まで伴走してほしい場合

1つ目は定着まで伴走してほしい場合で、設定が終わった後に使われなくなる状態を避けたい読者が当てはまります。

この場合に重く見るのは、質問②の回答にあたります。支援の終わり方を書面で示せる会社は、引き取りまでを工程として設計しているため、途中で修正が止まりません。契約の期間だけを見ると長い会社が有利に見えますが、期間の長さと引き取りの設計は別の項目になります。

この農業機械の販売会社も、情報システムが2名という体制から、この項目をもっとも重く見ました。引き取りの手順を書面で出した1社が、最終的な候補として残っています。

契約期間の長さより引き取りの手順を比べると、終わり方から逆算して進める会社が見分けられます。

パターン②小さく始めたい場合

2つ目に挙げるのは小さく始めたい場合で、1つのユースケースをスモールスタートで試し、社内の判断材料をそろえたい読者が当てはまります。

この場合に効くのは質問①と質問④の組み合わせで、最初の業務を一緒に決められる会社であれば、対象を1つに絞る提案が出てきます。加えて測り方を先に決められれば、3か月後に続けるかどうかを数字で判断できます。規模の大きい会社が不利になるわけではありませんが、最小の単位で受けられるかどうかは問い合わせで確かめる項目です。

農業機械の販売会社は、商談前の準備という1つの業務に絞って3か月で試す形を選び、営業22名のうちまず4名で使うところから始めています。

最小の契約単位を聞き、1業務・3か月で受けられるかどうかで始めやすさを判断します。

パターン③ツール設定ではなく業務設計から入ってほしい場合

3つ目は、ツール設定ではなく業務設計から入ってほしい場合です。社内で任せる業務を決めきれていない読者が、ここに当てはまります。

この場合の判断材料は、質問①の回答にはっきり出ます。業務の一覧を提出してほしいという回答であれば、設計の工程は契約に含まれていません。現場へのヒアリングから始めるという回答であれば、業務を決める工程から引き受ける会社にあたるでしょう。どちらが優れているかという話ではありませんから、自社が持てる工程で選び分けます。

農業機械の販売会社では、任せたい業務の候補が社内に7つ挙がっていました。どれから始めるかを決めきれずにいたため、絞り込み方を資料で示した会社の評価が上がっています。

自社で業務を決められるかどうかを先に確かめると、設計の工程を契約に含めるかが決まります。含めない契約を選んだ場合は、候補の絞り込みに社内の時間を先に使うことになります。

パターン④自社で構築するので設計レビュー・アドバイザリーだけ頼みたい場合

4つ目は、自社で構築するので設計レビュー・アドバイザリーだけ頼みたい場合です。社内に認定資格の保持者がいて、設定は自分たちで進められる読者が当てはまります。

この場合に見るのは、契約の形が工数の単位で用意されているかどうかです。設定作業を含まない契約は、月あたりの時間や回数で区切られることが多く、すべての会社が用意しているわけではありません。問い合わせの段階で、レビューだけの依頼を受けられるかを聞いておくと、提案の形が変わります。

たとえば、この農業機械の販売会社では、Sales Cloudの日常的な設定変更を情報システムの2名が自分たちで行っていました。Agentforceでも同じ体制を目指していたため、レビューだけを頼む形を選択肢に入れて問い合わせています。

設定作業を含まない契約を用意している会社は限られるため、問い合わせの段階で確かめておきます。用意がない会社に頼む場合は設定作業まで含んだ契約になり、社内の2名が担う範囲と重なります。

パターン⑤ソリューション営業に特化した支援がほしい場合

5つ目は、ソリューション営業に特化した支援がほしい場合です。任せたい業務が商談の準備や提案の作成にある読者が、ここに当てはまります。

この場合の判断材料は、質問③の回答にあたります。営業の仕事の順番を知っている会社であれば、商談の前に何を調べているのかという説明が短く済むでしょう。実績の説明に営業の工程が出てくるか、画面の設定の話だけで終わるかを、回答の中身で見分けます。

この農業機械の販売会社が3社へ送った質問でも、営業22名の準備作業を説明したうえで、似た業務を扱った経験を聞いていました。回答の長さと具体性に差が出たのが、この項目だったという結果です。

クロスコムでも、ソリューション営業の業務プロセスに絞ってAgentforceの導入と定着を支援しています。定着まで伴走してほしい場合や、小さく始めたい場合、ソリューション営業に特化した支援がほしい場合は、Agentforce導入・定着支援で無料相談も受け付けていますので、お気軽にご相談ください。

