【2026年最新】Agentforceの機能一覧|360・Coworker・Voiceまで

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Agentforceの名前は聞くものの、具体的に何ができるのか、機能の全体像がつかめないという方は多いのではないでしょうか。Agentforceとは、Salesforce上でAIエージェントを構築・運用し、営業やサービスの業務を自律的に実行させるプラットフォームです。2024年10月の登場以降、約1年で4回のメジャーアップデートを重ね、2025年10月には統合ブランド「Agentforce 360」へと再構築されました。

そこで本記事では、Agentforceでできる主要機能から、標準提供されるAIエージェント、Agentforce 360の構成、新しく加わったVoiceやCoworkerまでを2026年8月時点の公式情報にもとづいて整理します。

目次
  1. Agentforceでできる主要機能7選
    1. 機能①会話型でエージェントを設計するAgentforce Builder
    2. 機能②推論と計画を担う推論エンジン「アトラス」
    3. 機能③社内データを参照して回答するデータライブラリ
    4. 機能④複数エージェントを協調させるマルチエージェントオーケストレーション
    5. 機能⑤エージェントを大規模検証するテストセンター
    6. 機能⑥安全性を担保するEinstein Trust Layer
    7. 機能⑦稼働を監視するAgentforce Observability
  2. Agentforceが標準提供する4つのAIエージェント
    1. エージェント①サービス対応のService Agent
    2. エージェント②商談を創出するSDR Agent
    3. エージェント③営業を鍛えるSales Coach
    4. エージェント④EC運用を担うCommerce系エージェント
  3. Agentforce 360を構成する4つの層
    1. 層①エージェント基盤のAgentforce 360 Platform
    2. 層②統合データ層のData 360
    3. 層③業務アプリのCustomer 360 Apps
    4. 層④会話の面となるSlack
  4. Agentforceが360に至るまでの4世代の進化
    1. 世代①2024年10月に登場した初代Agentforce
    2. 世代②2024年12月のAgentforce 2で推論と連携を強化
    3. 世代③2025年前半のアップデートで業務埋め込みと観測性を追加
    4. 世代④2025年10月のAgentforce 360で統合基盤へ
  5. 音声対応を実現するAgentforce Voiceの機能
    1. 機能①電話やWebで音声応対する仕組み
    2. 機能②CRMを更新しケースを起票する自律動作
    3. 機能③日本語GAと対応言語の状況
  6. 【2026年8月登場】検索から実行まで担うAgentforce Coworkerとは
    1. 特徴①多数のソースを横断して回答する仕組み
    2. 特徴②フロー起動やレコード更新まで実行する範囲
    3. 特徴③現在はベータで提供される段階
  7. Agentforceの機能を使うために必要な3つの前提
    1. 前提①Enterprise Edition以上のエディション
    2. 前提②Flex CreditsまたはConversationsの課金設定
    3. 前提③データ基盤となるData 360の準備
  8. Agentforceの導入成果を示す4つの数字
    1. 数字①前年比330%増というARRの成長
    2. 数字②18,500件を超える導入実績
    3. 数字③サポートケースの46%を自動対応した事例
    4. 数字④応答時間を84%短縮した事例
  9. 【一問一答】Agentforceの機能に関するよくある質問
    1. 質問①Agentforce 360と無印のAgentforceは何が違うのか
    2. 質問②Agentforce Coworkerはもう使えるのか
    3. 質問③Agentforce Voiceは日本語に対応しているのか
    4. 質問④Agentforceの機能にData 360は必須なのか
    5. 質問⑤Agentforceの機能はどの料金で使えるのか
  10. Agentforceは機能の集合ではなく人とAIが協働する統合基盤である
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本田正憲

合同会社クロスコムの代表|専門商社にて7年間のBtoB営業を経て、マーケティング業界に参入。現在はSalesforce公式コンサルティングパートナーとして、ソリューション営業の業務プロセスに特化したAgentforce導入・定着支援を提供している。

Agentforceでできる主要機能7選

Agentforceでできる主要機能7選

まずは、Agentforceでできる主要な機能を整理します。今回は、Salesforceを導入済みの中堅BtoB企業を例に考えていきます。この企業は従業員が300名おり、情報システム部の担当者が、社内展開に向けてAgentforceの機能を評価している段階でした。機能は多岐にわたりますが、エージェントを「作る・考えさせる・守る・監視する」という流れで捉えると整理しやすくなります。ここでは、その中心となる7つの機能を解説します。

機能①会話型でエージェントを設計するAgentforce Builder

1つ目の機能は、会話型でAIエージェントを設計できるAgentforce Builderです。

なぜこの機能が中心になるかというと、エージェントの構築には本来プログラミングが必要ですが、Agentforce Builderは設定画面でエージェントの役割やできることを定義できるからです。ドキュメント・キャンバス・スクリプトの各ビューを切り替えながら、ワンクリックでシミュレーションし、リアルタイムでデバッグできます。

たとえば、先ほどの中堅IT企業では、問い合わせ対応のエージェントを試作する際、画面上でトピックとアクションを設定し、その場で動作を確認していたそうです。作ったエージェントはポータブルなJSONにコンパイルされるため、環境をまたいで持ち運びやすいのも特徴でした。

Agentforce Builderは、専門的な開発をせずにエージェントを設計・テストできる機能です。

機能②推論と計画を担う推論エンジン「アトラス」

2つ目の機能は、エージェントの推論と計画を担う推論エンジン「アトラス」です。

これは、与えられた目標をどう達成するかをエージェントが考える中枢にあたります。Agentforce 360では「ハイブリッド推論」が導入され、決定論的な処理とLLMによる推論を組み合わせ、設定によって使い分けられるようになりました。

たとえば、定型的で確実に同じ結果を出したい処理は決定論的に、状況に応じた柔軟な判断が要る処理はLLMの推論に、というように振り分けられます。同じエージェントの中でも、場面ごとに適した考え方を選べる仕組みです。

推論エンジン「アトラス」は、エージェントが自律的に手順を組み立てる中枢となる機能です。

機能③社内データを参照して回答するデータライブラリ

3つ目の機能は、社内データを参照して回答を組み立てるAgentforceデータライブラリです。

なぜ必要かというと、AIエージェントが自社の文脈に合った回答を返すには、社内のナレッジやドキュメントを検索して根拠にする必要があるからです。ナレッジ記事・PDF・アップロードしたファイル・Web検索・カスタムリトリーバーなどを、RAGと呼ばれる仕組みでインデックス化し、回答の根拠にします。

たとえば、先ほどの企業では、製品マニュアルや過去の問い合わせ対応の記録をData Libraryに取り込み、エージェントがそれらを参照して回答するように設定していました。この機能はData 360の上に構築され、検索インデックスやリトリーバーが自動で生成されます。旧称はEinsteinデータライブラリです。

データライブラリは、エージェントの回答を自社のデータに基づかせる機能です。

機能④複数エージェントを協調させるマルチエージェントオーケストレーション

4つ目の機能は、複数のエージェントを協調させるマルチエージェントオーケストレーションです。

業務が複雑になるほどこの機能が効いてくるのは、一つのエージェントで完結しない課題が役割の違うエージェントが連携して解くほうが確実だからです。目標に応じて、どのエージェントをどの順番で動かすかを調整し、全体として一つの成果にまとめます。

たとえば、問い合わせ対応のエージェントが、在庫を確認するエージェントや見積もりを作るエージェントを呼び出し、最後に担当者へ引き継ぐ、といった連携が組めます。業務が複数の作業をまたぐほど、この協調の仕組みが効いてきます。

マルチエージェントオーケストレーションは、複数のエージェントを束ねて目標を達成させる機能です。

機能⑤エージェントを大規模検証するテストセンター

5つ目の機能は、エージェントを大規模に検証するAgentforceテストセンターです。

自律的に動くエージェントを、いきなり本番に出せるでしょうか。想定外の質問にどう答えるか分からないまま公開するのは危険です。そこで、本番前に多様なパターンで挙動を確かめるのがこの機能です。合成データとData 360(旧:Data Cloud)のサンドボックスを使い、想定される会話を大量に流して動作を検証します。

たとえば、先ほどの企業では、問い合わせ対応エージェントを公開する前に、実際に来そうな質問のバリエーションをまとめて流し、意図どおりに答えるかを確認していたそうです。監査証跡や発話の分析も残るため、どこで想定と違う動きをしたかを後から追えます。2024年11月に発表された機能です。