以上が、条件別5パターンのAgentforceの任せ先の選び方でした。

一覧の数字を読み違える3つの誤解

条件別の選び方を整理してきましたが、一覧を見ながら判断するときに、読み違えやすい点がいくつかあります。どれも一覧の数字を素直に読んだ結果として起きるもので、注意していないと候補の順番が入れ替わってしまうでしょう。そこでここでは、パートナー選びでよくある誤解を3つ整理します。

3つの誤解は、読み手の注意が足りないために起きるものではありません。誤解はどれも、Salesforce全体の数字をAgentforceの数字として読んだときに起きます。

誤解①保持者数の多さがAgentforceの実績を表す

1つ目は、認定資格の保持者数が多い会社ほど、Agentforceの実績も多いという読み方です。一覧で目に入りやすい数字のため、規模と実績が比例しているように見えます。

この読み方が外れるのは、認定資格の種類が製品ごとに分かれているからです。保持者数は全種類の合計で表示されており、内訳は一覧に出ません。Salesforceを長く扱ってきた会社ほど総数は積み上がりますが、その大半はAgentforce以前の製品の認定になります。

農業機械の販売会社が問い合わせた3社のうち、一覧の保持者数がもっとも多かった会社は、Agentforceの案件を担当した社員の人数では3社の中で最も少ない会社でした。保持者数の順に並べた候補の順番は、聞き取りのあとで入れ替わっています。

認定資格の総数ではなく製品別の担当者数を聞かないと、一覧の数字だけでは判断が付きません。

誤解②評価が高ければ定着まで見てもらえる

2つ目に挙げるのは、評価の高い会社であれば導入後の定着まで見てもらえるという読み方で、星の数は分かりやすい指標に見えます。

この読み方に無理があるのは、評価が投稿された時点の案件を対象にしているためです。投稿の多くは構築が終わった時点で書かれており、その後に使われ続けたかどうかまでは反映されません。定着まで支援が続くかどうかは、契約の範囲の問題にあたるため、評価より質問②の回答で確かめる項目になります。

農業機械の販売会社が見た12社のうち、評価の高かった会社にも引き取りの手順を書面で出せない会社が含まれており、星の数と支援の範囲は同じ順番には並びませんでした。

評価は過去の案件の満足度として読み、支援がどこまで続くかは契約の範囲で確かめます。

誤解③一覧の上位が自社に合う会社である

3つ目は、一覧の上位に出てくる会社が自社に合う会社だという読み方です。並び順がそのまま優先度のように見えます。

この読み方が成り立たないのは、一覧の並び順が選べるようになっているからです。AppExchangeの一覧には並び替えの基準が3種類あり、既定では直近30日間の人気で並びます。ほかに評価順と認定資格の保持者数順が選べますが、いずれも自社との相性を反映した順番ではありません。

※参考記事はこちら

農業機械の販売会社でも最初は上から順に開いており、2週間が過ぎても候補が決まらなかったのは、並び順の意味を確かめないまま読み進めていたためです。並び替えの基準を確認してからは、条件で絞ってから順番を決める進め方に切り替えています。

既定の並びのまま上から開いているかどうかで、候補の順番が自社の条件と関係のないものになっていないかが分かります。

以上が、パートナー選びでよくある3つの誤解でした。

紹介で出てきた会社を見るときの3つの確認

ここまでは一覧から探す前提で整理してきましたが、実際には取引先や既存のベンダーから会社を紹介される場面も少なくありません。紹介の場合は一覧の絞り込みを通っていないため、確かめる順番が変わってきます。紹介者との関係があるぶん断りにくく、比較の対象に入れるかどうかを決めないまま面談だけが進んでしまうことも起こりがちです。そこでここでは、紹介で出てきた会社を見るときの確認を3つ整理します。

紹介を受けた会社だから条件を確かめなくてよい、という判断にはなりません。紹介で出てきた会社は一覧の絞り込みを通っていないため、条件の確認を自分で行う必要があります。

確認①一覧に掲載があるか

最初に確かめるのは、その会社がAppExchangeの一覧に掲載されているかどうかです。掲載の有無は、コンサルティングパートナーとして登録されているかを示します。

掲載を確かめるのは区分を判定する材料になるからで、掲載がある会社であれば、認定資格の保持者数や完了したプロジェクトの数を、ほかの候補と同じ形で比べられます。掲載がない場合でも作業を請け負えないわけではありませんが、比較の材料が紹介者の説明だけになるため、確かめる項目が増えます。

この農業機械の販売会社では、取引のある会計システムの販売会社から1社を紹介されていました。一覧で名称を探したところ掲載がなく、ほかの候補と同じ条件で比べる材料がそろわないと判断しています。

紹介を受けたら、まず一覧で名称を探し、掲載の有無で確かめる項目の数を決めます。

確認②紹介された理由が自社の業務と合うか

次に確かめるのは紹介された理由で、紹介者がどの案件を見てその会社を挙げたのかを聞きます。

理由を聞くのは、紹介が紹介者の経験にもとづいているためです。会計システムの導入で良い印象を持った会社が、Agentforceの案件でも同じように進められるとは限りません。紹介者が見たのがどの製品のどの工程だったのかを確かめると、自社の相談と重なる部分がどれだけあるかが分かります。

農業機械の販売会社では、紹介の理由が、会計システムの入れ替えで期日どおりに納めたという内容でした。Agentforceで頼みたいのは業務を決める工程からの支援にあたるため、評価された点と相談したい内容が重なっていません。

紹介の理由は、製品名と工程まで聞きましょう。紹介者が評価した点と自社が頼みたい工程が重なれば、そのまま候補に入れられます。

確認③Salesforceの契約とは別に費用がかかるか

3つ目に確かめるのは費用の構造で、ライセンスの費用と設定や支援の費用が別に発生するのかを聞きます。

費用の構造を確かめるのは、紹介の経路によって契約の形が変わるためです。ライセンスの販売を通して関わる会社と、作業だけを請け負う会社では、見積の出方が違います。どちらであっても問題はありませんが、社内の稟議では合計の金額と内訳の両方が必要になるため、早い段階で聞いておくほうが進みます。

農業機械の販売会社の稟議では、窓口が分かれる場合の内訳が論点になりました。ライセンスの契約先と作業の委託先が別になると、稟議の書類が2本に分かれるためです。

費用の内訳を契約の相手ごとに分けて聞いておくと、稟議に必要な書類の数が先に決まります。

以上が、紹介で出てきた会社を見るときの3つの確認でした。

同じ材料と同じ質問で3社を比べる3ステップ

確認の項目がそろったところで、最後に残るのは候補を1社に決める工程です。ここまでの内容を並べると、やることが多いように見えますが、実際に動かす手順は3つに整理できます。区分を決め、条件で絞り、聞く内容を決めるところまでを終えていれば、残っているのは同じ条件で比べる場をつくる作業だけです。社内の稟議に出す材料も、この工程を進めるあいだに同時にそろっていきます。そこでここでは、候補を1社に決めるまでの進め方を3つのステップで整理します。

決め手になるのは、提案書の見た目や資料の分量ではありません。Agentforceの任せ先を1社に決めるときは、同じ材料と同じ質問を3社へ送ると、進め方の差が見えます。

ステップ①3社に同じ材料を渡す

はじめに行うのは、候補として残った会社へ同じ材料を渡すことです。渡す材料をそろえておくと、返ってくる提案の前提が一致します。

材料をそろえるのは、提案の差が材料の差にならないようにするためです。1社にだけ詳しい業務の説明を渡すと、その会社の提案だけが具体的になります。

3社へ渡す材料 ①任せたい業務の説明・・・どの作業をどの順番で行っているかを書きます ②使っている製品と運用年数・・・Sales Cloudを4年といった形で書きます ③運用を引き取る担当の体制・・・情報システムの2名が兼務だと書きます

農業機械の販売会社は、3社へ同じ文面を送るためにこの3つを1通にまとめ、以降の問い合わせでも同じ文面を使っています。

逆に、面談の場で口頭だけ説明すると、会社ごとに伝わった内容が変わり、提案の差がどこから生まれたのかが分からなくなります。

ステップ②同じ質問を投げて答えを比べる

材料を渡したうえで行うのが4つの質問への回答を集めることで、質問の順番も文面も変えずに送ります。

同じ文面で送るのは、回答の違いが会社の進め方の違いだと確かめるためです。聞き方を変えると、返ってきた差が質問の差なのか会社の差なのかが分からなくなります。回答は書面でもらうと、社内で共有するときに解釈がぶれません。

農業機械の販売会社では、3社の回答を1枚の表に並べ、もっとも差が出たのは引き取りの手順にあたる項目でした。書面で手順を示したのは1社だけで、残る2社は面談での口頭の説明にとどまっています。

回答を表に並べると、どの項目で差が出たのかを社内の稟議にそのまま持ち込めます。文章のまま読み比べた場合は、読んだ人ごとに印象が変わり、比較の結論を共有できません。