テストセンターは、エージェントを本番前に大規模に検証する機能です。

機能⑥安全性を担保するEinstein Trust Layer

6つ目の機能は、安全性を担保するEinstein Trust Layer(アインシュタイン・トラストレイヤー)です。

AIエージェントが社内データを扱う以上、情報の保護と応答の安全性は、担当者の注意ではなく仕組みで確保する必要があります。その仕組みにあたるのがこの機能です。プロンプトやレスポンスのデータマスキング、ゼロデータ保持、有害な出力の検出、監査証跡といった保護を提供します。

たとえば、顧客の個人情報がプロンプトに含まれる場合でも、マスキングによって外部のモデルへそのまま渡らないよう制御されます。やり取りの記録が監査証跡として残るため、あとから検証もできます。

Einstein Trust Layerは、Agentforceのすべてのやり取りに適用されるセキュリティの基盤となる機能です。

機能⑦稼働を監視するAgentforce Observability

7つ目の機能は、エージェントの稼働を監視するAgentforce Observability(オブザーバビリティ)です。

エージェントは公開してからが本番であり、期待どおりに動いているかは継続して観察しなければ分かりません。Agentforce Observabilityなら、推論の内容・精度・コンプライアンスの状況を、ダッシュボードで監視できます。

たとえば、先ほどの企業では、公開後のエージェントがどの質問でつまずいているかをダッシュボードで確認し、精度が落ちている箇所を見つけて改善につなげていました。Agentforce Command Centerと呼ばれる管理画面から、全体の状況を一覧できます。

Observabilityによって、エージェントは公開したら終わりという状態から、運用しながら改善を続けられる状態へと変わります。

Agentforceが標準提供する4つのAIエージェント

Agentforceが標準提供する4つのAIエージェント

前章では、エージェントを作り・動かすための機能を整理しました。Agentforceには、こうした機能で一から作らなくても、業務に合わせて使える標準のAIエージェントが用意されています。ここでは、代表的な4つのエージェントを解説します。

エージェント①サービス対応のService Agent

1つ目は、サービス対応を担うService Agentです。

顧客からの質問に対し、社内データを参照しながら自律的に回答します。あらかじめ細かくシナリオを作り込まなくても、幅広い問い合わせに対応できるよう設計されている点が特徴です。顧客からの質問に対し、社内データを参照しながら自律的に回答します。

たとえば、先ほどの中堅IT企業では、製品の使い方や納期に関する定型的な問い合わせを、Service Agentが一次対応し、判断に迷う内容だけを担当者へ引き継ぐ形を検討していました。従来のチャットボットが決まった回答しか返せなかったのに対し、状況に応じて回答を組み立てる点が違います。

Service Agentについては、ほか記事「Agentforce Service Agentとは?チャットボットとの違いと導入設計について」で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてもらえると嬉しいです。

エージェント②商談を創出するSDR Agent

2つ目は、商談を創出するSDR Agentです。

深夜にWebサイトから届いた問い合わせに、翌朝まで誰も返信できない。この待ち時間が、商談機会を逃す原因になります。見込み客への初期対応は数が多く、即応の速さが成果を左右するからです。SDR Agentは、見込み客からの質問への回答、反論への対応、ミーティングの設定までを自律的に行います。

たとえば、Webサイトから問い合わせた見込み客に対し、SDR AgentがSMSやWhatsAppを通じて多言語で対応し、関心が高い相手には商談の日程調整まで進める、といった使い方ができます。営業担当が対応しきれない時間帯や件数を、エージェントが引き受ける形です。SDR Agentは、旧称をEinstein SDRといいます。

SDR Agentは、見込み客への初期対応を自動化して商談化につなげるエージェントです。

エージェント③営業を鍛えるSales Coach

3つ目は、営業を鍛えるSales Coachです。

Sales Coachは、Salesforceのデータと生成AIを使い、商談ごとに想定したロールプレイの相手役を務め、フィードバックを返します。商談前に練習を重ねるほどスキルは高まるものの、練習相手として先輩の時間を毎回もらうわけにはいきません。そこを引き受けるのがこのエージェントです。

たとえば、先ほどの企業では、経験の浅い営業担当が重要な商談の前に、Sales Coachを相手に提案の練習をし、その場で改善点の指摘を受ける、という使い方を想定していました。人の時間を取らずに、何度でも練習できる点が特徴です。Sales Coachは、旧称をEinstein Sales Coachといいます。

SDR AgentとSales Coachの営業での使い方は、ほか記事「Agentforce for Sales完全ガイド|SDR・Sales Coachの使い方と営業活用事例」で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてもらえると嬉しいです。

エージェント④EC運用を担うCommerce系エージェント

4つ目は、EC運用を担うCommerce系のエージェントです。

ECの現場には、店舗の運用担当・購買する顧客・商品を選ぶ買い物客と、立場の異なる登場人物がいます。Merchant・Buyer・Personal Shopperといったエージェントが、それぞれの立場に合わせた支援を担います。

たとえば、店舗運用ではMerchant向けのエージェントが商品情報の整備を助け、購買の場面ではPersonal Shopperが顧客に合った商品を提案する、といった役割分担になります。BtoCのECだけでなく、BtoBの受発注の場面でも応用が考えられます。

標準提供のエージェントを使えば、一から作らなくても、営業・サービス・ECといった業務ごとにAIエージェントを導入できます。

Agentforce 360を構成する4つの層

Agentforce 360を構成する4つの層

ここまで、個々の機能と標準エージェントを見てきました。これらは「Agentforce 360」という統合プラットフォームの上で動いています。Agentforce 360は、2025年10月にDreamforceで発表された、人とAIエージェントを一つの信頼基盤で連携させるためのプラットフォームの総称です。ここでは、それを構成する4つの層を解説します。

層①エージェント基盤のAgentforce 360 Platform

1つ目の層は、エージェントの基盤となるAgentforce 360 Platformです。

これは、前章までに見たBuilderやAtlas Reasoning Engine、Trust Layerなどを含む、エージェントを作り・動かすための基盤にあたります。会話型のビルダー、ハイブリッド推論、音声といった機能が、この層にまとまっています。

たとえば、先ほどの中堅IT企業がエージェントを設計するとき、実際に触れるのはこの層の機能です。エージェントの挙動を定義し、テストし、公開するまでの一連の作業が、ここで完結します。作り込みも運用も、この層の上で行われます。

Agentforce 360 Platformは、エージェント本体を構築・運用する層です。

層②統合データ層のData 360

2つ目の層は、データを統合するData 360です。

エージェントの回答が的外れになる原因の多くは、参照すべきデータが社内に散らばったままになっていることです。的確に判断させるには、データを一つにつないで参照できる状態が必要になります。

たとえば、非構造化の文書を自動で構造化するIntelligent Contextや、データの意味を扱うTableau Semanticsが、この層に含まれます。エージェントが回答の根拠にするデータは、この層から供給されます。データが一つにつながっているほど、エージェントの判断は正確になります。

Data 360は、エージェントの判断材料となるデータを一つに束ねる層です。

層③業務アプリのCustomer 360 Apps

3つ目の層は、業務アプリを担うCustomer 360 Appsです。

どれだけ賢いエージェントも、業務から切り離されていては成果を出せません。実際の業務プロセスの中で動いて初めて、成果につながるからです。

たとえば、Sales Cloudの中に営業向けのエージェントが、Service Cloudの中にサービス向けのエージェントが埋め込まれる、という形です。エージェントは単独で存在せず、日々使う業務アプリの中に組み込まれます。だからこそ、担当者は特別な画面を開かずに、いつもの業務の流れでエージェントを使えます。

Customer 360 Appsは、エージェントが動く業務の現場となる層です。

層④会話の面となるSlack

4つ目の層は、人とエージェントの会話の面となるSlackです。

エージェントがどれだけ働けても、人が話しかけにくければ使われません。日常のやり取りの延長で頼める窓口として、Slackが位置づけられています。SlackはAgentforce 360の中で、人・エージェント・アプリ・データが接続する会話のインターフェースと位置づけられています。

たとえば、担当者がSlackのチャンネルでエージェントに質問し、その回答をもとに業務を進める、といった使い方ができます。普段の連絡に使っている場所から、そのままエージェントに仕事を頼める点が特徴です。新しいツールの使い方を覚え直す負担が小さいのも利点でした。

Agentforce 360は、エージェント基盤・データ・業務アプリ・会話の面という4つの層が一つにつながったプラットフォームです。

Agentforceが360に至るまでの4世代の進化

Agentforceが360に至るまでの4世代の進化

前章で見たAgentforce 360は、突然登場したわけではありません。約1年のあいだに4回のメジャーアップデートを重ねてきた到達点です。世代の関係を押さえておくと、記事や資料で見かける「2.0」「3.0」といった表記の意味が分かります。ここでは、その進化を4つの世代で整理します。