ステップ③最初の1業務で試す範囲を決める

最後に決めるのは最初に試す業務の範囲で、契約の前に対象の業務と期間と測る数字を確定させます。

範囲を先に決めるのは試した結果を判断に使うためで、対象が広いまま始めると、どこまで進んだのかが分からず、続けるかどうかの判断ができません。業務を1つに絞り、期間を区切り、比べる数字を決めておけば、終わった時点で次の判断ができます。

当初の目的は「商談の前に、過去の整備履歴と見積の経緯を引く時間を減らすこと」でしたが、農業機械の販売会社では営業4名・3か月という範囲で試し、1件18分だった準備時間が7分になりました。

1件あたり11分の短縮にあたり、営業22名・月240件の規模に広げると月44時間になります。最初の1業務を3か月で試す形から始めれば、次の判断も数字で進められます。

以上が、候補を1社に決めるまでの3ステップでした。

【一問一答】Salesforceパートナーに関するよくある質問

ここまで、Salesforceパートナーの区分から候補を1社に決めるまでの進め方を整理してきました。問い合わせの直前になると、そもそもパートナーとは何を指すのか、一覧はどこで見るのか、順位はあるのかといった基本の疑問が戻ってくることがあります。社内で進め方を説明するときにも、この種の質問から先に聞かれることが多く、手元で答えられるようにしておくと稟議が速く進むでしょう。最後に、問い合わせの前に迷いやすい点を5つの質問にまとめます。

質問①Salesforceパートナーとはどんな会社ですか?

Salesforceの製品を扱う契約をSalesforceと結んでいる会社を指します。役割で区分が分かれており、導入と設定を支援するコンサルティングパートナー、アプリを提供するAppExchangeパートナー、ライセンスを販売する再販パートナーがあります。この記事の例に挙げた農業機械の販売会社も、4年前のSales Cloudの導入はコンサルティングパートナーへ依頼していました。

質問②Salesforceパートナーの一覧はどこで見られますか?

AppExchangeの日本語サイトにコンサルティングパートナーの一覧が公開されており、2026年9月時点で317社が掲載されています。国と都道府県、製品分野、業界、認定資格の保持者数、評価の5つの条件で絞り込みができます。この記事の例に挙げた農業機械の販売会社は、所在地と保持者数の2つを使って317社を12社まで減らしました。

質問③Salesforceパートナーに順位や格付けはありますか?

一覧には並び替えの基準が3種類あり、直近30日間の人気、評価、認定資格の保持者数から選べます。ただしこれは並び順であって、自社との相性を示す順位ではありません。上位に出た会社が自社に合うとは限らないため、条件で絞ってから問い合わせる順番を決めるほうが判断しやすくなります。

質問④SalesforceパートナーならAgentforceも任せられますか?

コンサルティングパートナーであっても、Agentforceの案件を扱った経験があるとは限りません。一覧の製品分野にAgentforceという選択肢がなく、認定資格の保持者数にも製品ごとの内訳がないため、実績は問い合わせて確かめることになります。この記事の例では、4年前にSales Cloudの導入を依頼した会社から、Agentforceの実績はまだないという回答がありました。

質問⑤Salesforceパートナーに頼まず自社だけで導入できますか?

社内に設定できる担当者がいて、任せる業務も決まっているなら、自社だけで進められます。判断の目安になるのは、業務の順番を決め直す工程を社内で持てるかどうかです。設定はできても業務の設計が進まない場合は、設計レビューだけを依頼する形もあります。この記事の例に挙げた会社は、情報システム2名が兼務という体制から、立ち上げの3か月だけ外部に頼む形を選びました。

Salesforceパートナーは、一覧で絞った後の確かめ方で決まる

Salesforceパートナーの一覧は、候補の母数を減らすための道具であって、任せられる相手を判定する道具ではありません。本記事では、一覧から任せ先を絞る5つの手順から、絞り込みに使える5つの条件、候補が減りすぎたときの戻し方、掲載されている数字の読み方、Agentforceの実績が読み取れない理由、任せ先に確かめる4つの質問、そして候補を1社に決めるまでの進め方までを整理してきました。

一覧で絞るところまでは、条件を決めれば機械的に進みます。時間がかかるのはその後で、同じ材料を渡し、同じ質問を投げ、返ってきた回答を並べる工程にあたります。例に挙げた農業機械の販売会社では、317社から12社へ絞ったうえで3社へ同じ質問を送り、1件18分だった商談前の準備が7分まで短くなりました。

この記事で紹介した進め方を、ぜひ自社の状況に合わせて実践し、少しでもお役に立てれば幸いです。