世代①2024年10月に登場した初代Agentforce

1つ目は、2024年10月に登場した初代のAgentforceです。

これは、エンタープライズ向けにAIエージェントを構築・運用する基盤として、最初に世に出たものでした。エージェントをSalesforce上で動かすという発想が、ここで形になりました。

たとえば、サービス対応や営業支援のエージェントを、自社のデータをもとに動かす、という現在につながる使い方の原型が、この時点で示されています。それまでの、人が使う道具としてのAIとは異なり、目的を渡すと自ら動く存在という位置づけが、ここで打ち出されました。ここが、その後の進化の出発点になりました。

初代Agentforceは、Salesforce上でAIエージェントを動かす最初の基盤でした。

世代②2024年12月のAgentforce 2で推論と連携を強化

2つ目は、2024年12月に登場したAgentforce 2です。

初代で見えてきたのは、推論の質と、業務ツールとの連携という2つの課題でした。この世代では推論エンジン「アトラス」が改善され、Slackへの展開も進みました。

たとえば、エージェントがより複雑な判断を扱えるようになり、Slack上で従業員向けのエージェントを使えるようになったのが、この世代です。人が日常的に使う場所へエージェントが近づいたといえます。推論の質が上がることで、扱える業務の幅も広がりました。単体で賢くなるだけでなく、人が使う場所に届いた点が、この世代の意味でした。

Agentforce 2は、推論と連携を強化した第2世代です。

世代③2025年前半のアップデートで業務埋め込みと観測性を追加

3つ目は、2025年前半に重ねられたアップデートです。

この時期の主題は、エージェントを一部の担当者が試す段階から、業務プロセスに埋め込んで大規模に運用する段階へ移すことでした。ワークフローへの埋め込みや、状況をきっかけに自ら動くトリガー型の動作、そして稼働を監視する観測性の機能が加わりました。

たとえば、2025年6月のアップデートでは、Command Centerによる観測性や、外部ツールと連携するための仕組みへの対応が進みました。エージェントを「作る」段階から「運用し続ける」段階へと、機能の重心が移りました。この時期に、少数の試験導入から全社的な運用へと段階が上がっています。

2025年前半のアップデートは、業務への埋め込みと運用の監視を強化した時期でした。

世代④2025年10月のAgentforce 360で統合基盤へ

4つ目が、2025年10月に発表されたAgentforce 360です。

積み重ねてきた機能群を一つの統合プラットフォームとして再構築したリリースであり、単なる機能追加ではなく、プラットフォーム全体の作り直しと位置づけられています。単なる機能追加ではなく、プラットフォーム全体の作り直しと位置づけられています。

たとえば、前章で見たエージェント基盤・データ・業務アプリ・会話の面という4つの層が、この世代で一つのブランドのもとに整理されました。日本市場でも、2025年11月に提供が始まっています。個別の機能を追いかけるより、この4層の全体像で捉えるほうが、Agentforceの理解は速くなります。

Agentforceは4回のメジャーリリースを経て、機能の集まりから統合プラットフォームであるAgentforce 360へと進化しました。

音声対応を実現するAgentforce Voiceの機能

音声対応を実現するAgentforce Voiceの機能

ここまで、テキストを中心とした機能を見てきました。そして新しく、2025年以降に加わった大きな機能の一つが、音声で対応するAgentforce Voiceです。電話やWebの音声チャネルで、エージェントが直接応対します。ここでは、その仕組みと日本での提供状況を解説します。

機能①電話やWebで音声応対する仕組み

1つ目は、電話やWebで音声応対する仕組みです。

なぜこれが注目されるかというと、多くの企業で顧客との接点が今も電話であり、そこにエージェントを適用できる意味が大きいからです。Agentforce Voiceは、既存の自動音声応答を変える、ネイティブの音声レイヤーとして提供されます。

たとえば、低遅延の文字起こしと自然な音声合成によって、顧客の問いかけをその場で理解し、音声で回答します。電話・Web・モバイルといったチャネルで、意図や感情を読み取りながら応対する設計です。複雑な内容や感情的な状況では、会話の履歴を引き継いで人の担当者へ転送します。

Agentforce Voiceは、音声チャネルでエージェントが応対する仕組みです。

機能②CRMを更新しケースを起票する自律動作

2つ目は、応対しながらCRMを更新し、ケースを起票する自律的な動作です。

音声で答えるだけでなく、その内容を業務システムに反映して初めて、対応が完結します。Agentforce Voiceは、Data 360の顧客データとCRMの業務情報をリアルタイムに使い、回答に加えてレコードの更新やケースの作成、ワークフローの実行まで音声チャネル上で行います。

たとえば、顧客からの変更依頼を音声で受けたエージェントが、その場でCRMのレコードを更新し、必要ならケースを起票して後続の対応につなげる、といった動作ができます。応対と記録が分かれず、一続きで進む点が特徴です。

Agentforce Voiceは、音声応対と業務システムの更新を一体で行う機能です。

機能③日本語GAと対応言語の状況

3つ目は、日本語での提供状況です。

なぜここを押さえるべきかというと、音声機能は言語ごとに提供時期が異なり、日本語で使えるかどうかが導入判断を左右するからです。Agentforce Voiceは、全地域で正式提供され、当初は英語で提供されていました。

たとえば、日本語版については、2026年8月7日に正式提供が始まっています。日本語に加えて、英語やフランス語、ポルトガル語、スペイン語などが順次提供される予定で、一部の言語はベータでの対応とされています。導入を検討する際は、使いたい言語の提供状況を公式で確認するのが確実です。

Agentforce Voiceは電話やWebの音声チャネルで応対し、日本語版は2026年8月に正式提供が始まっています。

【2026年8月登場】検索から実行まで担うAgentforce Coworkerとは

検索から実行まで担うAgentforce Coworkerとは

もう一つ、2026年8月に登場した新しいエージェントがAgentforce Coworkerです。検索から実行までを一つの窓口で担う、社員のためのAIの同僚という位置づけです。ただし提供状況には注意点があります。ここでは、その特徴と現在の段階を解説します。

特徴①多数のソースを横断して回答する仕組み

1つ目の特徴は、多数のデータソースを横断して回答する仕組みです。

社員が知りたい情報は、一つのシステムに収まっていません。Agentforce Coworkerは、CRMやSlackを含む270以上のエンタープライズデータソースに接続してインデックス化し、業務の文脈を踏まえた答えを返します。

たとえば、Salesforceの検索バーやSlackなどから質問すると、Coworkerが関連するデータを横断して探し、必要な情報をまとめて返します。単に検索するだけでなく、業務の背景を踏まえて答える点が、通常の検索との違いです。

Agentforce Coworkerは、散らばった社内情報を横断して回答するエージェントです。

特徴②フロー起動やレコード更新まで実行する範囲

2つ目の特徴は、回答にとどまらず、フローの起動やレコード更新まで実行する範囲の広さです。

検索の答えが返ってきても、その後の入力や処理が残っていれば業務は止まったままです。その先の操作まで担うことで、初めて仕事を任せられる存在になります。CoworkerはCRMのデータやワークフローに接続し、フローの起動、ほかのエージェントの呼び出し、レコードの更新といったアクションを実行します。

たとえば、社員が「この案件の状況を更新して」と依頼すると、Coworkerが該当するレコードを更新し、必要な後続処理まで進める、といった使い方が想定されています。SlackやMicrosoft Teams、ChatGPT、Claudeなど、複数の面から利用できるよう順次拡大が計画されています。

Agentforce Coworkerは、検索から実行までを一つの窓口で担うエージェントです。

特徴③現在はベータで提供される段階

3つ目に押さえておくべきは、現在の提供状況です。

なぜなら、Coworkerは登場して間もなく、正式提供と試験提供で扱いが変わるからです。公式の管理者向け・開発者向けのドキュメントでは、対象となる組織で利用できるベータの段階と説明されています。

たとえば、一部のメディアでは正式提供と表記されることもありますが、公式ドキュメントはベータと位置づけています。導入を検討する場合は、自社の組織が対象かどうかを含め、最新の提供状況を公式で確認するのが確実です。本記事は2026年8月時点の情報にもとづいています。

Agentforce Coworkerは検索から実行までを担う有望なエージェントですが、公式ドキュメント上は現在ベータの段階です。

Agentforceの機能を使うために必要な3つの前提

Agentforceの機能を使うために必要な3つの前提

ここまで機能を見てきましたが、これらを実際に使うには、いくつかの前提を満たす必要があります。導入を検討する前に、自社が条件を満たしているかを確認しておくと、後の判断がスムーズになります。ここでは、機能を使うために必要な3つの前提を解説します。

前提①Enterprise Edition以上のエディション

1つ目の前提は、Salesforceのエディションです。

なぜなら、Agentforceの主要機能は、一定以上のエディションを利用していることが条件になるからです。Salesforce Foundationsは、Enterprise Edition以上であれば追加費用なしで主要な機能を使えるとされています。

たとえば、先ほどの中堅IT企業では、まず自社の契約しているエディションを確認するところから検討を始めていました。エディションが条件を満たしていなければ、機能を使う前にそこの見直しが必要になります。導入の可否は、この前提の確認から始まります。

まずは、自社のSalesforceエディションが条件を満たしているかを確認することが出発点になります。

前提②Flex CreditsまたはConversationsの課金設定

2つ目の前提は、利用に応じた課金の設定です。

エージェントを動かすと、その処理量に応じた費用が発生するからです。Agentforceの課金には、アクション単位で消費するFlex Creditsと、会話単位で課金されるConversationsがあり、これらは同じ組織の中で併用できないとされています。

たとえば、Flex Creditsは10万クレジットあたり500ドル(日本円で6万円ほど)が目安で、標準的なアクションは1回あたり20クレジット、音声のアクションは30クレジットが消費されます。どちらの課金モデルを選ぶかで費用の考え方が変わるため、想定する使い方に合うほうを選ぶ必要があります。料金の詳細は、ほか記事「Agentforce料金・ライセンス完全ガイド」で解説していますので、あわせて参考にしてもらえると嬉しいです。

課金モデルの選択は、Agentforceの費用を左右する重要な前提です。

前提③データ基盤となるData 360の準備

3つ目の前提は、データ基盤となるData 360の準備です。

なぜなら、RAGによる回答やIntelligent Contextといった機能は、Data 360の上に構築されるからです。エージェントが自社のデータを参照して動くには、その基盤となるデータ環境が整っている必要があります。

ただし、すべての機能でData 360が必須かどうかを網羅的に示した公式の記述は、現時点では確認できていません。機能ごとに前提は異なると考えられるため、使いたい機能について個別に要件を確認するのが確実です。たとえば、先ほどの企業でも、まず優先したい機能を絞り、その機能に必要なデータの準備状況を点検していました。

機能を使うには、エディション・課金設定・データ基盤という3つの前提を満たす必要があります。

Agentforceの導入成果を示す4つの数字

Agentforceの導入成果を示す4つの数字

ここまで機能と前提を整理してきました。では、Agentforceは実際にどれだけ使われ、成果を出しているのでしょうか。ここでは、公式に発表されている4つの数字を紹介します。いずれも発表時点の数字であり、決算期などで変わる点に留意してください。

数字①前年比330%増というARRの成長

1つ目は、事業としての成長を示す数字です。

なぜこの数字が重要かというと、多くの企業に採用されているかどうかが、導入を検討する際の判断材料になるからです。Salesforceの2025年12月3日発表の決算によると、Agentforce単体の年間経常収益は5億ドルを超え、前年比で330%の増加とされています。

たとえば、AgentforceとData 360を合わせた年間経常収益は約14億ドルで、前年比114%増と報告されています。1年で3倍を超える成長は、市場に急速に受け入れられていることを示す数字です。新しいツールで、これだけの速さで収益が伸びるのは珍しいことです。

前年比330%増という数字は、Agentforceが急速に広がっていることを示しています。

数字②18,500件を超える導入実績

2つ目は、導入の実績を示す数字です。

成長率が高くても、実際に使う企業が少なければ広がりとはいえません。導入件数は、その広がりを測る数字です。同じ2025年12月発表の決算によると、ローンチ以降にクローズしたAgentforceのディールは18,500件を超え、そのうち有償のものは9,500件を超えたとされています。

たとえば、有償のディールは前四半期比で50%増、本番で稼働しているアカウントも前四半期比で70%増と報告されています。試験導入だけでなく、実際に費用を払って本番運用する企業が増えている点が読み取れます。話題性だけでなく、業務での実利用が伴っていることが、この数字から分かります。

18,500件という導入実績は、Agentforceが試験段階を越えて使われていることを示しています。

数字③サポートケースの46%を自動対応した事例

3つ目は、実際の業務での効果を示す事例の数字です。

導入件数が伸びていても、現場で効いていなければ意味がありません。そこで参考になるのが、公式に公開されている事例の数字です。Agentforce 360の発表時に公開された事例では、あるサービスがサポートケースの46%をエージェントで自動対応したと報告されています。

たとえば、この事例では、平均の応答時間が8.9分から1.4分へと短縮されたとされています。人が対応していた問い合わせの半数近くをエージェントが引き受け、待ち時間も大きく縮んだことになります。担当者は、エージェントが対応しきれない難しい問い合わせに集中できるようになります。

サポートケースの46%を自動対応したという事例は、現場での具体的な効果を示しています。

数字④応答時間を84%短縮した事例

4つ目は、対応スピードの改善を示す数字です。

なぜなら、顧客対応では、正確さと同じくらい応答の速さが満足度を左右するからです。前述の事例では、解決までの時間が84%短縮されたと報告されています。

たとえば、別の企業では、エージェントがピーク時の問い合わせの多くを自動で対応し、年間で200万ドルを超える削減につながったとされる事例も公開されています。対応のスピードとコストの両面で効果が出ていることが分かります。ただし、これらは各社の環境での結果であり、自社で同じ成果が出るとは限らない点には注意が必要です。

公式に公開された数字は、Agentforceが成長と現場の成果の両面で実績を積んでいることを示しています。

【一問一答】Agentforceの機能に関するよくある質問

ここまで、Agentforceの機能を整理してきました。最後に、機能についてよく寄せられる質問に答えていきます。

質問①Agentforce 360と無印のAgentforceは何が違うのか

Agentforce 360は、2025年10月に発表されたプラットフォームの総称であり、その時点のリリース名でもあります。2024年10月の初代から数えて4回のメジャーアップデートを経た到達点で、エージェント基盤・データ・業務アプリ・会話の面を一つに統合した点が、初代との大きな違いです。

質問②Agentforce Coworkerはもう使えるのか

公式の管理者向け・開発者向けドキュメントでは、対象となる組織で利用できるベータの段階と説明されています。一部のメディアでは正式提供と表記されることもありますが、導入を検討する際は、自社の組織が対象かどうかを含め、最新の提供状況を公式で確認するのが確実です。

質問③Agentforce Voiceは日本語に対応しているのか

対応しています。Agentforce Voiceの日本語版は、2026年8月7日に正式提供が始まりました。日本語に加えて英語やフランス語などが順次提供される予定で、一部の言語はベータでの対応とされています。使いたい言語の提供状況は公式で確認することをおすすめします。

質問④Agentforceの機能にData 360は必須なのか

RAGによる回答やIntelligent Contextといった機能は、Data 360(旧Data Cloud)の上に構築されます。ただし、すべての機能でData 360が必須かどうかを網羅的に示した公式の記述は確認できていません。使いたい機能ごとに、必要なデータ要件を個別に確認するのが確実です。

質問⑤Agentforceの機能はどの料金で使えるのか

Enterprise Edition以上であれば、Salesforce Foundationsで主要な機能を追加費用なしに使えるとされています。エージェントを動かす際は、アクション単位のFlex Creditsか会話単位のConversationsで課金され、両者は同じ組織で併用できません。詳しくは料金の解説記事をあわせて確認してください。

Agentforceは機能の集合ではなく人とAIが協働する統合基盤である

Agentforceとは、Salesforce上でAIエージェントを構築・運用し、業務を自律的に実行させるプラットフォームです。本記事では、エージェントを設計するBuilderから、推論を担うAtlas Reasoning Engine、標準提供のエージェント、Agentforce 360の4つの層、VoiceやCoworkerといった新機能、そして利用の前提と導入成果までを、2026年8月時点の公式情報にもとづいて整理してきました。

こうして機能を並べてみると、Agentforceは個々の機能を寄せ集めたものというより、それらが一つの基盤の上でつながり、人とAIエージェントが協働するために設計されていることが分かります。約1年で4回のアップデートを重ねてきたように、機能や提供状況は今後も変わっていきます。まずは自社のどの業務にどの機能が効くのかという視点で、優先順位を考えるところから始めてみてはいかがでしょうか。本記事が、その一助になれば幸いです。